アパレルブランドと販売員のInstagram力(いんすたぐらむりょく)をアップさせるための珠玉の一冊。ここまで教えていいの!?というくらい盛りだくさんにInstagramマーケティングのノウハウが「具体的に」書かれています。ブランドの中の人も、インフルエンサーを目指す人にもおすすめです。コロナ以降に書かれたという点も有益です。
この記事の目次
最新Instagramを解説している良書
Instagramに限らずこうしたノウハウ本は、コロナ前に書かれた本ですと、残念ながら再現性がなくなっているケースも多いものです。とくにITまわりはアプリ自体のアップデートも早いですから、新しいにこしたことはありません。
その点、本書は、コロナ渦以降に書かれており、Instagram活用の即戦力になります。Instagramの具体的なノウハウとアパレルの現場での活用法や考え方のバランスがとてもよい構成になっていて、アパレル特化がならもInstagram力をあげたいと思っている人すべてにおすすめできる本になっています。
ショッピング機能、まとめ、リールといったInstagramの最新機能にも触れていて、Instagramをビジネスで扱う担当者やブランドをもつクリエイターには、知識の再確認という意味でもとても網羅的で役立つ内容になっています。
もちろん、Instagramをあまり深く使ったことのない人にも、上図のようにわかりやすい図版、メニュー操作などの具体的な操作方法、ふだんの投稿のルーティーンや考え方、組織でどう活用するかといった、Instagramの使い方にも丁寧にふれられていますので、安心して買うことができます。
会わなくても”指名”される トップ販売員のInstagram力 | 艸谷 真由
本書の内容が刺さる人
- アパレル業界で実際にInstagramをつかって集客や顧客との関係をつくっていく人
- ファッション情報をInstagramで発信してファンをつくりたいと思っている人
- Instagramをつかいビジネスやブランドを情報発信していく人
Instagramをつかい、具体的にどう自分を好きになってもらうか、ファンをふやしていくかなどの、知見に溢れていますので、アパレル業界の人であればもちろん最適ですが、それ以外の職種の人でもこうしたブランディングに関心がある人であれば、応用はきき、買って損はないはずです。
あまり読まれないほうがよいと思われる人
- いいねを押す理由の裏側やビジネスのことをあまり知りたくない人
- Instagramは見る専でたのしくInstagramを使いたいという人
- InstagramというよりInstagramをつかっているインフルエンサー自体が好き、という人
- 発見タブのアルゴリズムなどInstagramのハックを知りたい人
本書はいわゆるビジネス本です。ですから、Instagramを見る専で使っているライトユーザーには、本書に書かれているノウハウを知ることで、ネタバレを見るような気持ちになってしまう可能性はあります。また、ハックなどの奥略方法はかかれていません。あくまで、正攻法としてのInstagram力のあげ方を伝授してくれています。
また、Instagramに限ったことではないのですが、今のSNSではどうしてもSNS内での活動がアカウントの認知を増やすためには不可欠です。そうしたコミュ内活動があまり好きでない、という人には刺さることは少ないと思いますので、読まれないほうがよいと思います。
それでは、「トップ販売員のInstagram力」のおすすめポイントをレビューします。
艸谷真由「トップ販売員のInstagram力」レビュー
まるでマニュアル、わかりやすさが秀逸
わたしは長年、教員をやってきました。ですから、人にわかりやすく書く、間違えないように手順を示す、ということにはこだわりをもっています。
そうした視点でみても本書はとてもわかりやすく、かつ丁寧に書かれています。
たとえば、あまりインスタグラムをつかったことのない人や、ビジネス自体を俯瞰しづらい人にむけて、こうした図版が随所に書かれています。こうした図版は書くほうはけっこう労力がかかるものですが、著者はおしげもなくふんだんに盛り込んでいて親切です。
Instagramでは重要な画像の撮り方も、図解で解説し、さらには GOODとBADを示すことで、わかりやすく具体的に指導してくれています。これは初心者にはとてもありがたいアドバイスだと思います。
実際の操作方法も、メニューをたどって解説してくれていますので、迷うことなく再現できるでしょう。そして、こうしたアプリに依存するノウハウは陳腐も早いものですが、本書は2021年以降に発行されたものですので、安心して読み進められます。おぼえた知識が無駄になることもすくないため、とてもお得感があります。
もちろん、本文もわかりやすく章立てされていたり、適度に太字やレイアウトがかわるなど、読んでて飽きない工夫も随所に見られます。奥付に編集担当の名前は書かれていませんが、編集された人とのコミュニケーションもとてもうまくできていた想像できます。著者のよさを、しっかり引き出している編集さんだとも思いました。
