TikTok売れが起こるのは、Z世代という購買行動が旺盛な世代にささるメディアだからとか、いろいろな説がいろいろな記事で紹介されています。ただ、ユーチューバーのわたしは別な視点で、TikTok売れがおきる理由を解説します。TikTokは他のSNSとまったく異なるある特徴が影響するからです。
この記事の目次
TikTok売れが注目された2021年
2021年は、小説やグミなど、TikTokから爆発的に売れた商品が世間をさわがせましたね。
TikTok売れ、今年のTikTok流行語大賞にもノミネートされるほどの社会現象になりました。
- 地球グミ
- 書籍「残像に口紅を」
しかし、なぜこうしたTikTok売れは起こるのでしょうか?
インスタやツイッターではダメなのでしょうか。
その秘密をとく鍵は、TikTok売れには2種類あり、そして、YouTubeなど他のSNSでも起こりうる激売れと、本当の意味でのTikTok売れが、あるのです。
それらTikTok売れを解説します。
2パターンあるTikTok売れ
TikTok投稿者がネタとして欲しがるTikTok売れ
地球グミがその代表例です。見た目とその動き(食べ具合)のおもしろさから、いっきにバズりました。
そして、身近に買えるもので値段も手に取りやすいものだったことから、TikTokで投稿する人が爆発的に増えました。
これはかつて、YouTubeで、ハンドスピナーがバカ売れした事象と似ています。YouTubeでもとにかくあの当時は、同じネタを扱っても、関連動画に表示され、ある程度バズるという恩恵があったため、多くのユーチューバーがマネをして、そしてそれをみたリスナーが買い求める、というブームが起こりました。
ですから、投稿者のネタとしてバズる、というTikTok売れは、じつは他のSNSでもおこる事象なのです。
しかし、本当の意味で世間をさわがせたのはこちらのほうのTikTok売れです。
30年前の小説が大ヒットするTikTok売れ
前述のYouTubeでは、サムネイルをみた視聴者が、サムネイルをクリックしなければ、動画が再生されることはありません。
つまり、サムネイルでイメージできないものは、バズることはないのです。
これについては、バズレシピで有名な人もりゅうじさんも語っています。
たまーにSNSの料理研究家はごま油やバターやにんにくやチーズしか使わないとか言われたりするんですがこれはちょっと違うんです
SNS、特にTwitterはこれらの圧倒的に美味しいと想像出来るものほどバズるのです
だから逆にいうとこれらを使わないとバズらないから地味なレシピは全部埋もれる
— リュウジ@料理のおにいさんバズレシピ (@ore825) October 8, 2021
サムネイルで美味しさがイメージできないものはバズりようがない、ということなのです。ですから、似たような食材になってしまう、と。
そういう点でいえば、前述のTikTok売れした小説は、30年前の小説で、新刊でもなく、新進気鋭の注目作家でもなく、サムネイルで見たとしても、そもそもバズる要素がないのです。
しかし、TikTokなら売れるのです。
それは、TikTokでは、画面に表示されればいやおうなしに、再生されるからです。
インプレッション=再生、というTikTok独自の仕組みが、そもそもバズりにくい情報でさえ、なんとなしに受け入れてしまうことにつながるのです。まったく興味なかったけれど、話を聴いてみたら、読みたくなったとなるわけです。
このTikTokのメカニズムに言及した記事は、ちょっと見つからなかったため、書きました。しかし、これは、ユーチューバーとして、ふだん、サムネイルをクリックしてもらうことが、いかに大変か、を知る者だからこそ気づいたTikTok売れの本当の理由だと思います。
検索などで見つけてもらうのではなく、なんとなしに見ている潜在層に働きかけられるTikTokだから売れたのです。
認知している層(クリックする)でなく、潜在層(知らなくても見てしまう)に働きかけることができ、他媒体よりも広く伝えることができるのです。
そして、いちどいいねをたくさんもらえたり、視聴時間が増えたりするなど、アルゴリズム的によいスコアを出していけば、TikTokのアルゴリズムはとても優秀で、バズっている動画は、さらに露出しバズるのです。件の動画も約68万ものいいねがつきました。
動画は、他のどのメディアよりもインパクトがあります。そして、TikTokの利用者にも買いやすい文庫というパッケージゆえ、消費意欲のつよい若い世代におおく刺さったともいえるでしょう。
TikTok売れの課題~じつは商品は限られている
TikTokユーザーは若年層が主体で、平均年齢は34歳。この数字は2019年以降、毎年上昇している。
TikTokユーザーは若年層が主体
https://bit.ly/3Grzici
TikTokがもともと購買意欲のたかい、若年層にかたよっていることは、TikTok売れには無縁ではないでしょう。ですから、TikTok売れでおこるほとんどは1000円未満で買いやすい、売り場も身近、というのが現実です。
「アニメやゲームなど個別のカテゴリーでの支出はTwitterが高いが、TikTokではそれらに加えて音楽やスポーツといったカテゴリーでの支出も見られ
ただそれでも上記のように、どの嗜好の層にも意欲的な購買行動がみられる稀有なSNSというベースがあっての、TikTok売れだということがわかります。
たしかに、Instagramで定番の節約ネタ、節約レシピ、ポイ活、お得情報などは、あまりバズっていない気がします。やはり、そもそものそういう下地があることで、他のSNSでも起こりうる、第1のTikTok売れのパターンでも、TikTokだからこそ、余計に機能したとはいえそうです。
今後は、1000円以上の商品で、比較的、検討期間の長い商品が、本当にTikTok売れするのかどうかに、注目が集まりそうです。