中島健太「完売画家」レビュー。個人で創作物をつくり販売するすべての人におすすめ。著者の苦労も戦略も失敗もその工夫のすべてが、嫌味なく語られるやさしい1冊

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完売画家 中島健太

画家の中島健太さんの書籍「完売画家」を読みました。日本で画家という職業を拡張する姿勢や生き方が、ダイレクトに伝わってくる本です。職業としての画家のリアルを伝えてくれ、個人でものを売るということをしている人には示唆のある内容でした。クリエイターエコノミーを生き抜く海図になるはずです。

中島健太さんという画家

中島健太さんという写実的に描く洋画家さんがいます。恥ずかしながら、わたしはリリースで本書を知ったのですが、販売する絵すべてを完売する、という人気の画家さんです。

>>「絵描きは食えない」を変えたい! いま話題の洋画家、中島健太(なかじま・けんた)著、『完売画家』、発売!|株式会社CCCメディアハウスのプレスリリース

大学在学中より、プロのキャリアをスタートし、大学卒業直後にすでに全作品を売り切るという「日本で画家は食えない」をくつがえします。

その後、2009年「日展」特選、2014年2度目の特選を受賞し、美術界で知れわたります。以後、画家としての創作活動だけでなく、自ら企画展やライブペイントなどを開催したり、テレビでコメンテーターなどをするなど、精力的に活動されている画家さんです。

わたし自身、何十年もいろいろなものを売って生活をしてきました。ですから、何十万円、何百万円という高額商品を売るむずかしさは理解しており、どうやって毎回完売させるのか、ということに興味をもち本書を購入しました。

そして、読みすすめますとその理由がとてもわかりやすく書かれており、納得できました。

完売画家 | 中島 健太

完売画家
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本書をおすすめの人

本書は、画家である中島健太さんが、学生時代からどうやって画家を目指し、プロになっていくのか、そしてどうやって完売させていったのかをわかりやすく著しています。

そしてなんと、本文内に、中島さんみずからが、こういう人におすすめです、と書いています。わたしも多くの本を読みますが、ここまではっきり箇条書きで、対象を明示される本は珍しいです。しかし、そこが、完売画家といわれる所以とすぐに理解しました。

  • 芸術をビジネスにしたい人
  • 絵がうまくなりたい人
  • 芸術に興味がある人
  • プロ画家を目指す人
  • アーティストという働き方に興味がある人

たしかに、これらの人にはまちがいなくおすすめだと思います。とても読みやすく、描きかたのポイントや、働きかたの具体例なども示されており、看板にいつわりなしです。

さらに私は以下の人にもおすすめだと思いました。

  • 個人で創作活動をし、販売まで手がける人

いわゆるネットでハンドメイド作品を販売したり、PIXIVなどでイラストを販売したりする人達にも、示唆に富む内容だと思いました。つまり、個人でプロダクト制作から販売マーケティングまで行うフリーランスにも、応用がきくはずと思いました。

とくに、コロナ以降ネットでそうした販売活動にいそしむ人、クリエイターは激増し競争がはげしくなりました。そうした人たちには、とても気づきのある内容だと思いました。

それでは、中島さんがどうやって完売画家になっていったのか、というところを見ていきましょう。

中島健太「完売画家」レビュー

絵画の世界でも重要なマーケティング

中島健太さん 完売画家

わたしはアートの世界はまったくわかりませんでした。しかし、本書では日本の絵画のマーケットについてわかりやすく解説されています。まったく知らない人でも概要をざっくりとは俯瞰できます。

そこで、興味深かったのは、てっきりわたしは今どきの売り方として、ネットを駆使するのかと思いきや、そうではなく既存の国内マーケットを攻略していくところです。

日本の絵画マーケットは、ギャラリーで販売したり、百貨店で販売したりなど、独自のルートがあります。それらをどういう順番で開拓していったのか紹介されています。その語り口調は、新人画家の後輩にやさしく教えるようなやわらかな口調です。

こうした成功本はえてして成功自慢になりがちですが、全編をとおして著者の苦労からくるやさしさにじむ文体が、それをなくしています。

そしておしげもなく、そうした工夫のいくつかを具体的に明かしてくれています。たとえば、モデルさんに有名人の人を描くなど、です。

>>小松彩夏が絵のモデルに 「自分よりステキ」完売画家・中島健太氏と初タッグに大満足 : スポーツ報知

>>テレ朝POST » “完売画家”中島健太、黒柳徹子の肖像画に挑戦!制作期間約1か月の完成品を披露

有名人とのコラボともいえる手法は、YouTubeでは定番ですが、さっこんのクリエイターエコノミーでもよく見られる手法です。ハンドメイド界隈でも、二次創作っぽいものをつくって注目をあびるなど見られます。

もちろん、それを絵画の世界で展開することは異端ともとられかなねませんが、著者は工夫をとめません。一貫しているのは、絵画業界を拡張するです。

絵画業界を拡張する、という一貫した主張

中島さんの著書では、全編にわたって具体的な描き方やマーケティングのノウハウが具体的に書かれています。しかし、それにいやみがなく、さわやかささえ漂うのは、彼のパーソナリティもありますが、それ以上に主張が一貫しているからです。