目標を達成するためのInstagram力
著者は、全編にわたって、なぜInstagramをつかうのか、なぜInstagramをビジネスに活用するのか、数値目標を決めなぜそれを達成することが重要なのか、をといています。
Instagramを使いつつも、ほんとうにこだわるべきことや、それとの向き合い方という本質論も忘れていません。
その、本質にこだわる姿勢の重要性に気づいたエピソードを本文で著者は語っています。
私に「考える力」を授けてくれたのは、新卒時代の上司でした。
「売らなくていいから、バックヤードで来週の販促を考えてみて」と仕事を与えてくれました。
・・・しかし、たくさん接客したい著者には、なぜ売らせてもらえないのだろう・・・しかし、考え続けた結果、販売戦略があふれるほどに思いつくようになり、自分が店頭に立つ時の視野も驚くほど広がったのです。
私の日々の作業が「知的労働」へと変わったはじめての瞬間でした。
目先の販売数だけでなく、店舗やブランド全体、さらにはお客様の視点、そして自分自身のやりがいにまで、視野を広げられたことが、本書であますことなく明かされているノウハウにつながっています。
そういう著者の現場でつちかわれた苦労やエピソードもふんだんにもりこまれているため、単なるノウハウ本にとどまらない、時間がたっても輝きを失わない魅力がこめられています。
ものをうるだけでなく、以下に顧客との関係をきづいていくか、ビジネス全体で考えときSNSをどう活用していくか、Instagramで情報発信していくとき自分では何を優先させていけばいいのか。
そうした示唆を、アパレルのみならず多くの業界で共感しうる視点で書かれていて、Instagramを「ツカウ」人すべてにおすすめできる内容に仕上がっています。
Instagram自体の操作がまったく初めて、という人は前著も読まれることをおすすめします。こちらもとてもわかりやすく具体的に書かれている本です。すでに重版もかかるほどの人気書でInstagram初心者には最適の本です。
「こだわり」が収入になる! インスタグラムの新しい発信メソッド (DOBOOKS) | 艸谷 真由
また、著者のそうした生き方や考え方に共感した人は、運営しているオンラインコミュニティもチェックされることをおすすめします。
>>#Shareit(シェアイット) CAMPFIREコミュニティ
アパレル特化でもInstagram販売の再認識におすすめ
わたしは、アパレル業界のことはまったく知りません。
しかし、読んでいても、リアルな店舗の苦労や大変さが伝わってきました。それは、著者が、数字などとても具体的に描写していたからです。現場の人はこんなにも大変なのか、など苦労が伝わってきます。同じ業界の人であれば、そうそう、おもわず膝をうつことでしょう。
- 最初から正方形で撮影しないこと
- 壁の色まで考えて撮影をする、そのためにはxxxを利用するのがおすすめ
- パッと見でほしい!と思ってもらうためにはxxx使いが重要
など、アパレルInstagram活用においては、どれも納得のスキルが身につきます。これらの正解は、ぜひ本書を実際に手にとって実際にみなさんがたしかめてみて下さい。
もちろん、こうしたテクニックはやればやっただけいい、だけどそれは理想論だよね、そんな時間はないよ・・・、と思われるかもしれません。その点についても著者は現場での経験からしっかり寄りそってくれています。
一度試着をして撮影するのに何分かかるかを計り、それを7回すると考えたときの時間を計算して、1日の出勤前・休憩時間・退勤後の中で撮影が完了するのか、あるいは2日にわけるのかなど、先にスケジュールをたてたうえで撮影に臨むと、日々の負担になることもないと思います。
本書の魅力は、Instagram力をあげるために、ふだんのルーティーンについても、具体的に数字で考える示唆を与えてくれる点です。
ビジネスにおいては、すべてのタスクをしっかりイメージし、数値化して管理することが、無駄をはぶくことにつながります。時間は無限ではありません。スタッフとどう分担していくのか、どうメリハリをつけていくのか、そうした日々の発信を効率的に考えるヒントが満載です。
著者は現在では、Instagram活用のコンサルティングをしているそうですから、依頼するまえの情報収集として読むことも役立つと思います。ミスマッチも減らせて、アウトソーシングを考えているアパレルブランドにも、基本スキームの制定など、多くの知見がえられると思います。
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クリエイティブにかかわり販売していく、そうしたときにInstagramを活用している人であれば、ぜひとも読んでほしい一冊です。
おすすめのInstagram本です。