スタンドエフエムは、収益化のプログラムが多数ある音声配信プラットフォームです。ポッドキャストこそ対応していませんが、今回収益化の一つであるメンバーシップを確認することができましたので、試してみました。なお、一度確定してしまいますと、取りやめや価格変更はできませんので、絶対にうかつに確定しないようにして下さい。
この記事の目次
スタンドエフエムのメンバーシップ機能が開放
スタンドエフエム(通称スタエフ)は、シンプルなデザインと収益化の多様性や時間制限のゆるさから、人気を博しています。
これまでは、SPP(スタンドエフエムパートナープログラム)の審査がとおっていないとメンバーシップなど、収益化のプログラムが使えなかったのですが、先日確認したところ、設定できる画面がメニューに登場していました。※公式にはまだですが、いろいろな声をみると、どうやら「全員に開放された」とのこと。
一度開設すると値段の変更ができないということなので、まだ開設はしていませんが、画面は確認できましたので、レビューします。
メンバーシップを開設しますと、上図のように、月額課金でメンバー限定のライブや収録配信ができるようになります。クリエイターの収益としては、サブスクなので、ユーザー数がある程度獲得できるとしたら、とても魅力的に見えますね。
スタンドエフエムが、音声配信プラットフォームから有料コミュニティ開設サービスへ舵をきったといえるでしょう。
オンラインサロンを開きたい人にも、朗報かと思います。
これは、アップルがEPICゲームズとの訴訟で、決済リンクをAPPLE以外にも認めることと言い渡されたことと無縁ではないと思います。実際、スタンドエフエムで、新規に開設されたと思われるメンバーシップでは、ウェブページに飛ばされて決済をします(ちなみに、この判決が出る前から、Voicyは外部決済ではあったので、杞憂かもしれませんが)。今後、こうしたアプリは増えていくのでしょうね。
>>アップルのApp Store外での決済方法への誘導ブロックが禁止に、Epic Gamesとの裁判で | TechCrunch Japan
詳しくは、スタンドエフエム歴の長いmasakiさんとすきめしさんのライブを聴くと参考になると思います。あとは、公式発表がありましたら、随時リンクを追記していきます。
さて、それでは、スタンドエフエムで、有料チャンネル=メンバーシップを開設する方法をみていきます。
メンバーシップの月額料金の決め方
注意!
メニューからメンバーシップ開設
スタンドエフエムのアプリの右上のメニューを開きます。すると、メンバーシップ開設のリンクがありますので、そこから、メンバーシップ開設を申し込みます。
なお、振込口座設定には、免許証や連絡先など、本人確認が必須となります。
このあたりは、運営がすぐに連絡をとれることが不可欠なので、粛々と進めましょう。
>>消費者庁が新見解!クリエイター寄りの解釈に変更へ。どんな業者から買うのかを明らかにする出品者情報の軽減でストーカー被害を防げるか。その影響とクリエイターが備えること。
月額料金の設定と料金の刻み
スタンドエフエムで、メンバーシップ開設するには、料金と説明文をいれるだけです。
注意!いったん保存してしまうと取りやめや価格改定はできません。ぜったいに、うかつに保存しないで下さい。
メンバーシップ月額料金は、つぎのような刻みになっています。300~10000円まであり、いろいろなニーズに応えることができそうです。
- 300円
- 400円
- 500円
- 600円
- 700円
- 800円
- 900円
- 1000円
- 1100円
- 1200円
- 1300円
- 1400円
- 1500円
- 2000円
- 3000円
- 4000円
- 5000円
- 6000円
- 7000円
- 8000円
- 9000円
- 10000円
たとえば、月額300円であれば気軽にみんな入ってねーといった、中高生向けのファンクラブ的なものでもよいでしょうし、1万円であれば、法人向けやコアなファン向けに毎月クローズの定期ライブを行うなどできそうです。
なお、上記の料金のきざみの平均値は2986円ながら中央値は1350円です。ですので、値ごろ感がありつつ、あまり安すぎないというところでは、1200円くらいがいいのかもしれません。
そもそも、無料で聴ける音声配信にお金を払おう、という人がどれくらいいるのかというと、やはり厳しいというのが現状です。ですから、月額1200円で音声で生み出せる価値はなにか、という逆算からサービスを考えるほうが、合っているのかな、と思います。
お金をはらう習慣がないからと、一番安い300円を設定してしまうと、人数が少ないときに、配信モチベーションを維持するのが難しくなるような気がします。
スタエフ内メンバーシップの料金の例
さて、2021年10月14日現在、有料チャンネルだけを検索して絞り込むという機能が、スタンドエフエムにはありません。ですので、ハッシュタグやキーワード検索で調べた限りでは次のようなメンバーシップ番組が見つかりました。
- キッチンカーストロング 300円/月
- 子育てパパx読書体験ラジオ 300円/月
- stand by(スタンバイ) 300円/月
- あなたの人生のお買い物はもうお済みですか? 400円/月
- カメラマンしょうの写真を語るch 480円/月
- モフモフ学院~人間理解の研究~ 480円/月
- ある、コーヒーの街から。 500円/月
- 部室 500円/月
- SPPになって分かった事 500円/月
- 占いを科学する!カガクショー 500円/月
- ドーナツの穴から見る世界 500円/月
- 国際線CAミイの空飛ぶラジオ 780円/月
- 今日から毎日誰でも美容・洗濯の生活水準を+1 980円/月
- 美容家による美肌作りRADIO 980円/月
