最新チャンネル運営を網羅的に学べる神的ビジネス本

YouTuber本

ユーチューバー本はあまたありますが、2020年10月刊行の最新情報で、トラフィックやCTRなど、YouTubeチャンネル運営の一通りをしっかり学びたい人におすすめの一冊が登場しました。しかも、出版社は講談社。内容にとても安定感があり読みやすいです。

本記事の執筆は、ゲーム実況歴3年目で元マーケターのカグア!(@kagua_biz)によるものです。なお、情報は2020年11月27日時点でのものです。ご注意ください。

[kanren]

ユーチューバー本はあまた出版されていますが、講談社という超大手が刊行するケースはとてもめずらしいです。

しかも内容は本格派です。網羅性を重視しているからか、それぞれのエピソードや用語解説は浅めですが、チャンネル運営の基礎的な用語やポイントを網羅的に解説しています。俯瞰視点ももてるようにも書かれているため、マネージャー層にもベストです。
YouTuber本

コンテンツIDまで書かれていて、さっこん話題の著作権トロールなどの事案もすぐに理解ができるようになるでしょう。

こちらは江頭さんがコンテンツID乗っ取り騒動に巻き込まれたときのツイート。コンテンツIDの仕組みを理解していますと、どういうことかすぐに理解できます。

チャンネル登録者数が少なくとも、こうしたシステムの理解は、YouTubeチャンネル運営でとても重要なのです。

本書は、章ごとにこうした漫画によるイントロダクション的な役割と、ざっくりと概要がわかる仕組みになっています。
YouTuber本

全6章あり、それぞれがチャンネル運営の重要なフェーズを紹介していて、国内でもここまで網羅的に解説している書籍は無いと思います。ブランディングまで含めたトップユーチューバーは数えるほどしかいませんし、また成功している人もほとんどいないからです(いるにはいるが書籍としては皆無)。

今後、プロダクションとしてユーチューバーを育てていこうというMCNの運営者にも役立つ内容かと思います。
YouTuber本

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「1本あたり25ドル」
「撮影は週3時間」
「ファンがつくまでは5~8分の長さに」

など、会社運営も含め、随所に具体性のあるアドバイスと解説があります。マクロな視点とこうした作業者としてのミクロが書かれている書籍はなかなかないと思います。元マーケターとしてユーチューバーになった私もとても勉強になるところがありました。

とにかくさくっと読める内容とボリュームなので、おすすめは何度も読み返し、用語を完全に理解すること。そして、書かれている事例の動画はどれなのか、著者のチャンネルと実際に照らし合わせながら読むこと、です。

この本を読む時に注意する点

いわゆるユーチューバー本を、成功のために読む人むけに、少しだけ注意事項や、直接は語られていない前提事項について、わたしなりの視点で気づきを書いておきます。以降の点は、さしひいて自分の戦略に応用していくのがよいかと思います。

ただ、それでも、チャンネル運営のマーケティング基礎力や、考え方、ブランディングの俯瞰的知識、としては唯一無二の良書であることには間違いありません。

お金のトラブルが不安材料がなくマネジメント力の高い理想的なチーム

元々は会社員として働く著者が、3歳の子供を出演させる動画作り。お金の不安もなく、主役となる彼をコントロールできる立場の2人がマネージャーとなって活動する、そんな完璧なメンバーが最初からそろっていて、継続も約束されているという理想的な状態であることは留意しましょう。

国内では、メンバーのスキャンダルや脱退、勉強との両立など、再生回数が上がらないことへの焦りによるメンバー間の不和など、チームの結束を揺らがせる事案はたくさんあります。しかし、本事例にはそうした不安材料はほとんどないことは、忘れてはいけません。

それでも、2015年という米国でも動画市場は飽和しつつある状態のなかでの成功は、並大抵のことではなしえないのは間違いありません。

英語圏という圧倒的に大きな市場

ここも見逃せない点です。日本語圏ではどうしても市場が小さく、トップユーチューバーのヒカキンさんでさえ1チャンネルで見ればフォロワー1000万には到達していません。

