クリエイターエコノミーは継続的でなければなりません。ある一瞬のバズだけで食っていけるほど甘くありません。そのためには、ファンとコミュニティをつくり関係性をとだえさせないことが重要です。本記事では、成功しているクリエイターがつかっている「つながりツール」をまとめます。
この記事の目次
つながりの経済
無料のメディアやセミナーで関係性をつくったらそこで終わりにせず、関係性を継続させることで、つぎの購買へとつなげることができます。エクスペリエンス・マーケティングの藤村氏は、もはや新規顧客はおらず、友達からしか買わないとまで言うほどです。
TwitterやInstagram、minneやboothのように、それぞれのプラットフォームはありますが、それらへ継続的に呼び込むためには、クリエイター側が積極的にプッシュ通知して「あなただけに届ける」情報や関係性を構築することが重要です。
それがナーチャリングツールなどと言われるものです。代表的なものには、メルマガやLINE公式アカウントなどがあります。SNSはプル型のメディアとよばれるいっぽうで、こうしたツールは、クリエイター側が主体的にはたらきかkせるプッシュ型のツールです。
ですから、ともすると、押し付けになるリスクをはらんでいますが、そこが「関係性の構築」のポイントです。そうならないよう、よくぞ教えてくれた、というようなプッシュメディアに成長させることができれば、プラットフォームのアルゴリズム変更にも左右されない強固な関係となるでしょう。
それでは、クリエイターが利用しているナーチャリングツールをご紹介します。
ナーチャリングツール
※敬称略・順不同です。
LINEやYouTubeライブ
SNSクリエイターのさやかさんは、LINE公式アカウントで情報発信をプッシュしつつ、YouTubeライブを定期的に行っています。
しらが さやか 2児の母(@sayaka_sns) さん
https://www.instagram.com/sayaka_sns/?hl=ja
また、日本SNSクリエイター協会の代表理事もされ、ビジネスとしてコミュニティを構築し、成功されています。
LINE公式アカウントは、一斉送信にはそれなりにコストがかかりますが、ある程度ビジネスとして見込めれば、週1程度の配信で、導入をするのもありだと思います。
また、YouTubeなどライブ配信はユーザーとの距離も近くなるため、活用しているクリエイターは多いです。ポイントは定期的に行い、ファンにとっての習慣化をねづかせることです。
Substackなどニュースレター
イラストレーターのはるなさんは、海外で人気になっているニュースレターツール、Substackをつかい、ファンへメルマガを届けています。
はるなiPad Worker on Substack さん
https://substack.com/profile/18438081-ipad-worker
Substackのよいところは、無料で配信できるという点。多くのメルマガツールやLINE公式アカウントは、一斉配信の通数に応じて課金がされるのですが、Substackは無料です。
そのかわり、メルマガ登録者へ有料メルマガも提供することができ、その手数料で利益を得ています。はるなさんも、有料メルマガの読者を多くかかえ、コミュニティづくりをしています。
ファンベース (ちくま新書) | 佐藤 尚之
イベントサイトのニュースレター
イベントサイトでは、SNS機能をもつものも多くあります。なかでも、オンライン教室などのマッチングサイト・ストアカでは受講生とのメッセージを、講座開催後もできる仕様になっています。
WEBコピーライター:第2の収入源を作る方法 | ストアカ さん
https://www.street-academy.com/myclass/53179
こちらの人気講座のまよまよさんは、ストアカのメッセージ機能をつかいつつ、LINE公式アカウントで、受講者のフォローをしています。
LINE公式アカウントは、タイムライン(VOOM)と個別のトークだけであれば、無料から使えます。独自のIDを適用したり、一斉送信の通数が1000件を超えますと、有料プランとなりますがフォローツールとしては、便利に使えます。
クリエイター支援サブスクサイト
※注意:肌色多めになります。
こちらのナナさんなど、YouTubeでセクシー動画を投稿しているクリエイターは多数います。ただ、あまりに過激になりますとBANされるリスクがあったり、また広告がつかないなどのデメリットはあるものの、やはりダントツSNSのYouTubeならフォロワーを獲得しやすいのも事実です。
ナナくらぶ (奔放なナナ)の投稿|ファンティア[Fantia] さん
https://fantia.jp/posts/946384
そうした人たちは、サブスク型のクリエイター支援サイトでアカウントを解説し、無料登録、そして有料プランへとみちびく導線をしくことが多いです。
やはり欲望に直接ささるコンテンツは、強力に関係性を前に進めます。
YouTubeや掲示板サイト
動画クリエイターの山吹いろさんは、YouTubeのメンバーシップとともに、DISCORDとよばれる掲示板サイトでファンと交流を深めています。
山吹いろ – YouTube さん
https://www.youtube.com/channel/UCCcPWyAXCC5-5GiuQHjLxlw/videos