- distinct.me by hikaru 900円/月
- カクテル・ラジオ#声のバーテンダー 1000円/月
- まーちゃんねる 10000円/月
刻みが80円になっている人は、早期にSPPの審査にとおって、現在のメニューで月額料金を設定するタイプの開設方法ではなかったのかもしれません。
ちなみにVoicyではいくらくらいが多いのか
Voicyではプレミアムリスナーという名称で月額課金の有料チャンネルを開設できます(そもそもVoicyが審査制なので誰でもというわけではありません)。
Voicyであっても、プレミアムな人の配信は1000円前後が多そうです。
芸能人や著名人
- 西野亮廣 #西野さんの朝礼 1300円
- ちきりん Voice of ちきりん 1100円
- 中田敦彦 聴くYouTube大学 in Voicy 600円
音声配信で有名になった人
- ワーママはる ワーママはるラジオ 800円
- 高山ゆかり 話し方のハナシ 500円
- ITキャスターパパ丸山 毎日5分トレンドITパパニュース 200円
先行するYouTubeメンバーシップ
こうしたファン向けのメンバーシップとして先行していますのは、YouTubeです。
多くの人気ユーチューバーが、メンバーシップという月額のコミュニティを運営しています。その多くは月額480円という価格が多いです。
特典としては、ライブでメンバー専用の絵文字がつかえたり、メンバー専用の配信ができたり、というところです。
YouTubeアプリ内で決済できるため、利用しやすいこともあり、こうした有料コミュニティとしては最大規模なのではないでしょうか。
Pixiv FANBOX
いわゆるクラウドファンディングのような支援型の月額課金ということでは、多くの人気イラストレーターや絵師を輩出してきたpixivも巨大なコミュニティになっています。
PCブラウザでの利用からはじまったことや、大人向けコンテンツも多くあるなど、といった背景があり、決済についても比較的たかい価格帯が多く(もちろん、価格帯の幅があることが大きい)、奥深さを感じさせます。
支援という意味合いがつよいため、熱量に応じて価格帯を設定できるたてつけが魅力です。
ですから、こうして見ると、スタンドエフエムが、音声配信サービスから、オンラインサロン開設サービスへと舵をきったと言って良さそうなのですよね。
これは月額課金サブスク運営の難しさを解決できる
今回の、有料メンバーシップ全開放は、スタンドエフエムが、有料コミュニティ開設サービスへと舵をきった、とわたしは解釈をしています。
実際、音声をベースにしたオンラインサロン開設プラットフォームはないからです。
>>Substackみたいなサブスクできるコミュニティを作れる【2021年版】サブスクのサービス17選クリエイターエコノミーで手にしたい収益化
音声であれば、たとえば、毎週30分音声ライブをする、それを月額課金の特典にする、というのは配信者にとって、負担の少ない運営です。
オンライサロンなど、有料コミュニティ運営の難しいところは、人数が少ないときの継続モチベーションの維持です。
やはり、人数が少なく月の売上が数千円だったとき、毎回新しいネタを用意するのは、やはり骨が折れるものです。新規獲得のために、無料コンテンツも合わせて配信しつづけなければいけませんから。
ですが、音声であれば、たとえば、週イチ10分の音声配信、などはおそらく負担はそれほど大きくないはずです。普段から音声配信をしていなければ、なおさらプレミアムと受け取ってもらえるはずです。
そういうニーズに、今回の施策はマッチしていると思います。
ですので、もっともおすすめなのは、TwitterやInstagramでそれなりにフォロワーさんがいる人で、音声配信をしていない人です。継続の負担が少なく、月額サブスクを運営できる可能性が高い、ということになるからです。
また、スタンドエフエムは配信の概要欄に書いたURLはリンクで飛べます。ですから、そこへ限定公開されたYouTubeなどのリンクを貼ってもいいでしょうし、限定公開のPDF教材などとリンクをはってもいいと思います。そういったコミュニティ運営をしやすくできる仕掛けがもともとスタンドエフエムでは実装されていましたので、活用できれば、さらに運営はしやすくなると思います。
さて、競合となるRadiotalkも、月額課金サービスを展開しています。しかし、現状では審査の通った一部のユーザーのみです。彼らとはそもそものコンセプトは異なるので比較はできませんが、Radiotalkで課金の審査が通らかなかった人には魅力的に見えるはずです。今後の、Radiotalkなど他のプラットフォームの戦略にも影響を与えそうです。
可能かわかりませんが、スタンドエフエムで課金料金の異なるチャンネルを複数開設し、いっぽうは全配信が聴けるサブスク、いっぽうは1ヶ月だけ過去回は聴ける(期間がすぎたら手動で非公開にする)チャンネル、といった運営も理論的にはできそうです。これも、月額課金プラットフォームを全開放したからこそと言えます。
本人確認は必要となりますが、音声にかぎらず、ここまで手軽に月額サブスクを導入できるサービスは現状あまりなく、かつ、そもそもスタンドエフエム自体にある程度集客がでているため、スタート時の集客もしやすい、稀有なサービスとなっています(単なる課金サービスはそもそも集客が厳しく、オンラインサロンプラットフォームはたいていは加入しているコミュニティから出ることはないため)。
オンラインコミュニティを立ち上げたい、という人は、今後スタンドエフエムは有力な選択肢になりそうです。
すでに立ち上げている人には、おそらくスタンドエフエム内での広告商品や、露出のノウハウが不可避になっていくでしょうけども、それも運営側にはプラスでしょう。今後も注目を集めそうです。