プレゼンに勝ちたい人のプレゼン本「勝者のプレゼン術」レビュー。伝説級のプレゼン事例が満載、プレゼンに負けた理由もわかる良書

プレゼンの具体的なスキルを学べる本です。そのなかでも、勝つためにはどう説得力を高めるか、いっぽう負けるプレゼンに共通している点はどこか。

サンリオやJRなど現実のクライアントがお題をだし、博報堂など各界のクリエイターがプレゼン対決する、伝説級のテレビ番組の本です。

伝説のプレゼン番組「プレゼンタイガー」

>>プレゼンタイガー – Wikipedia

プレゼンタイガー

「勝者のプレゼン術」は、かつては2001年4月6日から9月29日まで、フジテレビ系列で放送されたプレゼン対決番組「プレゼンタイガー」の放映内容を、書籍化したものです。

そのプレゼンバトルには、有吉さん猿岩石の新コンビ名、ゲーム機Xbox日本発売時のキャッチコピーなど、著名なクライアントばかり。他にも名バトルがあるのですが、本書で紹介されているプレゼンは次の15件です。※敬称略

  • 井川遥写真集のタイトル
  • イギリス映画「GET REAL」の邦題
  • 宝塚ファミリーランドホワイトタイガーの名前
  • 那須ハイランドパーク新アトラクションの愛称
  • JR成田線の愛称
  • プライド初参戦高山善廣選手のキャッチフレーズ
  • マルタイ新カップ麺のネーミング
  • 月9ドラマ「できちゃった結婚」のキャッチコピー
  • FNS27時間テレビのタイトル
  • V6のnewアルバムのタイトル
  • サンリオD-stデビューCDのタイトル
  • 江川達也新連載漫画のヒロイン名
  • ジャネットジャクソンのCDシングルの邦題
  • 東京電話のインターネット接続サービスの名称
  • ジュノンボーイによる新ユニット名

実際の企業の、実際の案件が、プレゼンのお題としてだされ、広告代理店やフリーのプランナーなど、第1線で活躍するクリエイターたちがプレゼンをし、企画を勝ち取るという、ガチのプレゼンバトル番組でした。

出演したクリエイターもそうそうたるメンバーです。※敬称略・順不同・当時の企業名や肩書

つるもと まさひろ

  • 博報堂コピーライター 岡田直也
  • フリーコピーライター ミキオ・E
  • 経営コンサルタント 西村克己
  • オフィス・ブレーン主催 多田羊一
  • 博報堂販売戦略部アカウントディレクター 藤川博章
  • 話し方研究所事業開発局営業部 内田賢司
  • 博報堂シンガーソング管理職 ヘンリー片岡
  • 個性心理学研究所 弦本將裕
  • 関西大手広告代理店 森健二
  • モバイルネットワークシステムアドバイザー 峠誉至高
  • 大関宏之
  • 博報堂メディアマーケティング局メディアプランニング 2部部長 田中淳
  • 音楽企画制作会社イマジン 森雅史
  • レインズインターナショナル 佐藤孝
  • アルキカタ・ドット・コム代表取締役社長 豊田裕之
  • フリーCMプランナー 富士栄 秀也
  • キネティック映画宣伝部 小杉陵
  • オーエルエス代表取締役社長 長谷川良樹

博報堂メディアパートナーズの田中さんは、プレゼンや広告の講師もつとめる有名トップクリエイターです。以下のような登壇も多く活躍されています。

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プレゼンで勝つ技術が学べる

クライアントがどこに刺さったかを学べる

じつは本書の魅力は、実際のプレゼンを追体験できることだけにとどまりません。

現実のプレゼンでは知ることができない、クライアントの感想や、落とした理由などがわかる点です。

プレゼンタイガー

プレゼンで負けた企業は、負けた理由を知らされることはありません。その点、本書ではどこがクライアントに違和感やひっかかりをh残したのかがしっかりコメントで書かれています。

また、最終アピールのときに、相手のプレゼンへの、プロの舌戦も見られるのも魅力です。「xxはooに思いますけどね~」「いやかえってxxやooという点もあって・・・」と、プロの壮絶な駆け引きがわかり、とても勉強になります。

ちなみに本書はどのプレゼンも以下の構成でまとめられており、とても読みやすいです。

  • プレゼンのテーマ 1ページ
  • 提出されたA案、B案の概要 1ページ
  • クライアントの意向と2案の前評判 1ページ
  • A案 プレゼン 2ページ
  • B案 プレゼン 2ページ
  • ゲストによる評価 1ページ
  • 最終アピール(お互いの舌戦) 1ページ
  • ゲストによる結論 1ページ
  • クライアントの最終決定 1ページ
  • 勝つプレゼンの総括 1ページ

