USJを復活させ、いまや多くの企業を復活させつづけている希代のマーケター、森岡毅さん。本ブログでも過去に書籍を何度も紹介していますが、いまなおその実力や魅力はつきることがありません。そんな森岡毅さんの魅力を林修先生が引き出す、貴重な配信回がありましたので、おすすめします。
この記事の目次
森岡毅さんというマーケター
https://www.youtube.com/watch?v=VdvgbdaYNVM
※動画はおそらく期間限定ですので、ぜひ毎週みられるか、期間内にTVerで見逃し配信を視聴されることをおすすめします。
現在は株式会社刀のCEOとして、多くの企業の戦略コンサルティングに従事しています。
メンバーもそうそうたるマーケターが勢揃い。まさに最強マーケター軍団の企業です。
森岡さんの書籍を読まれたかたも多いとは思いますが、実際の森岡さんの言動やふるまいを見た方は、そこまで多くないのではないでしょうか。本動画では、林先生が、森岡さんのそうした魅力を引き出し、貴重な映像になっています。
森岡さんは著書でも、数字だけでもだめで熱い思いがないと人はついてこない、とよく書かれています。企業の復活や改革は、現場の人たちがついてこなければ、結局は失敗に終わります。そのことを森岡さんはよくわかっておられて、その熱量の多さが、動画では十二分にでています。
わたしも、ここまで熱い人なんだ、こういう熱量が人を引き寄せるのだな、と動画をみて理解できました。
圧巻なのは、山奥のホテルを再建するときに、自ら狩猟の免許を取得して、猟師さんについていき、山の魅力を「本気で」知ろうとしたことです。そのエピソードを林先生がとても上手に引き出し、合いの手をいれて、感情をふくらませています。
インタビュワーの心をつかむと、ここまで人はまっすぐに、熱く語ってもらえるのだなと、驚いてしまいます。林修先生にとっても、インタビュー番組のなかでも、相性のよい対談番組になっていると思いました。
動画はいろいろな人に示唆を与えてくれる
マーケターに役立つ
これはもちろん、言うまでもありません。森岡さんの書籍をよんだ人でも、彼が著書で何度もかたる「熱い思い」の重要性は、映像をみるととてもよくわかります。
数学は世の中の構造をときあかす鋭利なメス、だからこそ熱い思いがないと人はついてこない。
彼の著書でもなんども語られる、冷静な分析にもとづいた戦略をささえる熱い思い、その熱量が映像で、林修先生の質問で、あふれんばかりに伝わってきます。数字をときつつも、こうやって現場に熱く語っていたのだな、とわかります。
そして、動画では、USJ、ネスタリゾート神戸、西武園ゆうえんち、運動会のエピソード、沖縄のテーマパーク、好きを強みにかえる思考など、多くのエピソードが語られ、マーケ好きならば、すぐに時間がすぎてしまうでしょう。
コンテンツ制作者に役立つ
この動画は、大人がマーケティングという難しい話を、トークするというものです。まして、中年男性2人が話すという絵的にもあまり華がない構成です。
しかし、セット、構成、編集などの工夫で、万人が見ても楽しめる映像になっています。YouTubeで対談動画を作る人、音声配信やポッドキャストでゲストを呼ぶ人、そうした多くのクリエイターに参考になる動画になっています。
わかりにくい内容をわかりやすくする編集
森岡さんが熱く語るエピソードをいらすとを交えて再現し、わかりやすくしています。また、数字やデータの話には、それを補足するイラストが差し込まれます。
また、そのことがどれほど凄いのか、という部分や前フリは、あえて別ナレーションで映像が差し込まれます。
話の区切りにさしこまれる目次も、今どれくらいを見ているのか、まださきにこういう話があるんだ、と視聴者を離脱させない工夫も見逃せません。
対談でこそ引き出せるコンテンツ
たんなる情報であれば、ひとり語りだったり独演だったり執筆したりすればよいわけです。しかし、対談という形式をするならば、対談でしか得られない要素をひきだすべきです。
林修先生はその豊富な知識量から、森岡さんも舌をまくほどの補足や質問や話題をさしこんできます。そのことに、森岡さんもたじたじになり、「いやー、よくご存知で!」とほんとうに感心して、心をひらいているシーンが印象的でした。そうして、開いた状態からは、本音や熱量のこもった至言がでてくることは言うまでもありません。ここまでわかってくれている人だから話すこと、となりえるわけです。
とくに冒頭の名刺交換のシーン。あの有名マーケターもここまで腰を低く名刺交換するのだ!と、もうそれだけでいっきに動画に引き込まれてしまいます。
森岡さんの著書やインタビュー記事は、もうネットにあふれています。しかし、彼の人となりを素でみられる機会はそう多くありません。そうした森岡さんの素の部分を引き出す林先生の準備やトーク(もちろん台本はあるのですが、それをディレクターに提案はきっとしているはずなので)に、参考になりすぎる、という言葉以外がみつかりません。
インタビュワーとしての姿勢、対談コンテンツの魅力を引き出す構成、それぞれがクリエイターにとって、おおいに参考になります。
