芸能人ユーチューバーが増えてきました。それにともなって、ネットにあまり詳しくないことによるトラブルも増えてきました。
さらに、芸能人ならではの展開もあり、巻き込まれる可能性も。非芸能人ユーチューバーとしては自衛のためにも知っておいたほうがよいと思い、まとめました。
この記事の目次
芸能人ユーチューバー著作権トラブル
サンドウィッチマンさん
2020年6月21日
チャンネル登録者数100万超えのトミックさんがTwitterに投稿し発覚しました。
あとでわかるのですが、間違えて登録してしまったのは、サンドウィッチマンさんの動画制作企業です。
トラブルの実態
- すでにYouTubeで広く使われているフリー音楽がある
- それをサンドウィッチマンさん側がフリーにも関わらずYouTubeに権利者登録
- これまでその曲を使っていた多くのユーチューバーの収益が権利者へいった
- 多くのユーチューバーはフリーの音楽を使っているのになぜ?となった
これは、本来は曲の権利者の権利を守るために、YouTubeが用意したシステムですが、本人確認がずさんなため、本来の権利者ではないサンドウィッチマンさん側が登録されてしまったことにより、起こりました。
>>サンドウィッチマンがフリーBGMをコンテンツIDに登録して炎上! – ひまつぶし速報
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>>トミックさんはTwitterを使っています 「フリーのBGM使うならコンテンツIDに登録しないでほしい。いい迷惑 マジでブチ切れそう https://t.co/j4V515A07i」 / Twitter
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2020年6月26日
その5日後、YouTube関連ニュース大手・ユーチュラが記事化し、注目を集めました。
>>サンドウィッチマンがフリーBGMの著作権を登録。人気YouTuberが動画を公開停止させられ激怒 | YouTubeニュース | ユーチュラ
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わたしも、これを受けて一通りソースをチェックし、事実であることを確認の上、Togetterでまとめ記事を作成しました。わたしもかねてからYouTubeのこの仕組みには疑問もありましたので、認知を広げる意味でも記事化しました。
>>サンドウィッチマンが!フリーBGMを権利登録してしまい楽曲利用ユーチューバーが悲鳴 – Togetter
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2020年6月28日
掲示板サイトや、そのまとめサイトの引用RTなどSNSなどでも話題になりはじめました。
>>【激怒】収まらない批判… サンドウィッチマン、YouTubeのフリーBGM「著作権」問題で怒りの声が相次ぐ : とりま!
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ネット上では「サンドウィッチマンは悪くない」という論調が多数を占めており、注目は事務所からの公式コメントに集まっていきました。
ここで、好感度の高い著名人に指摘をすると、いくら正論でも悪者に見えてしまう、というリスクが明るみになりました。
>>KMCさんはTwitterを使っています 「事務所のYouTube担当、フリーBGMにcontents ID付けて他人の動画停止にするのはあんまりだ。 ただサンドは悪くない。 それでもサンドへの印象は悪くなるから、担当さんはゴメンなさいしたら? サンドウィッチマンがフリーBGMをコンテンツIDに登録して炎上! – ひまつぶし速報 https://t.co/55IghmkdVj」 / Twitter
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2020年6月30日
ようやく大手出版社のメディアが、唯一取り上げはじめます。他の、大手メディアで取り上げたところはありません。
>>サンドウィッチマンYouTubeに思わぬ事務所トラブルで人気危機! | 日刊大衆
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やはり、YouTubeの権利保護の仕組みがわかりづらいことも影響していると思います。
2020年7月2日
動画制作をしたアルファボート社が公式に謝罪。登録を取り下げるなど、すでに対応をしたそうで、ようやく鎮火しました。ただ、ユーチューバーによっては、動画公開時など、もっとも収益のあがるタイミングでの無効化になったケースもあれば、それは大きな被害になっていることでしょう。
>>当社著作権保護サポートサービスに関するご報告とお詫び | ALPHABOAT(アルファボート)