とくにゲーム界隈で人気のDISCORDというサーバーが人気で、海外もふくめ多くのゲーム実況者がコミュティをつくり活発に交流しています。Discordは、管理者が多くのトピックをつくることができたり、音声通話がリアルタイムでできたりと、密度の濃い交流ができる点がポイントです。
Twitterの通知設定
Twitterに限らず、アプリやSNSで通知設定をしてもらい、擬似的にプッシュ通知とする方法です。
とくにTwitterは、アカウントごとに通知のオンオフができますので、Twitterスペースを定期開催して、通知をプッシュしたいという人にはおすすめのツールです。
多くの人がもっているTwitterで、かつ無料で、そして音声ライブもできる、という手頃なフォローツールといえるでしょう。また、国内でもTwitterのスーパーフォロワー(有料フォロワー)がはじまれば、マネタイズの道もひろがります。
リアルのイベント・交流会
エクスペリエンス・マーケティングの藤村さんは、定期的にリアルのセミナーを開催し、ファンを広げています。
なぜエクスマ塾は18年も続いているのか?マーケティングコンサルタント藤村正宏ブログ さん
https://www.ex-ma.com/archives/13973
今はコロナで開催もお休みしているようですが、ブログや受講者のSNSをみますと、その熱量がさらに拡散され、ひろがっています。ファンがさらにファンをひろげていく好循環が生まれています。
ナーチャリングツールの比較とまとめ
前述しました関係性継続のためのツールは、それぞれプラットフォームがあり、特徴や機能などが異なります。
慎重に吟味し相性のよいものを選びましょう。ナーチャリングツールは、名簿と連動するため、変更することが難しいからです。
それでは、それぞれのツールのメリット・デメリットや特徴をまとめます。
LINE公式アカウント
国内ではもっとも利用者の多いツール、という安心感。
いっぽうで、一斉配信は1000通以上から有料という、運用コストが高くつく場合もある。また、有料のなにかをさらに買ってもらう、という導線やメニューはない。また、一度でもブロックされると復活は難しい。
個々へのメッセージやりとりやタイムライン投稿(VOOM)、および1000通までの一斉送信は、無料。
YouTubeメンバーシップ
YouTubeの収益化ができているアカウントであれば、月額制の会員機能が使える。
メンバー限定ライブやメンバー限定の投稿など使いやすい。
いっぽうで、はじめるまでの敷居は高く、動画を中心にした交流にとどまる。
Substack
無料ではじめられるニュースレター。無料会員・有料会員など、属性をかえて投稿できる。
英語版しかないため、サブスク退会がわかりづらいなど、ある程度の会員フォローのコストは見ておく必要あり。迷惑メール認定されると、見つけてもらいにくくなる。
ただ、無料投稿はウェブにも公開されるため、拡散もしやすい。
有料であれば、BENCHMARKや、MailChimpが有名。国内のSubstackと似たサービスですと、theLetterがあります。
ストアカ
受講者への一斉通知機能が、講座終了後もつかえる。
受講したという、一度でもお金をはらったという関係性からくる交流のため、信頼残高が貯金される。
いっぽう、そもそもストアカへの集客を自分で行う必要がある。ただ、手数料が安く、自前での集客はさらに手数料が安くなるため、良心的。
fantia
おもに、コスプレイヤーや二次創作作家など、サブカル界隈で人気のクリエイター支援サイト。同様のサイトにはピクシブが運営する、Fanboxがある。
無料プランをつくることもできるため、まずは無料で登録してもらい、徐々に有料へと導くという流れが作りやすい。もともと、pixivやfantiaをつかっている人であれば、敷居は低い。
ただ、それぞれのサイト自体がそもそも認知されていないことが多いため、登録でいかにハードルを下げるか、インセンティブを出すかがポイント。
discord
音声リアルタイム通話機能を有する掲示板サイト。slackのようなチャット的な運用もできる、かなりの高機能な掲示板サイト。
英語版しかなく、さらには多機能なので、使いこなしが難しい。また、有料のなにかへ誘導するという導線はない。
いっぽうでアプリもあったり、すでに世界中で多くの実績があるため、安定感は抜群。
リアルのイベントやオンラインの定期開催
場所や時間に制約されたり、そのこと自体をどう通知するか、といった集客の問題がある。
いっぽうで交流ができれば、熱量はもっとも高い。ただ、オンラインの場合は、似たような雰囲気になりがちなので、差別化が難しい。
いずれにせよ、何かしらのツールと併用しないと集客ができない。
Twitterの通知設定
Twitterという広く普及しているアプリという安心感。無料なので、手間さえおしまなければ、導入コストも安価。
ただ、まれに通知が届かないということもあり(ふだんTwitter自体の通知をオフにしているなど)、見逃される場合がある。
また、有料への導線が現在はない、ということと、「属している感」が少ない点をいかにカバーするかがポイント。
まとめ
このように、それぞれのツールで得意不得意など特徴があり、実際に関係性を継続させていくためには、クリエイター=発信者がもっとも使いやすいものが一番コストがやすく済む、とも言えます。
ナーチャリングツールはリストと連動するため、一度立ち上げたら、引っ越しすることが難しいため、導入時は慎重に
選ぶようにしましょう。