市場が小さいということは、再投資のサイクルの効果を生み出しづらいということです。本書でも後半からはブランディングやアニメ化などの、キャラクタービジネスとしての展開が書かれています。しかし、そうした第3者との協業(とくに対法人)となりますと、動くお金は桁違いです。

逆に言えば動くお金が大きいからこそ、アニメという制作コストのかかるコンテンツでさえ回せるようになるのです。ヒカキンさんでさえ2019年にアニメ化コンテンツを投入していますが、2020年の現在では更新がされていません。アニメのターゲットと合わなかった、単純に内容がリスナーにあっていなかった、クォリティが・・・といろいろな仮説は考えられますが、それでも新たなコンテンツを生み出すほどのパワーを市場規模が持ち得てなかったと私は思います。

日本はとにかく少子化で子供が少ないのです。出生率が1.7台を維持できている米国と、1.3からさらにダウントレンドが続く日本とでは、おそらく市場の底堅さが違うのかなと感じます。

最近日本でもとくにチャンネル登録者数を増やしているのは、芸能人以外ですと、やはり英語圏からのリスナーを獲得しているチャンネルなのです。

やっぱり最強子供メインのコンテンツ

おもちゃレビューチャンネル開設から数年後に始めた家族のVlogですが、それも圧倒的な知名度があってからのスタートです。日本でいうならば、ヒカキンさんが宣伝して始まったセイキンさんのような感じです。もちろんセイキンさんの面白さはありますが、当時のあのスタートダッシュのフォロワー獲得ラッシュは今では考えられないほどとても驚異的でした。

そして本書で何度も力説されている3大原則。それらは子供という無垢な存在ととても相性が良いです。また、子供という人間を全面に出していることで、実験・DIY・Vlog・レビュー、どんな企画でもこなすことが可能です。子供が、はやりの企画に乗っかることは、みていてとても微笑ましい。しかし、たとえば40台のおっさんが流行り物にのっかれば「必死だな」と見られてしまうでしょう。

そして、海外でもYouTubeのメインの「すれていない」視聴者はやはり子供です。初めてYouTubeを見る視聴者は、フォローに躊躇をしません。コア層の20台前後のZ世代は、すでに多くのフォローをしており、もうフォローはしたくありません。

2019年YouTubeの子供向け大規模改定前だった

最新事情や網羅性など良書と書いてきましたが、本件は書かれていません。

>>グーグル、YouTubeの児童プライバシー問題で約180億円の制裁金–改善策を発表 – CNET Japan
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これをうけて、Googleが子供向けのパーソナライズ広告の大幅改修しました。具体的に、子供向け動画にはパーソナライズ広告が表示されなくなった、ということです。つまり、広告収益が大幅に減るのです。あと本書で書かれています関連動画露出のテクニックも、そのため、もう今は当時ほどは通用しなくなっている気はします。

そして、この頃には著者達はすでにブランディングのステージにいました。この件で生活が困るほどの大きなダメージはなかったと言えるでしょう。逆に、こうなるまえにファン獲得をなしとげた、という「運」もじつはあります。

わたしはゲーム実況なので、おおくの部分、子供もかぶっていたため影響を受けました。逆にわたしはタイミング的にちょうど不運だった時を体験したのでした。伸びて来た頃に、その勢いを打ち消すように、改変がきました。

>>YouTubeの子供向け制限後にインプが100万の減った私の対策
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しかし、これは本件だけでなく、国内でもヒカキンさんやはじめしゃちょーさんなど、多くのトップユーチューバーが受けた恩恵です。この改修前には、チャンネル登録せずともcookieが情報を記憶し、トップや関連に出やすくなっていたためです。今は残念ながらそのようなことはありません。さらには、AIが本当に動画内容を把握し、最適な動画を表示するようにしています。

ですので、国内の最近のおもちゃレビュー動画では、「この動画は大人向けの動画です」とハッキリ明示して始まるものもあるくらいです。大人向けであれば、子供向けの広告減の設定を回避できるからです。