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アルファボートは、人気アーチストの劇団スカッシュが所属し、YouTubeプロデュースでは、いっくんTVなどを手掛ける制作プロダクションです。
>>CREATORS | ALPHABOAT(アルファボート)
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2020年7月11日
サイゾーなど大手メディアが取り上げはじめます。
>>サンドウィッチマンの動画に古参YouTuberから非難轟々! 逆張り系へついに“制裁”下る……YouTuber超事件簿|日刊サイゾー
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Yahoo!知恵袋などでも、サンドウィッチマンさんがなぜ・・・?といった質問もまだ出てきています。ここでも、好感度の高い人に指摘がしづらい、という心理が露呈します。
>>youtubeでサンドの伊達ちゃんが怒られてるけど – 冷静に考えてみればサン… – Yahoo!知恵袋
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本来は、権利者のかたが声を出してくれると、そのかたに同情が集まるため、SNSでも拡散されやすいのですが、このケースではそれがなく、解決まで時間がかかったように思います。
ひょっこりはんさん
ひょっこりはんさんが、自身のネタで、本来は著作表記が必要なフリー音楽を、表記せずに使っていた問題です。
ただ、そのことを指摘した作者が、事務所に誠実な対応をされたことにより、告発し明るみにでました。実際、事務所は販売まで押し切ろうとしていたようです。
>>ひょっこりはん、BGMが著作権侵害のトラブル。フリー音源の思わぬ落とし穴
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>>ひょっこりはん 著作権侵害騒動に謝罪も対応遅れに厳しい声 | 女性自身
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>>ひょっこりはん著作権侵害騒動で「販売は全て停止」 – お笑い : 日刊スポーツ
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二次配布まで行おうとした吉本興行に批判が集まっていました。ただ、SNSで拡散されネットでの批判が高まったことで、事態が解決にむかったケースです。
江頭2:50さん
記事には書かれていませんが、おそらく海外の著作権横取り集団によるケースです。
江頭2:50さんも、海外からの集団に著作権申請されていて広告収益が入らない、ともつぶやいていました。きっとこれも彼らの仕業と思われます。
>>「エガちゃんねる」変わらず絶好調でも“収益ゼロ”検討すべき路線変更とは? | Asagei Biz-アサ芸ビズ
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>>ユーチューブトロールとはContent IDを悪用し収益を横取りする人達
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じっさい、私も広告収益を横取りされました。虚偽申告である、と申請して無事に解除はされましたが、もっとも収益の上がる動画公開時の収益はもどりませんので、大きな被害をこうむりました。
海外では、悪質な集団が、勝手にYouTubeに楽曲登録をし、不正に広告収益を搾取するケースが多発しています。
とくに、中小のゲームメーカーなど、YouTubeへのコンテンツID登録の手抜かりを見つけ、権利を登録しまくる集団が世界中にいるのです。YouTubeトロールとも呼ばれ世界中で被害が広がっています。
江頭さんが記事で吐露している「広告収益が入らない」「海外の・・・」というくだりは、まさにそうなのだと思います。
香取慎吾さん
Abema TVが、香取慎吾さんの「歌ってみた動画」の紹介を含む、自分たちの動画を著作権登録したことによるトラブルです。
YouTubeでは、JASRACやNexTONEなどと包括提携をしていますので、それらが管理している他人の曲を、演奏したり、歌ったりすることは問題ありません。
香取慎吾さんも他のかたの曲を歌い、動画にしていました。
しかし、そのことを紹介したAbemaTVが、自分たちの動画事態を、YouTubeに著作権登録したことにより、本来は、引用元であるはずの、香取慎吾さんの動画が、権利侵害をしていることにシステム上なってしまい、広告収益がなくなることになりました。
>>300万回再生!香取慎吾の“歌ってみた動画”が「著作権侵害」で凍結されたワケ | Asagei Biz-アサ芸ビズ
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ただ、こちらは、どちらも大手事務所ということで、トラブル発覚後すぐに双方で対応し、すでに解決ずみとのことです。
「孤独のグルメ」サントラ