彼の言葉によりますと、日本で活躍できている画家は、30~50人くらいだそうです。それほど閉鎖的で小さいパイの奪い合いの市場だとも言えます。著者はそうしたマーケットに問題提起をしているとも言えます。

ですから、ライブペインティングやYouTubeライブ、有名人とのコラボ、さまざまな手法で業界を拡張している姿に、元気をもらえます。

中島健太オンラインショップ

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ただ、エピソードのなかでは、ギャラリーにお金を持ち逃げされた話や、テレビ出演がとまって苦労したときのことなどが、赤裸々にも語られていて、応援したくもなります。これらの逆境から学ぶという姿勢も、人をひきつける著者の魅力になっているとわかります。

そして、それらの事実をしったうえで、もう一度中島さんの作品を見返すと、さらに深みが増す、という仕かけにも気づきます。ほんとうにアートの世界は奥が深いですよね。

こうした、絵画の世界をかいまみれる、個人が創作物を販売するマーケティングが追体験できる、絵の描き方(さすがに量は少ないですが)のコツがわかる、具体的なエピソードが豊富など、そうした「仕事としての創作活動」に興味がある人であれば、満足できる内容になっています。

さて、本書の出版は、CCCメディアハウスです。社名からもわかるとおりTSUTAYAの関連企業です。そして、著者は蔦屋で作品展示やライブペイントなどを展開しました。そうしたお互いを知り合う仲だからこそ、ここまで著者の魅力を引き出せたのかと納得します。

こうした総合的な仲間づくりも、前述の苦い経験が生きているのかと思います。

完売作家ときくと、はなばなしい経歴を想像しがちですが、じつはそうではなく、(描くスピードも含め)努力と試行錯誤の繰りかえしによるものだということが、本書を読むとよくわかります。

ですので、著者の今後の活動にも興味がわいてきます。

個人で創作活動をしている人は、中島さんのSNSやオンラインショップやYouTubeなど、展開しています一通りのアカウントをベンチマークしますと、とても勉強になると思います。それらの背景は、本書でしっかり学べますので。

難しい言いまわしななく、とにかく読みやすい

中島健太「完売画家」

本書は上図のように、きれいにレイアウトされ、太字や改行などがほどよく織りこまれ、とにかく読みやすいです。

内容はきほん、中島健太さんのこれまでの生き様や、販売ノウハウや絵画の世界の話や描き方などなのですが、むずかしい表現や、わかりにくい業界用語などは、ほとんどなく、素人でも内容がすらすらとはいっていきます。

そしてこの読みやすさも、本書を読みますと、本文中でなんども書かれています中島さんの「絵画業界を拡張する」ことの一環なのだとわかります。

言行一致。行動によって、完売も賞もたぐりよせるなんとも中島さんらしい、表現だと思いませんか。その営みはなんともすがすがしいです。

さらに内容がすんなり入っていくるのは、随所で数字で語られている点です。

絵の大きさと価格がある程度相関するというところではXX号でOO円とか、いくら稼ぐには4日で1枚とか、持ち逃げされた売上が約300万円とか、とにかく、ここまで明かしていいの?と思うほどに、具体的な数字がでてきます。

読む人が読めば、心配になるのではと思うくらいに具体的です。こうしたサービス精神が読みやすさにも確実に寄与しています。ただ、これは随所に書かれている、苦労している後輩には教えたくなる、といった愛情が源泉であるとわかりますので、いやみなく受け取れることは大きいです。

ですから創作活動を仕事にしようという人は、ぜひ何度も本書を読み返し、中島さんの行動を自分に置きかえ、体現されるときっと役に立つはずです。

それくらい再現性のある示唆に富む内容です。

追記 なんと本書も重版がもう重版がかかったそうです。書籍までも完売させるとはすごすぎです。

>>中島健太さんはTwitterを使っています 「【重版決定‼️感謝企画】 拙著「完売画家」の重版が決定致しました」 / Twitter

本書を読んだあとにおすすめ

画家・中島健太さんに興味がわいた人は、まずは画集をかわれることをおすすめします。

中島健太 画集『WORKS OF KENTA NAKAJIMA』~ 画家として生きるために ~ | 中島健太

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この画集でさえ、もう2021年9月時点では、アマゾン以外では高額になっていました。絵画はほんとうに夢がありますね(古本は作者にはお金は入りませんが、それでも値上がりするというのはすごいですよね)。

さらには、こちらの書籍もおすすめです。

プロ画家になる! 絵で生きていくための142条 (読む技法書シリーズ) | 佐々木豊

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2021年に発売された本ですで、中島健太さんではなく、佐々木豊という画家さんの書籍です。

中島健太さんの本を読んだあとに、読みますと、佐々木さんの本にかかれている、絵をどうやって売っていくかという手法が、より理解できるようになります。具体的に書かれている百貨店名なども、参考になる人は多いと思います。

また、中島健太さんはオンラインサロンやYouTubeなど、多くのコミュニティをネットで運営しています。

プロの画家とふれあう機会を増やす、日本の絵画業界を拡張してつづける、中島健太さんにふれてみてください。

その入口として本書は、創作活動すべてに興味がある人におすすめです。

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