NFT市場が盛りあがるなか、自分の作品がかってに出品されている、お金儲け主義の人たちが増え市場が荒らされるかも、といった懸念やトラブルが目立つようになってきました。自分の作品や投稿を守るためにできることを考えてみました。
NFT界隈でのトラブルや歓迎されない動き
「私が制作・販売したVRoid用ヘアプリセットがどうも勝手にNFT利用されてるようです」
私が制作・販売したVRoid用ヘアプリセットがどうも勝手にNFT利用されてるようです…。
利用の際は必ず作者名を記載するよう規約に書いてますし、
こういった「作者を誤認させる行為」は明確な規約違反なんですよね。
どうするべきか… #VRoid #VRoid正式版 #NFThttps://t.co/uIZUfD0ZLS pic.twitter.com/K2O2x6adkj— みとう (@amasato_mitou) November 22, 2021
「わーーーこれは本格的にまずい界隈に・・・」
わーーーこれは本格的にまずい界隈にVRoidが見つかってしまったのでは、、 pic.twitter.com/7nPLv4ywtJ
— 藤林檎🍎V-girl (@fujiringoapple) November 21, 2021
前者は自分がつくったアバター(VRoid)が、第三者に勝手に出品されているというトラブル、後者はお金儲け系の人たちが話題にしていてVRoid界隈がシュリンプ(萎縮)してしまうのではないかという不安、をそれぞれ投稿しています。
前者はあきらかに問題ですし、現在最大手のオークション市場が、そうした被害対応にはあまり前向きでないことが背景にあります。
また、後者はとくにVRoidという3D空間上のアバターで、テクスチャやモデリングデータなどで、すでに配布している人たちや楽しもうという人達で、お互いマナーをまもって楽しんでいるところに、資本主義のルールが押し寄せ、そうした絶妙な空気が荒らされる、という不安です。過去にもそうしたコミュニティが荒れることは、他のジャンルでもある話なのです。
そうした、投稿が2021年11月20日あたりに散見し、いっきに話題になりました。
SNS投稿や共同制作作品など一般の人も無縁ではない
柴犬の写真「Doge」4.7億円で落札 NFTチャリティーで“なりすまし”に対抗
https://www.sankeibiz.jp/business/news/210617/cpc2106170700001-n1.htm
タランティーノ監督を映画会社が提訴。パルプ・フィクションのNFT販売に「著作権侵害」と主張
https://www.huffingtonpost.jp/entry/miramax-sues-quentin-tarantino-pulp-fiction-nft_jp_61945afee4b0451e54f1b01b
SNSに投稿した画像や、共同制作でつくった作品を一部の人が出品する、などNFTは大きなお金が動く場合もあるため、より多くの人に飛び火する可能性があるのです。
VRoidも含めたNFTまわりで起きていることは、こちらのnote記事でわかりやすく解説されています。
NFTアートには手を出すな!|swmr|note
https://note.com/sawamuradacun/n/n5e4d0f5f8783
VRoid界隈でNFTが問題視されてるのでわたしが知ってる限りのことをまとめた。|渡辺秋穂|note
https://note.com/akiho_watanabe/n/n7d497a3eee03#vSsQm
NFTを買ってもデータは複製できる
3億円のNFTを買っても著作権は手に入らない | TechCrunch Japan
大金をつぎこんでデジタルアートを買ったとしてもそれは、購入者であること、そのデータがオリジナルであること、ということを証明するトークン(証明書)を買ったにすぎません。
つまり、作者が条件つきで出品したとき、かりに著作権は渡しません、などの場合は、落札後も権利をもつ著者は、いくらでも複製できます。もちろん、違法に複製することだってできてしまいます。なんていったって、買ったのは証明書というだけなのですから。
ではなぜこれほどまでに話題になっているからというと、仮想通貨を消費する投機目的として盛り上がっているにすぎません。クリエイターには出品して落札されれば恩恵はありますが、そうでない人で、飛び火だとしたらたまったものではないですよね。
ファンベース (ちくま新書) | 佐藤 尚之
勝手にNFT出品されることを防ぐ対策
「VroidがNFT化されてて転売されるという被害があるらしいですが、転売禁止(権利の譲渡の禁止)を明文化すれば、法的に叩けます。」 / Twitter
VroidがNFT化されてて転売されるという被害があるらしいですが、転売禁止(権利の譲渡の禁止)を明文化すれば、法的に叩けます。データ販売時の規約を分かりやすく掲示したい方に、制作者を保護するための、弁護士チェック済みのライセンスジェネレーターがあります。 https://t.co/EMyNkWmNVO
— あしやまひろこ (@hiroko_TB) November 21, 2021
あしやまひろこさんは、禁止行為にNFTをふくめる利用規約のフォーマットを公開してくれています。それをもとに、自分なりにまずは明文化するとよいでしょう。
まきなストア 利用規約|まきな|pixivFANBOX
https://makina.fanbox.cc/posts/2978683
まきなチャンネルさんは、さらにふみこんで、NFT化を禁止しています。そうした事案が確認できたときには、具体的にいくらを請求しますと。
リアルの世界でよく、駐車場に「勝手に駐車したら1万円いただきます」と貼り紙がありますが、それに近いですよね。もしそうなった場合の具体的な被害額を書くことはとても大事です。
法的措置を検討するときも、具体的にいくらいくらの被害が出た、と言えるとことが早く進みます。そういう自衛をしていませんと、警察にもうしでたとしても「じゃああなたは具体的にどういう被害をうけたの?」と一蹴されることも多いようです。
参考にしたいものですね。
NFTやブロックチェーンとうまく付き合う
NFTの基礎技術であるブロックチェーン自体は、これからの技術で期待されている技術です。
3DアバターとブロックチェーンでXRビジネスを推進する株式会社Pocket RDがスクウェア・エニックス、KDDI、講談社、大日本印刷と資本業務提携|株式会社PocketRDのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000069815.html
大手企業がこぞってブロックチェーン技術をつかった新しい産業を生み出そうとしています。また、具体的にクリエイターがNFTに出品して大金を稼ぐ、ということも夢のあることです。
しかし、世界には技術を悪用しようとする人たちがたくさんいて、関係ないからと自衛をしないと、ある時巻き込まれるということも少なくありません。
とくに、最新技術は法的な規制もありませんし、人類もはじめてのことでどうなるかわからないため、どうしてもやったもの勝ちというルールがはびこってしまいます。
あなたのSNSやブランドを守ることができるのは、あなただけです。