世界的人気ゲーム・フォートナイトがアップデートしました。新シーズンでは、移動に関する新要素がたくさん追加され、さらにはフォートナイトを代表すると操作である建築が、期間限定ながら廃止されるというだいたんなアップデートとなっています。SNSでは賛否両論がわかれるなど、話題になっています。
フォートナイトが大幅アップデート
フォートナイトは、マップを作ったり、配信をしたりすることで、収益を得られます。クリエイターエコノミー界隈でも、収益源としている配信者やクリエイターも多く存在する、世界的人気ゲームです。
そのフォートナイトが、2022年3月20日に、チャプター3シーズン2で大幅アップデートをしました。わたしの知る限り、これほど大幅で、ゲームの本質にかかわるアップデートは、初めてです。SNSでは「別ゲーだ」と賛否両論がとびかっています。
チャプター3シーズン2とは
フォートナイトの公式サイトに新要素がくわしくまとめられています。また、動画もあり、わかりやすく知ることができます。
>>フォートナイト バトルロイヤル チャプター3 – シーズン2: レジスタンスの新要素
- 建築の期間限定廃止
- 高速ダッシュ
- よじのぼり
- ショルダーバッシュ
- オーバーシールド
いずれも、これまでのフォートナイトではなかった機能で、さらには、フォートナイトを代表する機能である建築が廃止されました。
高速ダッシュ
Lスティックを押し込みますと、武器はつかえなくなりますが、今まで以上に高速なダッシュができるようになりました。時間制限はあるものの、とくに追加装備なしで使えます。
これにより、乗り物がなくともオープンワールドのマップ移動が楽になりました。これまでは高速移動をするには「乗り物に乗る」というワンアクションが必要だったところが、不要になるため、アクションへの没入感が高まります。
よじのぼり
これまでは、板1枚の高さから壁は超えられませんでした。しかし、ジャンプボタンの長押しで、壁をよじのぼることができるようになりました。
これまでは高所へは建築をつくり移動するほかありませんでした。しかし、これにより、建築がなくとも高所へ移動が可能となりました。建築へモードをかえる必要がなくなったため、やはりアクションがよりスムーズになり、没入感がたかまりました。
よじのぼりができる高さについて、フォートナイトのマップ制作で人気のクリエイター山吹いろさんが、動画で検証してくれています。どうやら、板1.3枚分のたかさにはよじのぼれるようです。※2分33秒あたり
>>【最新アプデ】クリエイティブのシーズン2アプデが神過ぎた!!!!【フォートナイト】【クリエイティブマップ】 – YouTube
ショルダーバッシュ
タックルでドアを開けられるようになりました。これまであえて開けていたドア(不自然に自動に空いていた)ドアが、タックルで開けられるようになりました。
これは演出面での効果が大きいですが、相手へのタックルが試合中に多様されるアメフトが人気のアメリカでは人気がでそうです。
オーバーシールド
建築でガードができなくなったぶん、これまでのシールドと体力にプラスして、オーバーシールドという属性が追加されました。
敵から攻撃をうけるとまず最初にオーバーシールドからダメージをうけます。そしてオーバーシールドは、アイテムなしでも、一定時間たちますと自動で回復していきます。
期間限定の建築廃止
アリーナなど他のモードではこれまでのフォートナイトと同様に、建築ができます。また、廃止された建築も期間限定で、しばらくしますと復活する予定です。
ここまで大幅なアップデートですから、開発元のエピックも、期間限定で様子を見て判断する、といったところなのでしょう。
建築の廃止により次の効果が期待されます。
- 建築という高難度のスキルを覚える必要がなくなる(学習コストの低下)
- 建築資材を集める必要がなくなり、バトルに専念できる
- 建築モードに切り替える必要がなくなるためバトルへの没入感が高まる
- 建築による落下ダメージや炎攻撃の心配をする必要がなくなる
とくに大きいのは1と2です。
建築はそれだけで多くの学習動画が投稿されるほどに、難易度の高いプレイ要素です。ですから、その難しさゆえにフォートナイトから離れるユーザーもすくなくありませんでした。しかし建築を覚える必要がなくなりるとなりますと、学習コストがさがり新規ユーザー獲得に貢献すると考えられています。
建築をするために、ゲーム序盤にひたすら木や家具を壊すという操作をして資材を集めなければなりませんでした。そこで、資材集めゲーともなり、ライブ配信での冗長さを生んでいることも指摘されており、そこがなくなることで、より緊迫感のあるゲーム展開が期待できるようになります。
さて、フォートナイトは、バトルロイヤルモードが実装されたころ、すでに人気だったバトルロイヤルゲームPUBGのパクリだ、と一部で批判をされていました。
普及がすすむにつれ、建築こそがフォートナイトのオリジナル要素であると、またたくまにヒットしていきました。その高難度な操作ゆえ、それを華麗に操作するゲーム実況者がまたたくまにスターになるなど、ドリームも生まれ、社会現象にまでなりました。
その建築要素を捨ててまで、アップデートをした背景はなんなのでしょうか。
エーペックス人気の影響
現在日本では、エレクトロニック・アーツ社がリリースしたエーペックスレジェンズが、大人気です。ゲーム実況やライブ配信などでは、軒並みおおくの視聴者を獲得しています。
同じバトルロイヤルゲームでありながら、フォートナイトを凌駕するほどの人気の一つには、バトルの没入感とスピード感があります。
エーペックスでは、ユーザー視点(FPS)で、高速移動が可能で、フォートナイトでは止まっていなければならない回復なども、移動中にできるなど、とにかく高速移動を追求した仕上がりになっています。
ゲーム実況を見ているリスナーは、その華麗な高速移動と、敵への攻撃に魅了され、またたくまにゲーム配信のトップへとのぼりつめたのでした。
PCだけでなく、現在では、PS4/5、Switchなどマルチ配信もされ、人気がさらに加速しています。
フォートナイトのアップデートも、そうした流れをうけて、移動にフォーカスしたものと思われます。そして、建築という要素を捨ててまでとりくんだのには、エピックにもそうとうの危機感があったものと想像にかたくありません。
ましてフォートナイトにおける建築は、敵からの攻撃防御だけでなく移動や攻撃の有利をとることにも使われます。ですから、それを廃止したということは、チーム戦術におおきな影響を与えます。しかし今回それを考慮した機能追加を、緻密に計算し実装してきたとみられ、一部では「こっちのほうが面白い」と評価する声も少なくありません。
フォートナイトは、バトルロイヤルモード実装のときもそうでしたが、フォートナイトは、批判はあっても、他の人気ゲームの要素をどんよくに取り込み、ファンを増やしてきたゲームです。ですから、今後も、さらにその高速移動に磨きがかかることと思われます。いっぽう、フォートナイトのゲーム配信でドリームをつかんだクリエイターにも影響は大きそうです。
かつてアップルが、躍進をとげた前に、自社の根幹となるOSを、まったく新規のものに変えたことがあります。業界は騒然としましたが、結果としては今のアップルの成功があり、フォートナイトもそういう道をたどるのか、注目が集まりそうです。
期間限定ながら、建築機能廃止というだいたんな一手は、今後フォートナイトにどう影響していくのでしょうか。
今後もフォートナイトから目が離せませんね。