Instagramが多くのティーンエイジャーに有害であると批判をあびています。そのことで、キッズ向けアプリの開発が一時中止になるなど、海外ビッグテックに今何がおきているのでしょうか。そして、クリエイターやインフルエンサーはどう備えておくべきでしょうか。
GAFAにふりかかる圧力
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Instagramが10代に有害であると批判をうけています。
>>Instagramは10代の女の子のメンタルヘルスの問題を引き起こしています
Instagramも批判をうけて、アプリの改修にのりだしています。
>>Instagramがその製品の中毒性を下げるのはなぜですか? – WSJ
いいね数に一喜一憂することが、メンタルにはよくないと報じています。
>>Instagramは身体イメージの問題を悪化させ、メンタルヘルスを侵食する:NPR
ただ、こうした投稿に対する反応は、Instagramにかぎらず他のSNSでもあるはずです。
YouTubeも、そうした批判をかわすため声明を発表しました。
>>YouTube CEOは、プラットフォームは10代のメンタルヘルスにとって「価値がある」と述べています-ブルームバーグ
政治的カードとしての圧力
とくにプライバシーやセキュリティの面について、ビッグテックがアップデートや戦略を見直しを余儀なくされることも増えてきました。
>>CNN.co.jp : EU当局、アマゾンに制裁金970億円 データ保護違反で
バイデン大統領にかわって、少し沈静化を見せたTikTok問題ですが、やはり風当たりは弱まってはいないようです。
>>米政府端末でのTikTok禁止、上院委が法案可決 | Reuters
アップルのハードウェアにも規制の網がふりかかろうとしています。
>>EU、iPhone含むスマホ充電端子をUSB-Cに統一する法案を公表 – iPhone Mania
まだまだ大手IT企業を標的にした規制など包囲網はふえそうな見込みです。
>>米下院議員、IT大手標的にした新たな法案 週内提出も=関係筋 | ロイター
なぜ大手IT企業に風当たりが強くなっているのか
これは、それぞれによって事情が異なります。結果論としては、大きくなりすぎたことによる、影響力が間違った方向へとむかわせまいとする空気が世界各国で高まってきている、ということだけは言えるかと思います。
>>GAFAがその力を失う日──独占や買収を大きく制限する米・独禁法改正案を解説 | DIAMOND SIGNAL
- 公正な競争こそが市場を成長させる、という強い信念
- 削られた予算のため財源を確保を優先するという目的
- 巨大化した企業のトップが市場をコントロールできて良いのかという懸念
時価総額が6000億ドルを超えるという巨大企業のGAFA。
かつてマイクロソフトが独禁法にさらされたころよりも、問題は複雑化・細分化し、まだしばらくはこうし圧力とGAFAは議論する日々がつづきそうです。
日本のクリエイターはどう対処すべきか
日本でおもに活動するクリエイターや、SNSで情報発信している企業やインフルエンサーはどう対応するべきでしょうか。
かつて日本の広告業界でも、技術的な規制がひろがり対応をせまられた事案がありました。
>>Cookie規制でマーケターが知るべき技術的・法的な制限を解説。今後できなくなる施策、できる施策は? | 【レポート】デジタルマーケターズサミット2021 Winter | Web担当者Forum
cookieといってユーザーのウェブ閲覧履歴を取得し、それを広告に活用しようとする技術がありました。現在では、そうした個人の履歴の無断記録は規制され、たとえば、iPhoneなどでは「許可しますか?」といったアラートが多くのアプリで出るようになりましたよね、あれです。
つまり、これまで取れていたユーザー情報を、発信者側はデータ分析やマーケティングに利用することが難しくなったのです。
そこで、多くの広告代理店や企業はどう対応したのでしょうか。上記の記事によれば決定的な代替案はなく、各自で工夫するほかない、ということのようです。
- まだ利用できるcookieでなんとかする
- 囲い込みをしてIDベースでデータ分析する
- 個人ではなくサイトやアプリに向けてターゲティングする
ID利用をする場合も、個人情報保護のながれが弱まることは考えづらいですから、きっといつか厳しくなる未来もあるでしょう。
そういう意味では、サイトやアプリといった個人ではない、媒体やコンテキスト(内容)に注目する動きは今後増えそうな雰囲気です。具体的には、こういう情報を発信しているインフルエンサーに広告をまとめて出す、こういう情報を発信しているTwitterにまとめて広告を出す、といった具合です。
つまり、より自社の商品にマッチするファンをもっているクリエイターに注目が集まる流れが増えてくる、と予想できます。
じっさい、テレビ番組の制作などでは、広告主がもとめる顧客に見てもらうにはどういう番組をつくればいいのかな、という逆算の発想で企画が練られることも多いのです。
ですから、クリエイターも、視聴数やいいね数やフォロワー数だけでなく、こういうリスナーに届くコンテンツ、という情報発信のしかたは、広告主に向けてアピールしやすくなることは、意識しておいたほうがよいと思います。
広告主からみて、「これこそ我社のもとめる情報発信だ!」と見そめられるファーストビューであれば、企業案件も増えるはず。
そのために、クリエイターやインフルエンサーが、今後、より気をつけたほうがよいことは次のように言えるかと思います。
- 投稿ポリシーをしっかり明文化してぶれない
- 公序良俗に反しないと健全な運用
- 数字にさゆうされない安定した継続的な投稿
おそらく、もっとも重要なのは一番最後で、継続的に安定的に投稿できているかだと思います。前の2つは当たり前というか。
なぜ継続が重要なのかというと、企業としては投稿後に、そのインフルエンサーがスキャンダルを起こした、投稿がとまった、となればファンが離れることが予想されます。テレビと違いネットの投稿はある程度、アーカイブ性があることが特徴で、そうしたアカウントとのひもづきがとても強固なのです。
ですから、じつは投稿したあとも、同様のスタンスやポリシーで、継続的に投稿しファンとのエンゲージメントをたもっているかがとても重要になるのです。
そういう意味では、クリエイターやインフルエンサーは、昨今起こっている海外のビッグテックへの批判などトレンドもしっかりキャッチアップし、何かあったときに、自分の投稿に影響がでないよう、留意する必要があるといえるはずです。