おすすめのビジネス書「起業の天才!江副浩正8兆円企業リクルートをつくった男」レビュー。ベンチャーが何倍もの大きな企業に勝つ痛快さから凋落していくまでを、圧倒的情報量でつづる良書。

公開日: : 最終更新日:2021/10/15 書籍(電子書籍) , , , , , ,

twitter URLコピー facebook LINE
B! pocket note 楽天


   

起業の天才 レビュー

おすすめのビジネス書です。元リクルートの江副浩正氏(以後、敬称略)が、起業しリクルートを大きくし、そして不動産へ傾倒し凋落していく事実を、圧倒的情報量でつづった良書です。前半では、ベンチャーが何倍もの大きな企業に勝つ痛快さを、そして後半ではあのリクルート事件にまで発展するダークサイドを、取材や事実から書いています。読み応えのあるフィクションを読みたい人におすすめのビジネス書です。

本レビューが合う人や前提条件

本書はフリーのジャーナリスト大西康之氏によって書かれました。稲盛和夫、楽天、三洋電機など多くのビジネス書籍を著しているジャーナリストです。日経新聞編集委員などを経て独立された人です。

そして本書は 彼の取材によって書かれています。経営者自身が書いた内容ではなく、客観的事実の網羅や取材することで成り立っています。ですから一方で、時系列が前後することも多少あります。

私は20年以上フリーランスで活動してきました 会社経営もしたことがあります しかしリクルートのような大企業で働いたことはありません。また、ベンチャー企業の中にいて、その企業の成長を目の当たりにするといったことも体験したことはありません。私自身、リクルート事件をリアタイで見ていましたが、当時は内容まではまったく理解できていませんでした。

これまで、SpotifyやPIXAR、Amazonといった海外大手のビジネス書、国内ですとサイバーエージェントやメルカリなどの本を、読んだことはあります。そういう人がレビューします。

おすすめのビジネス書「起業の天才!江副浩正8兆円企業リクルートをつくった男」レビュー。ベンチャーが何倍もの大きな企業に勝つ痛快さから凋落していくまでを、圧倒的情報量でつづる良書。

ですので、本書、および本レビューは次のような人に向いていると思います。

  • 昭和の時代のスタートアップが、どのように成長して大企業になって行ったのかに興味がある人
  • 江副浩正という人物に興味がある人
  • リクルート事件 という名前だけは聞いたことがあり、 興味がある人
  • 企業をどうやったら超巨大企業にできるのかという組織論に興味がある人

一方で、次のようなことを期待する人にわ 本レビューは向いていません。基本は、インタビューや事実などを整理し、江副浩正の

  • 熱い思いを持った社長の前進する姿を見て元気をもらいたいと思っている人
  • リクルートという会社がどのような会社なのかということ、全体を知りたい人
  • 江副浩正が当時どのように考え、どのような思いをもっていたのか知りたい人

それでは「起業の天才!」のレビューをします。

起業の天才!: 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男 | 大西 康之

起業の天才!: 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男
Amazonで詳しく見る

Amazonで口コミ レビューを見る

楽天で詳しく見る

Yahoo!ショッピングで詳しく見る

情報誌ビジネスの成長と熾烈な戦い

江副のビジネスは大学学生時代に遡ります。当時、江副はアルバイトで生計を立てていたそうです。そこで、東京大学学生新聞会の掲示が目にとまり、企業からの広告をとる仕事を始めたことがきっかけだそうです。その会社の採用面接に受けてくるほとんどの学生が編集を希望する中、江副は営業を希望し即採用されたようです。

おすすめのビジネス書「起業の天才!江副浩正8兆円企業リクルートをつくった男」レビュー。ベンチャーが何倍もの大きな企業に勝つ痛快さから凋落していくまでを、圧倒的情報量でつづる良書。

もちろん最初はすぐに広告が取れるほど甘くありませんでした。しかしある時、東大新聞に説明会の告知広告を載せる営業に成功したことから、大学生向けの企業の説明会、という求人告知広告をどんどん取っていくことになります。

どんなビジネスであっても最初に、重要なのはお金まわりです。営業というクロージングをする役割で、彼は頭角をあらわしていきます。そしてのちに大学新聞広告社として創業し、それがその後のリクルートとなります。

その後不動産関係の情報誌にも事業を広げます。ただ、それでも何百人もスタッフをかかえる大手というわけではなく、ベンチャーの規模でした。そこでのエピソードで私が最も気に入っているのは、大手広告社と対等に渡りあった下りです。なんとこの小さな会社が読売新聞系列の代理店と真っ向勝負し、撤退させてしまうのです。

読売新聞が読売住宅案内を創刊して攻めてきました。そんな時江副さんは、年齢や性別に関わらず誰でもいいから結果を出せる人を登用しました。~適材適所の人材企業によって料金を下げるという安直な方法ではなく、「週刊住宅情報 (後のスーモ)」のラックをコンビニエンスストアに並べるという、斬新なアイデアが生まれ、リクルートは大きく飛躍しました

レッドオーシャンをベンチャーが進んでいけば、かならずといっていいほど、大手が立ちはだかります。しかし、彼はアイデアと組閣という正攻法で切り崩すのです。もちろん、当時は「モーレツな仕事ぶり」が許されていた時代だから、ということはあるでしょう。しかし、トリッキーな戦術によらず、まっこうから戦い、読売を撤退させた様子は、リクルート事件さえなければ、と思う人が出てきてもおかしくないほどのインパクトがあります。

