REC.で声優の卵さんたちが、続々と音声配信をはじめています。これは、REC.のマーケティング的な戦略が奏功した結果です。
音声配信アプリは、それぞれが独立して配信者とリスナーを囲い込む戦略が台頭しておりカオスな戦況になっています。そのなかでREC.の一手がとても興味深かったので掘り下げてみたいと思います。
この記事の目次
新進アプリがユーザー数獲得に打った奇手
音声配信アプリは、いかにして魅力的なパーソナリティを集めるかが、とても重要な戦略になります。TwitterやInstagramなど、すでに数字を持っている人を招聘できれば、そこで再生を稼げる見込みが高まります。
ただ、そのためには数も必要です。どんな人がヒットするかはわかりませんので、スポーツでも連載漫画でも、スターを生み出すにはやはりある程度の数は必要になるかと思います。
そこで、UUUMがとった一手は、学校との提携です。声優さんやイケボイスは人気ラジオの定番コンテンツです。そこに安定供給の道筋をつけました。
>>『声』の活躍の場は、更に広がりを。松竹芸能、UUUMの業務提携により松竹芸能声優アカデミー、UUUMの音声配信ソーシャルアプリ「REC.」を活用した声優育成事業を開始 |松竹芸能株式会社
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わたしは元教員なので、わかりますがこれは非常に強力です。詳細は知る由もありませんが、理論的には「毎日配信しなさい、これが単位取得の最低条件です」としてしまえば、配信するほかありません。
もちろん、生徒のモチベーションと不平不満のバランスという微妙なさじ加減をマネジメントする必要がありますが、それでも概要欄に「松竹芸能声優アカデミー」と表示されれば学校はウィン、ユーザー数が増えればUUUMもウィン、ファンを獲得できれば声優さんもウィン、と三方良しの関係が築けます。
全員がスターになる必要はありません。一人でも多くスターが生まれればそれで良いわけです。そして、そこにリスクはほとんどありません。音声アプリの特徴は、誰でも簡単に10分お話さえすれば良い、という手軽さです。ネタを考える負担こそありますが、そこをクリアしてしまえば、それほど生徒にとっても負担になるとは思えません。
ですので、これは非常によく出来た施策です。ただ、他ではあまり見ない戦術で、やるなぁと関心しました。そろそろ1次報告などのリリースを見てみたいですね。
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声優さんの卵さん達が続々と配信を開始
実際に、GW開けくらいからプロフィール概要欄やユーザー名に「松竹芸能声優アカデミー」と書かれた投稿が増えていきます。検索しただけでも、
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さらに、数回の配信ながら、すでに再生回数100回を超える回を出す、声優の卵さんたちもいます。ただ、REC.では再生回数は自分をカウントするなど完全なUUを示すわけではありませんので、あくまで参考程度ですが。
それでも、ファンの中には自分が育てたいというニーズは一定数あり、そこにうまくリーチした印象があります。
そして、これは立ち上げたばかりのREC.だから出来たとも言えるでしょう。
それはなぜなのでしょうか。
多くの音声配信アプリは閉じたコミュニティ
音声配信アプリには避けられない致命的な課題があります。それは、コンテンツを聴き始めたら画面を見ない、です。
YouTubeにしろpixivにしろ、多くのコミュニティは画面を見ることで、関連動画やそのユーザーの他の作品、おすすめといった誘導ができます。そうすることで、新たな作品やクリエイターとの出会いをエンゲージメントし、ファンを増やし、そこを目指してユーザー登録をする、といった好循環が生まれます。
しかし、音声配信アプリではそれが出来ません。多くの音声配信アプリでは、新規へ誘導する導線が、圧倒的に限られているのです。
ですから、声優という属性を考えますと、先行しているのは国内では、spoonかと思います。多くのアイコンやサムネイルに、萌なイラストやイケメンの2次元が使われていることからも明白です。しかし、そこはすでにそうしたファンとリスナーの関係が築かれている場所です。推しを無闇に増やすファンはいないでしょう。
そういう意味で、まだユーザー数の少ないREC.を選んだ松竹芸能声優アカデミーは、よい選択をしたと考えています。もちろん、ここしか提案がなかった可能性もありますが、それでもよく新進アプリに賭けたなという印象です。
ただ、浮き沈みの激しい芸能界を長年生き抜いてきたからこそ、理屈ではない何かを感じ取られたからかもしれません。
それぞれの次の一手を考えてみた
松竹芸能アカデミーの次の一手
これは、配信1ヶ月たったタイミングで、数字を公開することです。よしんば成功している生徒さんのインタビュー記事を公開するなどが効果的でしょう。現状では、まずまずのスタートを切れていますので、これをアピールしない手はありません。
例えばこんな感じです。
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注意点としては、「俺たちが手ほどきした」と取られないような表現にすることです。ここでハナタカになってしまえば、仮に教育内容に不備があったとき、SNSなどで「俺ら別に何にも教わってねーし」といった言いがかりを投稿されかねません。
あくまで主役やがんばりは生徒に華をもたせる表現にすることが重要です。そして、可能ならば今後の展開も少しネタバレしておきますと、メディアの関心も継続されるものと思います。
UUUMの次の一手
たぶん、ここが今一番つらいところです。なぜなら、UUUM社内ではいま吉本興業との提携に関するさまざま雑務が増えていると想像できます。そうしたなかで、おそらく売上をまったく上げていないREC.に、どれだけリソースを避けるかは微妙です。
ただ、幸いREC.の開発陣のモチベーションは高く、iOSとAndroidで定期的なアップデートを出来ています。ただ、それでもSNSへの対応などはstandfmに機能面でまだ見劣りします。まだまだできるタッチポイントづくりはたくさんありますが、それもやはりリソース次第となるでしょう。