権利者の方も知識が不足していて、利用者に誤解を与える表現を使ってしまい、トラブルになるケースもあります。※本件はユーチューブとは関係ありません。
>>「孤独のグルメ」サントラは「全曲著作権フリー」 作者・久住さん「どうぞお使いください」 – ITmedia NEWS
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ここで言う「フリー」は、実は「使用するのにJASRACに許可を取る必要はありませんよ(JASRACフリー)」という意味だったのです。
しかし、実際には、私たちの楽曲ですので、個別にわたしたちに許諾をとってくださいね、というものでした。
ただ、記事からは、それが伝わっこないことで、多くの人が無料で使えると思い、トラブルになったというケースです。
後日そうしたトラブルを受けて、権利者の方と、フォロー記事が広まることで、収束していきました。
悪意はないにしても、適切な表現で情報発信しませんと、間違った認識で広がってしまうことはとても怖いことです。
他に有名な事例としては、いらすとやさんです。多くの動画や、リアルの現実世界でも、よく見るいらすとやさん。しかし、あまり認知されていない利用制限があるのです。
>>ご利用について | いらすとや
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以下の場合、有償にて対応させていただきます。・・・素材を21点以上使った商用デザイン(重複はまとめて1点)
よくスーパーとかで、いらすとやさんのイラストがいたるところに使われている店舗を見ますが、そのたびに、許可とってるのかなあと心配になってしまいます。
フリー素材は、みんなが使っているから大丈夫、ではなく、ちゃんと利用規約を確認したうえで使わないといけません。
YouTubeの仕組みを理解する
YouTubeではコンテンツIDという仕組み
楽曲登録をYouTubeに行い、審査が通れば、はれてその楽曲の権利者として登録されます。
>>Content ID の仕組み – YouTube ヘルプ
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登録がされると、その後、その楽曲を使う動画からの広告収益を得ることができるようになります。
この仕組みを悪用し、権利者になりすまして登録し、収益を横取りする悪質な集団があとをたちません。
また、2020年8月11日現在、YouTube側も別段新しい対応策は示していません。
>>Content ID の利用資格について – YouTube ヘルプ
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公式には以下のように書かれていますが、これまでの被害状況を見ますと、この権利チェックがいかにずさんかを物語っています。ただ、それでも私達にできることはほとんどありません。
独占的な権利を管理するコンテンツについて、著作権を保有していることを証明できる必要があります。
その他の楽曲使用サービス
ちなみに、YouTube以外にも、こうした楽曲の登録によるシステムは他のサービスでも見られます。ただ、権利者保護の目的なのか、運用上の単なるシステムなのかは、サービスによって異なります。
ただ、いずれも本人確認や、システムの悪用対策などは、完璧なものは存在しません。各自が自衛するほかないのが実情です。
niconico
審査が通れば、作品登録され、プレミアム会員収入の一部を原資として、奨励金が支払わます。コラボレーターとの分配を決めることもできます。
>>クリエイター奨励プログラムとは | ニコニコヘルプ
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TikTok
動画をアップロードすると、自動的に音声が抜き出され、他の人も利用可能な楽曲して、自動的に登録されます。
その音源は、「この音源で作られた動画」一覧、として表示されてしまうため、仮にそれが違法アップロード音源だったとしても他の人は気づかずに使ってしまう可能性があります。
ちなみに、TikTokや後述のInstagramリールに原盤として提供されいている短い公式の音源は、アーチスト側も許諾した上で利用できますので、安心です。ただ、ネットでいろいろと調べますとアーチストには報酬はまったく入らないっぽいです。
ですので、長さはバラバラで、戦略的に使ってほしいと思う場合は1分といった長い利用を認めているようです。
Instagram リール
Instagramで2020年8月に実装されたTikTokのようなショート動画機能です。楽曲もTikTok同様、既存アーチストのものも使えますが、ユーザー投稿の自動登録された音源を使うこともできてしまいます。
いっぽう、元音源のファイルを削除すると、その音源を使用している別動画では音源が流れなくなる仕様です。
Twitterでいう、リツイートしたものの、リツイート元が削除すると見れなくなるのと近いかもしれません。
YouTubeのJASRAC許諾って?