リクルート事件へ発展する流れがわかる

私はリアタイでリクルート事件のニュースを当時見ていました。しかし当時は、その詳しい内容までは分かりませんでした。本書を読むと、事業を成功させていった江副浩正が、だんだんと不動産へ傾倒し、政治家へ歩み寄るさまが伺えます。それは、住宅情報誌を成功させ、リゾート開発を成功させた、そして日本がバブル景気へ向かう流れのなかでは、とても自然に見えることがわかりました。当時は、そういう時代だったのですよね・・・。

確かに事業が成功していきますと、ほんのちょっとのわずかな利益よりも、土地を転がして一瞬で莫大な利益を得てしまう、ほうに魅了されてしまう、小さな利益に虚しさを感じてしまったとしたら、それはダークサイドへ落ちてしまったという気持ちも分からなくはありません。

しかし前述のようなビジネスの才覚のある人物が、こうした事件となりリタイヤを余儀なくされたわかり、少しだけ残念に思いました。とくにこのときあたりから、ITへの投資も加速していて、ともするとnihonno

仕方がないので気心の知れた菅原ら、友人に頭を下げて一部を買い戻した。そしてそれを政治家と、その秘書を含む83人に配ったのである。のちにリクルート事件で問題となったコスモスの未公開株の中でも還流株と呼ばれるもので、これが江副の命取りになる。

そして、バブル当時のすざまじいお金のやりとりも読みとれ、現代からは想像できない世界で、まるでなにかのドラマを見ているような錯覚さえ覚えます。恐ろしいことがおきていたと、背筋が凍りました。

「仕込み中の案件全部キャンセル!」
現場は驚愕した。
「そんなことしたら商売できなくなりますよ」「いいから半値8掛けに割引で今すぐ売れ、ぐずぐずしてたら潰れるぞ。」
半値八掛けニ割引は証券市場の格言で 市場が暴落するとか部下は高値×0.5×0.8×0.8、つまり1/3まで下がるという意味である。コスモスは高額な違約金を払って、数ヶ月のうちに8000億円の契約を解除した。
しかし、すでに建ててしまったマンションはどうしようもない。
NHKスペシャルの反響は大きく、マンションの売れ行きはぱたりと止まった。放送から2か月後の12月コスモスの契約率は目標を90%下回り。大量の完成在庫を抱え込んだ。
1992年になると地価下落は、地方にも波及路線価も下落した。土地神話の崩壊が始まった。

江副浩正という人物に共感したところ

私が本書を読んで、江副浩正という人物を知った時、思いのほか共感をしました。

読む前は、勝手に、猛烈な社長というイメージを持っていたのですが、読み進めると以外にもカリスマ性がないと本人が言うくらいカリスマ的というよりスマート、そしてそのことから、周りをうまくまきこむということを心がけていた、ということがわかりました。

確かに上手くは言えないのですが 本文を読む限り AppleやAmazonのような スタートアップによくいるカリスマ性を感じさせる経営者や熱い思いなどとは、ちょっと違うような、頭のよい人がクレバーにビジネスを進めていく、という印象をうけました。

わたしもどちらかというと、モーレツに進んでいくというよりは、よく言えば何でもできる、悪く言えば器用貧乏、という性格なので、淡々とビジネスが進められているさまをみると、ちょっとイメージがかわり、前半を読む限りは、リクルート事件がなかったら、本当にどうなっていただろう、日本からグーグルのような会社が出ていたのかも、とも思いました。

とにかく、現在の巨大企業リクルートを、昭和の時代から1代でつくりあげてきた人物の、半生が描かれた本書は読みごたえ十分です。もちろん、フィクションの痛快ビジネス小説には負けますが、本書はすべて事実ですので、これらがほんとうに起こったことなのか、と考えますと、すごい追体験ができる書籍だと思いました。

「起業の天才!」

ビックリマークをつけるほどなのか、と最初は思いました。しかし、本書を読みますと、モノトーンでハードボイルドな印象のする書影に対して、なんともアンバランスな「起業の天才!」よいしょ!、というようなタイトルは、その江副の半生を著しているかのようです。

現代のビジネスマンにも、こうした時代があったということを知る意味でも、さまざまな示唆があると思います。そして、若い世代からの感想も聞いてみたいです。

彼がリクルート事件で失脚する前に成功させた数々のビジネスは、多くの人に新たな時代と期待をさせるものだったことは間違いがないでしょう。

>>安比高原スキー場創業者江副浩正記念碑リクルート – バックカントリー

本書でもとりあげられています安比高原の記念碑、わたしも見に行きたくなりました。

なお、参考までに巻末には、リクルートの年表が詳細に書かれています。また、圧倒的な膨大な参考文献の数々は、ビジネス書好きの人には、とても魅力的な書籍リストになると思います。

おすすめのビジネス書「起業の天才!江副浩正8兆円企業リクルートをつくった男」レビュー。ベンチャーが何倍もの大きな企業に勝つ痛快さから凋落していくまでを、圧倒的情報量でつづる良書。

おすすめのビジネス書です。

起業の天才!: 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男 | 大西 康之

起業の天才!: 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男
Amazonで詳しく見る

Amazonで口コミ レビューを見る

楽天で詳しく見る

Yahoo!ショッピングで詳しく見る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
PAGE TOP ↑