本来であれば、松竹芸能声優アカデミーの専用LPを作ったり、推しに投票しよう!といったブーストをかける施策を打ちたいところですが、どうもリソースは足りていないようです。また、開発に資源が乏しくとも、公式Twitterなどで盛り上げることもできそうなものですが、2020年5月21日時点で公式Twitterの投稿数はだいたい1日1投稿、多くて5投稿という頻度です。ですので、残念ながらTwitterフォロワー数も1000に満たない数にとどまっています。
REC.全体で考えた時、定番は次のブーストエンジンを実装することなのですが、さすがに追加リソース投入は厳しそうなので、登録ユーザーが自ら自分の配信を拡散することを奨励するようなインセンティブの開発、などになります。
自分たちのリソースが増やせなければ、自然と拡散が増えていく仕組みを考えるべきです。そのとき、既存ユーザーへの刺激策というのは定番です。
ちなみに、開発の優先度は以下の順かと思います。負荷対策は、費用がもっともかかるところではありますが、おそらくここに今思い切って投資できるかどうかが、今後数年のもっとも大きく影響する投資になるかと思います。トップの胆力が問われるところです。
- 負荷対策(レビューなどでは重いという声が多い)
- コラボや匿名レターなど配信者の負担を下げる機能実装
- SNS対応や強制アプリ勧誘の撤廃など非ユーザーへの導線増加とウェブ対応
- チャンネル、配信、ユーザー検索など検索の充実
具体的には、チャンネル自体のSNS共有ボタンがない、が致命的かと思いますので、今は通報しかないメニューのところに、実装すると良いと思います。これがないと配信者さんが自分の番組を宣伝できません。
声優の卵さんたちの次の一手
配信者さんの中には、すでに再生回数が落ちている、ネタが付きている、息切れしているといった感じで、投稿頻度や再生回数、そしてフォロワー数が伸び悩む人も出始めています。
ただこれはじつは、REC.に限らず音声メディア全般に言えることです。とにかく新規の露出が圧倒的に少なく、露出されないため、新規のフォロワーが増えないのです。これは、すでに10年以上の実績のあるポッドキャスト界隈でも同様で、成功しているトップポッドキャスターでさえ、マネタイズに苦労されていることからも自明です。
ですから、配信者さんは普段の自分の勉強や生活もあるなかで、本当に大変かとは思います。また、REC.にはコラボ機能がありませんので、REC.だけでコラボをしてネタをつなぐということができません。
- Twitterで宣伝
- REC.で毎日配信
- ネタに困ったら日常をライブ
ですからまずは、近道がないと認識すること。これを強く念じることで、まず気持ちが楽になります。成功している人でも良手はないと理解することで、とにかく毎日配信するしかないのだな、と割り切れます。
そうしたら、Twitterでマメに宣伝し自力で誘導する。また、何かを食べながら、あーだこーだー日常を語ってもいいのです。ライブは最強コンテンツなので、それを使わない手はありません。ライブであればそれを実況するだけで、言葉は決まってきます。また、声優さんであれば、それをxx男子風などとアレンジも可能かと思います。
演技の幅を広げる練習の場と、REC.配信をとらえ気長に楽しみにながら、配信をつづけ機会を待ちましょう。
そして、リスナーさんへの応援呼びかけや、いいねや再生回数の強力など、できるお願いはどんどんしましょう。REC.はコメント機能がないので、リスナーとコミュニケーションするには、番組内で呼びかけ、次にアンサー投稿をする、というサイクルしかないのです。
おすすめの声優の卵さんたち
すでに一定の再生回数とフォロワー数をほこる声優の卵さんたちが出始めています。以下にご紹介します。ぜひ皆さんもフォローしてみて下さい。
番組自体にリンクが張れないので、それぞれ第1回の配信のリンクを掲載しています。
くきゆめさん
>>はじめまして!今日も元気なくきゆめです | REC.
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森乙未(モリツグミ)さん
>>第1回 悪役の魅力 | REC.
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とすはるなさん
>>#1 初投稿!役者として頑張っていきます! | REC.
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中道 美希さん
>>はじめまして!! #1 | REC.
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花岡芽佳さん
>>花岡芽佳(ハナオカメイカ)の自己紹介 | REC.
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ぜひ、みなさんもフォローしてみてください。定期的に更新されています。
広報・PR・販促担当者のための伝わるコンテンツ制作ガイド ―これだけは知っておきたい! 構成力・発信力をアップする「編集」のノウハウ | 井上綾乃, 山賀沙耶, 鈴木衣津子 |本 | 通販 | Amazon
まとめ
REC.の一手についてとても興味深かったので、ちょっと掘り下げてみました。
音声メディアは、とくに国内ですとアプリが分散してしまいスケールしづらい状況となっています。クリエイターもどこで配信するのかが、わかりづらい状況となっており、今後もカオスな状況は続くと見ています。
ただ、そういう中で世界では音声コンテンツに関する新しい流れが確実に生まれてきています。今後も、そうした戦況と各社の戦略に注目していきたいと思います。> REC.
・・・と、こんな感じの父親目線で、SNS、ドライブ、ゲーム、生活防衛ネタが多めでブログ記事を2009年から書いています。よろしければLINE@をフォローしていただけると更新情報を受け取れますのでおすすめです。記事を気に入ったというかたはぜひ。
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