YouTubeに限らず、現在多くのサイトや投稿メディアで許諾がとられています。「歌ってみた動画」なども、これらの許諾のもとで、認められています。
>>動画投稿(共有)サイトでの音楽利用 JASRAC
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もちろん、TikTokや、Radiotalkなどのラジオ配信サイトなどでも、同様です(Radiotalkなど多くの音声配信サイトでは歌った楽曲をあとから申請する仕組みが多いです。自主申告しないとダメです)。
ただ、それらは楽曲の一時的な権利を包括提携したというだけで、その曲を演奏して音源にした権利など、著作者隣接権までは認めていません。
上記の公式ページにも音源利用については、プロダクションや管理しているレーベルに許諾をとってくださいとしています。
また、今後、歌ってみた動画があまりにも収益をあげるようであれば、その一部を権利者に分配するなどの措置もありえるかもしれません。
いずれにせよ、現状多くのサイトで締結されている許諾は、その範囲でしかありませんので、注意しましょう。
クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本 : 鷹野 凌, 福井 健策
動画クリエイターができる自衛策
BGMや効果音にはAudiostockを使う
著作権フリーの音源や素材を販売するAudioStockでは、こうした動きに対応し、YouTube安心表示というマークを実装しています。
>>YouTubeに動画をアップする方におすすめ!「YouTube安心利用曲」の表示機能が追加されました | Audiostock(オーディオストック)
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YouTube安心利用曲として掲載されている音源は、前述のようなYouTubeにおけるコンテンツIDの登録をすでにクリアしているとのことです。
実際、わたしもこちらを利用し、一度もトラブルはありません。こうした権利処理された楽曲を使うことが現状では不可欠です。
なにせ、前述のように、解決されたとはいえ、著作権フリーの楽曲は誰かに登録されてしまうリスクがあるからです。
サンドウィッチマンさんの事案も、本来ならば権利者の人が告発し、権利の取り下げをするのが原則ですが、今回それは起きませんでした。そうすると、好感度の高いサンドウィッチマンさんについて、どうしても叩きづらくなります。いくら本人ではなく事務所に言及したとしても、たたいたほうが悪者扱いされてしまうリスクがあるからです。
今回は、制作会社が対応してくれたことで、終息をみせましたが、YouTubeにあまり詳しくない、それでいて権利関係にシビアな芸能事務所が多数参入することを鑑みますと、今後どういうことが起こるかわかりません。
アーチストはTrueCoreJapanなど対応サービスを使う
Apple MusicやSpotifyなどにも、楽曲を配信している大手レーベルのTrueCoreJapanです。曲を作るアーチスト側は、こうしたコンテンツ登録システムにも対応しているレーベルを選びますと、海外の迷惑行為から見を守れます。
こちらのレーベルでは、YouTubeへのコンテンツID登録も抜かりなく行われています。
>>YouTube コンテンツ収益化サービス (コンテンツIDに曲を登録する) – TuneCore Japan
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アーチストも、こうした最新のネットにおける、権利処理に詳しいレーベルと組むことは、もはや死活問題になっているさえ思えます。
YouTuberは自分で気をつけるしかない
著作権フリーといっても、いろいろな利用許諾やケースがあります。ですので、フリー素材ごとに判断して使うしかないのが現状です。
また、そのときはフリーであっても、いずれフリーではなくなるケースもありえます。こればかりは権利者次第です。
ですので、わたしは前述のようにやはりお金を払って安心できる音源を使うようにはしています。本当にいろいろなリスクがあるのですよね。また、予見されるリスクはなるべく予防線をはって、慎重に近づくようにしています。
>>フリー画像素材で訴訟リスクを避ける為に気をつけてる5項目
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ただ、著作権というものはとても身近なもので、ルールを守ればルールはあなたを守ってもくれます。
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まとめ
- 本人でなく制作会社がやってしまう案件が多い
- 有名な人には指摘をした側が悪者になってしまうリスク
- 巻き込まれないのが一番
今後まだまだ多くの著名人がYouTubeに限らず参入してくるはずです。そして、それをサポートする制作会社の、すべてがネットに詳しいわけではありません。
ユーチューバーは、以下にして稼ぐかも含め、先を予測して、自衛し自分自身の収益を守るほかありません。
・・・と、こんな感じの父親目線で、SNS、ドライブ、ゲーム、生活防衛ネタが多めでブログ記事を2009年から書いています。よろしければLINE@をフォローしていただけると更新情報を受け取れますのでおすすめです。記事を気に入ったというかたはぜひ。
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