なぜわたしの投稿はバズらないのか。あの人はもともと知名度もあっていいよね、など人をうらやむことはありませんでしょうか。しかし、知名度があっても必ずしもバズるわけではありません。またフォロワーも増えるものでもありません。本質的に大事なのは「信頼残高」がどれくらいあるか、なのです。
知名度があってもバズるわけではない
こちらは、ある人気俳優さんのユーチューブチャンネルで、もっとも再生回数の少ない回です。多くのドラマで活躍している、誰でも知っている超人気俳優さんです。
おふたりとも、2020年にYouTubeでチャンネル開設され、現在数万人のチャンネル登録者数がいます、誰もが知っている芸能人です。動画投稿当時は、おそらく1万人くらいの規模だった気がします。
- 調査日時点での再生回数:634回
- 調査日:2021/11/30
- 投稿日:2020/09/27
さらにこちらは、バラエティ番組でよく見かける男性タレントさんのもっとも再生回数の少ない回。いっぽうで、もっとも再生されているのは、145万回です。
- 調査日時点での再生回数:2161回
- 調査日:2021/11/30
- 投稿日:2020/12/08
いっぽうで、本田翼さんや川口春奈さんのように、タイトルをSEO受けするようなものでもなく、チャンネル登録者数がいない全くの新規のときにも、何百万という再生回数をたたきだす、バズリの源泉はいったい何なのでしょうか。
前述の芸能人のかたとは、どのような違いがあるのでしょうか。
一生お金に困らない人生をつくる―信頼残高の増やし方 | 菅井 敏之
では、いっぽうで、前述のお二人の動画投稿を、人気順にならべかえてみます。すると、動画タイトルには次のような共通点がありました。
- コラボでさらに当時の俳優さんが勢揃い(俳優名もタイトルに含む)
- Vシネマなどで超人気俳優さんと対談(俳優名もタイトルに含む)
- 暴力的なワードがタイトルに含まれている
- 誰もが知っている出演ドラマ名がタイトルに含まれている
これをみますと、パワーワードを含み、共演者のパワーがとても大きいことに気づきます。チャンネル解説者と、ゲストさんに人を呼び寄せる決定的な違いがあることが推測できます。
知られていると人を呼び寄せることは、違うことがわかります。
パワーワードは、YouTubeなどプラットフォームに多くいるユーザー属性や偏りに影響します。これは、プラットフォーム側が、そうしたテーマの動画の露出を増やせば、より視聴時間が伸びて高広告収入が増えると算出されるからです。
知名度・認知度・期待度、そして信頼残高
では人を引き寄せる力とは何なのでしょうか。それは、わたしは知名度ではなく認知度が高く期待値も高いからだと思っています。
知名度はたんに知っている程度、しかし、認知度は、それがどんなものかわかっている、という状態です。そして、期待値はそこにふれれば、自分の欲望を満たしてくれる、と期待させる度合いです。人は欲望や本能に刺さってこそ、感情がたかまり行動にうつるものなのです。
たとえば、ルッコラという野菜は聞いたことがある人は多いかもしれません(知名度)。しかし、その味を思いうかべられる人はどれくらいいるでしょうか(認知度)。味が思いつかなければ、食べたい!という欲求もうまれず行動にはうつせないでしょう(期待度)。
いっぽう、チーズがトローリと美味しそうなハンバーグにかかっている動画。これは、チーズもハンバーグも知っている、トロ~リという食感もハンバーグの味も知っている、そして、その組み合わせからくる美味しさのハーモニーをまた食べたい!そういう人が、お店には行くでしょう。
じっさいバズレシピで有名なリュウジさんも、バズるためにはどうしてもそういう食材が多くなってしまうと吐露しています。
たまーにSNSの料理研究家はごま油やバターやにんにくやチーズしか使わないとか言われたりするんですがこれはちょっと違うんです。SNS、特にTwitterはこれらの圧倒的に美味しいと想像出来るものほどバズるのです。だから逆にいうとこれらを使わないとバズらないから地味なレシピは全部埋もれる。
そりゃそうですよね、作ったこともないわけだから「いや、そりゃうまいでしょ…」とわかるものしか興味をもちにくいわけです。
SNSの料理家はごま油・バター・にんにく・チーズしか使わない?→バズレシピのリュウジさんが納得の理由を解説 – Togetter
https://togetter.com/li/1786264
つまり、知らないことはバズらない、想像できないことはバズらない、本能に刺さらないものはバズらないのです。
こうしてみると、前述の芸能人さんと、本田翼さんとの違いも説明できるのではないでしょうか。
- ある芸能人さん 知ってる→なんの人?→なに見せてくれるの?
- 本田翼さん 知ってる→またゲームやってれる!→癒やされそう!
という導線ができていることが、大きな違いなのです。わたしはこうしたファンとの関係を、信頼残高がたまっている状態と言っています。
信頼残高、という言葉自体は、世界的に有名な著書「7つの習慣」で取り上げられている概念です。これは、SNSが全盛のいまこそ、逆に重視されるのではないでしょうか。
普段から、ファンとSNSで交流することで、知名度があがり、認知も広がり、期待値もあがる、そうした積み上げなしに、知名度があるといってYouTubeを開設しても、前述のとおりとなることは、もうおわかりだと思います。
もちろん、あくまで結果論ですし、またYouTubeのアルゴリズムも日々変化します。ですので、これがすべてではありませんが、現状ではこういう見方もできるかなと思います。
人は本当にささる期待値がたかまったときに、行動をするのです。
とはいえ、いきなりバズるというケースもありますので、結局のところは運も大きいのだとは思います。また前述の俳優さんに関して言えば、役柄や脚本など作品に恵まれるかどうかもありますので、どこまで信頼残高を貯められるのかというのは、努力だけでなんとかなるものでもないところはあるでしょう。ただ、前述のように一般人は、期待度を上げるまでにはSNSで相当の交流や信頼残高をつみかさねていかなければならないでしょう。
とすると、それまで長くつづけられる、ということ=好きなこと、なのかどうかがバズるためには一番重要といえるかもしれません。
バズる書き方 書く力が、人もお金も引き寄せる (SB新書) | 成毛 眞
参考情報
残業だらけになる人は「信頼残高」を知らない | 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/207305
うっかり「信頼残高」を減らしていませんか?相手と信頼関係を築く3つのポイント | manabishare
https://manabishare.com/personal-integrity-account/
「信用なき助けあい」は なぜ成り立つのか | 小川 さやか | トイビト
https://www.toibito.com/column/humanities/ethnology/2997