このクライアントの最終決定が、前ページのゲストの最終評価と異なることもあって、ほんと字で読んでいても、ハラハラドキドキで、プレゼンの醍醐味を味わえます。

最終決定でくつがえされる、でも理由がわかる

プレゼンタイガー

しかし、実際のプレゼンでも起こるように、たんにプレゼンがうまいだけでは、採用されるのは限らないのがプレゼンです。現場では本当に何が起こるかわかりません。

本書でもそうしたハラハラドキドキが追体験できます。前ページではA案が有利なようだが・・・と、ページをめくると最終決定は、B案だったり、といったバトルがけっこうあります。

これこそまさに筋書きのないプレゼン!

そして、そのあと総評としてクライアントの、なぜそっちの案を採用したのかという理由が書いてあります。なるほどなーと思うものも、あれば、結構じつはここがむちゃくちゃ大事だったのか、というクリティカルポイントがじつは重要だったみたいなどんでん返しもあったりします。

こうしたハラハラドキドキもふくめ追体験できる本書は、プレゼンや教育方法を身につけた中級者にはかならずささるはずです。

もちろん初心者にも、上図のように各プレゼンバトルの最後には、プレゼン技術のテクニックがまとめられており、とても参考になります。

プレゼンの必須スキルを追体験できる

プレゼンでの定番スキルも学べる良書です。

  • 説得力を増すためのデータ
  • 先に欠点をくつがえしておくセルフオブジェクション
  • クライアントの懐に踏み込む事前準備

実際のプレゼントークを、ある程度はしょりながらも、エッセンスをしっかりと中継するかのようにつづられています。プレゼン初心者は実際のプレゼンを想像しながら読みすすめますと、とても参考になります。

また、中級者は実際にどういう資料やデータやスライドを用意しているのか、を想像しながら読みますと勉強になります。とくに博報堂の田中さんのプレゼンはどれもデータを駆使した、お手本のようなプレゼンばかりです。チュートリアルとしてスライドづくりの例題にするとプレゼンのトレーニングなると思います。

電子書籍がなく中古相場も高騰している

そして、最後に本書を、なぜ今、おすすめしているのか、をお話します。

Amazonやヤフーでは高騰している

じつは本書は、すでにYahoo!ショッピングでは5000円を越える高値がついています。

さすがに、ほしいと思う人は限られると思うので、ここまでAmazonでも高騰するとは思えませんが、それでも、紙本しかないため、数には限りがあり、アマゾンでは在庫わずかにして、他の出品は高額になっています。

メルカリでも出品はまったくありません。電子書籍でも、動画でも見られません。フジテレビのサブスクFODでも見られません。それほどの希少本なのです。

それだけ昔の本はいきなり売れないだろう、と思われる人。そんなことはありません。いまやSNSは絶大な拡散力をほこり、圧倒的な購買導線を広げてしまうのです。

>>「TikTok売れ」で30年前の実験的SF小説が3万5000部の緊急重版……メガヒットに出版社も熱視線 | Business Insider Japan

なんとTikTokで話題になった30年前の小説が、重版です。いまの消費はほんとうに読めません。すでにものは溢れていて、新しいものもつねにSNSで流れてきます。そんな世代には、バブルの頃のゴージャスな過剰なほどのテレビの演出や構成は、新鮮にうつることも多いにありえるでしょう。

ですので、気になる人は、安値のうちに、買える今のうちに、とりあえずは購入しておくことをおすすめします。

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勝者のプレゼン術のおすすめポイント~まとめ

  • 伝説級のプレゼンバトルを追体験できる
  • 現実でも知ることができない落ちた理由などもわかる
  • 紙本しかなく希少性が高い本である

「プレゼンタイガー・勝者のプレゼン術」を、今買うことがいかに重要かおわかりいただけましたでしょうか。

初心者には、勝つためのプレゼンとはどんなものかイメージがしやすくなり、中級者にはよりリアルなプレゼンの成否を決めるポイントがわかり、上級者やクライアントにも、伝説級のクリエイターの名簿が手に入る、というすべての人におすすめできるプレゼン本です。

そして、本書に掲載されている以外にも、名勝負があるので、ほんと動画で公開されることをせつに願いたいですね。お気に入りは、おにぎりの店名を決める回です。口下手でもプレゼンで勝てる、ということを証明してくれるとても痛快で、かつ心をうつエモーショナルなプレゼンで、心に響く回なんですよね。

「勝者のプレゼン術」、買えるときに、ぜひ買っておくことを、おすすめします。