もちろん、著書を読んでからみると、さらに味わい深いものがあることは、いうまでもありません。
USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門 | 森岡 毅
万人に役立つ
動画は最終的に、「人生で勝つには」というテーマにまで広がっていきます。これまでのマーケティングのノウハウによって、人生にも役立つことがあるのではないか、という切り口です。
動画では、「得意を伸ばす、苦手を伸ばさない理由、得意を見つける工夫」について、森本さんが熱く語ります。ここまで、林修先生が著者の心をひらいてきたからこその、熱量が画面からも伝わってきます。
それにもっていくまでの構成はつぎのとおりです。
- 森本さんの凄い実績
- 森本さんのやりすぎエピソード(運動会)
- USJのエピソード(数字の重要性)
- グリーンピア三木の立て直し
- 西武園ゆうえんちのリニューアル
- 人生で勝つには
- 今取り組んでいる沖縄
ここで重要なのは、すべてにおいてエピソードが含まれている点です。マーケティングというと、どうしても数字が多くなってビジネス臭が強くなってしまいがちです。
そこを、実際におきたエピソードをまじえることで、誰でも聴けるようになるのです。これが、エピソード力です。とくに音声配信など声だけでリスナーをひきつけなくてはならないときに、実際いに起きたストーリーで語ることは、とても効果があります。出来事であれば、誰しもイメージしやすく共感を得やすいのですよね。
もちろん、「本能にぶっ刺されば当たるんです」とマーケターに刺さりそうなエッセンスも盛り込まれ、コンセプトをぶれさせないように、絶妙な進行がされます。
ちなみに万人に役立つコンテンツに落とし込むときに、よく用いられる手法がHARMの法則です。
【HARMの法則】悩みは4種類に分類できる | 福岡結婚相談所ひまわりブーケ
健康・美容・容姿(H)、将来・夢・キャリア(A)、人間関係・恋愛・結婚(R)、お金(M)のいずれかにもっていけば、人を選ばないコンテンツになる、というわけです。
こういう構成は、テレビはほんとうに参考になります。
インタビュワーや取材するライターにも役立つ
なお最後に、「得意を伸ばす重要性、どう得意を見つけるか」というテーマに切り込みます。その導入もすばらしいです。林修先生が「生徒からよく得意がわからない、という相談をうけるが、それが答えに困る」と。
これほど説得力のある導入はありません。こうした林先生のインタビュー技術も、見どころです。
日曜日の初耳学|MBS毎日放送
https://www.mbs.jp/mimi/
番組公式サイトからは、出演者の提案も募集しています。ぜひ、気になっている人がいれば、どんどん番組に応募してみましょう。
しかし、こうしたいろいろな人に刺さる構成の仕方って、ほんとテレビは上手だと思いますし、ウェブマーケターも学ぶところが多いと思います。
今のテレビマンが、どうやって万人に刺さるコンテンツをつくっているのがよくわかる本がこちらです。今や世帯視聴率ではなく世代の視聴率をリアルタイムでとっている時代ですので、彼らはほんとうに万人にささる、万人が途中離脱しない映像の作り方がすごいです。
1秒でつかむ――「見たことないおもしろさ」で最後まで飽きさせない32の技術 eBook : 高橋 弘樹: 本
こちらも多くの人におすすめのビジネス書です。
TBSのビジネス番組はアーカイブが充実
さて、最近のTBSは、ネットにどんどんコンテンツを提供してくれていて、とてもありがたいです。とくにビジネス系や教養系も多いので、たすかっています。
TVerで見逃し配信できる番組も多く、SNSで話題になったあとに見たくなる、そんなときにも見られるので本当にありがたいですよね。
今回の林先生の初耳学も、動画やTVerで見られるだけでなく、テキストとしてもコンテンツがアーカイブされています。
USJも立て直した”現代最強のマーケター”森岡毅の極意「本能にぶっ刺されば当たるんです」 – 日曜日の初耳学 復習編 | MBSコラム
https://www.mbs.jp/mbs-column/mimi/archive/2021/11/18/023362.shtml
やっぱり、忙しい人は文字でみたい、という人も多いですよね。
また、ビジネスマンの日曜の朝に旬なネタを長年にわたって届けてくれているがっちりマンデー。こちらも、ウェブにテキストがアーカイブされています。
がっちりマンデー!! note編 がっちりスクール!!|note
https://note.com/gacchiri/
以前も公式サイトのほうに、ある程度は文字起こしされていたのですが、最近noteで、かなりの量が文字起こしされているのを発見し、驚いたものです。テレビ局もかわってきていますね。いずれ、noteの有料マガジンなどの収益化も考えている、という流れなのでしょうかね。
>>「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」レビュー