同じ、子供向けおもちゃレビュー、そして最強チームだとしても、同じようにはいかないのではと思います。個人的には、著者には、日本市場に進出するのではなく、息子ではないまったくの他人のお子さんを、人気ユーチューバーの家族であると明かさず、まったく無名の状態で、今も成功するのかを試してほしいです。

唯一のおしむらくは表紙からその凄さが伝わらないところ

表紙って本当に難しい。遠目に見ると、ユーチューバー、再生ボタンがわかる、そういうデザインになっています。あとは、小さく、キャラクター、漫画、チャンネル名、グラフ、となっていて基礎的な入門書ということは伝わるのですが、それ以上でも以下でもないというか、パンチにかけるというか。

装丁は、門田耕侍さん。こちらのような素敵な表紙をデザインされている方です。とても同じ方とは思えないのですが、振り幅が広いということなのでしょうか。もちろん、こうしたイラストテイストよりは文字中心でビジネステイストのほうが合っている気はしますが、なかなか難しい。

装丁:門田耕侍

装丁:門田耕侍

講談社という超大手出版社ですから、完成物は安定品質かもしれませんが、逆に「置きにいってる」傾向は強くなってしまうのかもしれません。そこは、著者が本書でパートナーを選ぶ時、チャレンジングなスタートアップを選んだときとは異なる判断のように見えます。

ただ、正直、本単体で、売れる表紙ではない気がします。もちろん狙うところはそこではなく、著者を取材されたとき脇に飾る著述、という位置づけなので、逆に主役を邪魔しないほうがよいという判断だったのかもしれません。ただ、そうだとすると、表紙からはこの本の良さが伝わりづらいため、内容がよいだけに、とても残念に思います。

応用できるジャンルや戦術がすべてでなくとも現時点では最高の教科書

それでも本書の「チャンネル運営の現時点での最高の教科書」という地位はゆらがないでしょう。

なぜなら、すでに成功している著者なので、ノウハウ提供にとまどいがなく書かれています。

日本でのユーチューブ成功本の場合、たいていは入り口本なので、読破の先に、オンラインサロン入会やさらなる商品の購入など、ノウハウが出し惜しみされているケースが少なくありません。また、ノウハウ放出は競合を強くする懸念もあり、重要なところがぼかされていたり、数字やデータが出し惜しみされていることも。

しかし、本書は圧倒的な成功をおさめた著者が書いているため、しかも、本書の売上はシングルペアレントの団体に全額寄付されるという大盤振る舞いぶりで、そこからは、淀みのある内容になるはずがありません(あったらスキャンダルですから)。そして、ここで稼ぐ必要も、そしてユーチューブでの競合はもういないからこそだせる、出し惜しみをする必要がない。

なにより、この本が日本市場攻略の足がかりになる位置づけですので、100%ピュアな内容である必要があるのです。

>>11月11日、講談社より発売!|株式会社講談社
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こうした点もさすがだなぁと思うところで、とても勉強になります。すでに、アマゾンへのアニメコンテンツの提供や、チャンネル開設などもされ、その手腕に注目が集まります。

勢い的には、Bitstarや、UUUMを買収するくらいしてもいいのではと思います。ただ、ファイナンスはあまり関心はないようですが(それは本書でも語られていて、ユーチューバーは個人事業や自分で会社設立が合っているとも)、果たして。

まとめ

いわゆる成功本を読むときには、正面切って書かれていない、前提を読み解くことがノウハウ活用には不可欠です。

しかし、本書は圧倒的な成功をおさめた著者だからこその、懐の広い知識公開がなされ、また講談社という圧倒的安定感のある編集力とで、読みやすい、万人に薦めやすい内容になっていることが魅力です。

陳腐化の早いIT本としても、絶妙な具体的操作解説など、ある程度わかっている人が読むぶんには、1時間程度で読めてしまうボリュームではありますが、その網羅性は誰しもが知っておくべき基礎知識や用語の宝庫ですので、買って損はないと思います。

いやあほんと凄い本です。あとはどう活かすかはユーチューバー次第です。とにかくおすすめ。

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