Voicyトップ配信者がstand.fmでチャンネル開設。Voicy一般開放への模索か。stand.fmが該当チャンネルに収益化を付与するかに注目。

Voicyのトップ配信者が、別プラットフォームで新チャンネルを開設しました。トップ配信者といっても、Voicyに出資参画もしている人物ですので、新事業へのリサーチという側面があるのかもしれません。その一手を考察してみました。

Voicyトップ配信者がstand.fmでチャンネル開設

Voicy

2021年9月中旬、Voicyのトップ配信者の西野氏が、stand.fmでチャンネルを開設しました。

>>キングコング西野の裏ラジオ | stand.fm
>>【魚拓】

テスト的にやっているので、期待しないでください。

とのことで、2021年9月21日時点で2つの収録配信を行っています。

西野氏は、トップ配信者でありつつ、Voicyに出資参画もしている株主でもあります。

>>キングコング 西野亮廣氏が、株式会社Voicyに株主として参画 | Voicy

ちなみに、Voicy以外で音声配信している人は茂木健一郎 氏などたくさんいます。

音声配信は厳しい経営状況がつづく

>>音声メディアのVoicy、2021年1月期の最終損益は3億5000万円の赤字…官報で判明 | gamebiz

音声配信業界、全般苦戦がつづいています。ただ、競合のRadiotalkでも赤字の官報が報じられている(「Radiotalk 官報」で検索すると出てきます)くらいですから、ベンチャーとしては心配するほどでもないのかもしれません。

いっぽうで、Voicyが2021年にリリースしました有料チャンネル「プレミアムリスナー」ですが、反響はあるものの、直接課金は1000万にとどまりました。

>>音声プラットフォーム「Voicy」でリスナーから音声配信者への直接課金が月間1000万円を突破 | TechCrunch Japan

Voicy

1000万円も売り上げたのだからすごいのでは、と思われるかもしれませんが、今一度検証してみます。

有料配信は貢献したのかの考察と今後の注目点

Voicyはトップページにランキングが表示されています。そのトップ配信者、そしてYouTubeでも人気の中田氏といったビジネスマン向けと思われる番組をピックアップし、考察してみましょう。

有料配信がはじまったというニュースを聞いてから、わたしのほうである程度想定した売上をイメージしていました。そして実際のリリースを見て、どれくらい差があるのかということを考えてみました。

スマホのソシャゲなどであれば、課金率は2%もあれば問題ないという記事もありますので、かりに2%にして、計算してみます。

>>たった2%の課金ユーザーがいれば儲けられる「ソシャゲ」の戦略(小川 孔輔) | マネー現代

Voicy課金番組

実態との差としては、悪くない数字ですね。かりにこれが1%となってとしても、サブスクとして毎月の売上ですので、けっして悲観的な数字ではないでしょう。

今後はこれらを伸ばすための施策が考えられます。なお、Voicyでは課金を、ブラウザから行っています。ですので、そこをAppleやGoogleへの手数料をひかれたとしても、アプリ内課金できる仕様に変更すうるなど、導線の整備はありえます。

  • 課金率を上げる
  • 課金番組を増やす
  • 課金金額を増やす
  • 新規リスナーを増やす

いっぽう、フォロワー数の10%が課金したら、、、と想定して計算したのが以下です。

Voicy課金

10%のフォロワーが課金すれば、5人だけで6500万円を超えます。ただ、ここまで上げるには相当のリソースが必要なことは想像にかたくありません。

課金率を上げるときには、ログインボーナスなどの無料コインを配布して呼び水的に利用を増やすといった手法がよくとられます。

これは、Radiotalkなどが使い、ライブなどでの投げ銭に奏功しています。ただしかし、これまでのVoicyの施策を見る限り、こうした小さな戦術をうつイメージはわきません。

・・・とすれば、前述のVoicy株主の西野氏のstand.fm開設は、あらたな一手を模索するリサーチ、という見方ができるのではないでしょうか。

stand.fmは、RadiotalkやREC、Spoonとは異なり、ビジネス色の多い音声配信プラットフォームです。ですので、Voicyリスナーとの親和性も高い気はしますので、そこで考えられる検証事案は、Voicyの一般開放ではないでしょうか。

  • 収益化配信
  • 有料チャンネル
  • himalaya受け入れ
  • 投げ銭

このように、stand.fmは音声配信プラットフォームとしての機能のかなりの機能を実装しています。

そこで、人気配信者が配信したとなれば、ある程度のフォロワーを獲得でき、かつそれらの機能も利用できようものです。とすれば、そこでデータがとれます。

ですのでここでの注目は、stand.fmが西野氏に収益化の権限を付与するかどうかです。

付与すれば、多くの収益をあげることができ、Voicyの次の一手への貴重なデータになります。また、stand.fmにとっては、Voicyがかりに一般開放することになれば配信者を奪われかねませんから、長期的にはダメージです。

それでも、現状は少なくとも投げ銭は利用できるはずですから、今後ライブ配信を行うのか、そして投げ銭はどれくらい飛び交うのかにも注目が集まりそうです。

音声配信でいくら稼げるのか

いっぽうで、ポッドキャスト勢の勢いも加速しています。Spotifyは次々と施策や新機能をリリースしています。海外では有料サブスクもはじまりましたし、国内ポッドキャストでも収益化番組もはじまりました。

>>Spotify傘下のAnchorが国内人気ポッドキャストで収益化スタート

また、Radiotalkもライブは日々の同接人数を限り好調のようです。今後も音声配信業界の競争は激しさをましていきますが、クリエイターエコノミーとしてのドリームは今後、音声から生まれるでしょうか。

ちなみに、stand.fmでの収益化の月収は、いくつかの番組で告白されています。「stand.fm SPP 売上」などで検索しますと、けっこう出てきます。※以下

>>#96 SPPとしての初めての売り上げとそこから見えること – distinct.me by hikaru | stand.fm

12月分の売上は、1万1270円でございました。~略~12月に配信した総再生2254時間、1時間あたり5円単価になっていて・・・

ポッドキャストでは海外ですと、広告収益をあげている事例がたくさんあります。そして、それを考察している記事があります。

>>【海外事例】Podcast(ラジオ)のマネタイズ、YouTubeの10倍の広告単価も。|しゅうへい|note

1放送で2つのオーディオアドを入れて、それが1,000〜3,000再生されると、100ドルか100ドルよりちょっと少ないくらいの収益になるようです。

音声配信業界の、静かな変化へのはじまりを感じた事案でした。クリエイターエコノミーにおける音声配信プラットフォームの存在感は、まだこれからのようです。