表現とアイデアの境界線に関する判決が確定。

金魚のオブジェクトをめぐる裁判に決着がつきました。備忘録的に自分用にまとめます。

金魚のオブジェクトの事件とは

あるクリエイターが、作品の著作権侵害をされたとして裁判がありました。結論としては、今回の最高裁の判断がでて、廃棄や賠償を命じた2審の判決が確定しました。

>>商店街の金魚のオブジェ巡る裁判 著作権侵害認めた判決が確定 | NHKニュース

事件の経緯は、wikiで概要を確認できます。

>>金魚電話ボックス盗作裁判 – Wikipedia

詳しい解説がされている記事

>>まさかの逆転勝訴? 金魚電話ボックスの「著作権侵害」が認定されたポイントを分析 – 弁護士ドットコム

その一方で、「金魚電話ボックス」は、「山本さんの作品のうち表現上の創作性のある部分の全てを有形的に再製している」と判断しています。

弁護士ドットコム。地裁判決と高裁判決についても、対談形式でわかりやすく解説がされています。

>>現代アートの見方・捉え方 – 『アイデア』と『表現』の境界線 岡本健太郎|骨董通り法律事務所

「金魚電話ボックス」事件の高裁は、原審と異なり、依拠性も細かく検討しました。

ネット界隈の著作権にくわしい福井先生の法律事務所の解説。依拠性についてもわかりやすく解説されています。

>>松永洋介/ならまち通信社さんはTwitterを使っています 「1/14、大阪高裁で原告逆転勝訴となった「金魚電話ボックス」裁判・・・/ Twitter

>>金魚電話ボックス問題と「メッセージ」 ならまち通信社

控訴審では、この手紙の文言が被告の依拠性の証拠のひとつとなり、逆転判決をみちびいた。なんと劇的な展開。

ならまち通信で記事を書かれている松永さん、ツイートと記事が、経緯を細かく丁寧に報じられていて参考になります。

>>「アイデア」と「表現」の狭間をたゆたう金魚かな。金魚電話ボックス事件大阪高裁判決の思考を追う |美術手帖

大阪高裁の判決文を読んで想起した事件がある。それは写真著作権に関する裁判として有名な西瓜写真事件だ

西瓜写真事件についても言及がされていて参考になります。

クリエイターが確認すべきポイント

わたしも、すべての経緯を熟読したわけでもなく、法律の専門家というわけではありませんが、以下の点をチェックしておくとよいと思いました。

高裁は、被告作品は、原告作品のうち表現上の創作性のある部分の全てを再製している一方、新たな創作的な表現はないなどとして、主たる判断としては、翻案(≒二次的著作物の制作)ではなく、複製(≒コピー)だとしました。出典:https://www.kottolaw.com/column/210227.html

どういう経緯で複製とみなされることになったのか。

ここを、上記の記事などから見つけていけば、作る側も発注する側も、とりあえずは大丈夫かと思います。

逆に言えば今回の件は、きちんと自分で消化しておかないと、誤解したまま理解してしまう可能性があるので、注意したほうがいいと思います。

「アイデアも著作権にあたるのか!?」
「明らかに似てるけどなんでこじてるの?」

このあたりを、上記記事でちゃんと咀嚼しておかないと、今後はまずいかなーと思います。

それくらい今回の事案は注目されていて、著作権界隈には影響もしそうですから。

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最近の著作権関連のトピック

しかし最近、なんだか著作権かいわいのトピックが多かった気がします。備忘録的にまとめます。

>>ファスト映画投稿「甘い認識でやった」 著作権法違反で書類送検の男性心境語る | 河北新報

ファスト映画で和解した人のインタビュー。

>>「鬼滅の刃」連想させる品販売した疑い 会社社長ら逮捕:朝日新聞

鬼滅を想起させるグッズを無断で販売。

>>著作者隣接権をクリアしてSNSで実際に曲を流して紹介をしたい人にはAnchorがおすすめ

Spotifyが著作者隣接権クリアして配信ができる機能を発表。

>>きまぐれクックにバズレシピ・・・YouTuberの商標が勝手に出願される | ユーチュラ

ユーチューブもいろいろな人に狙われるメディアに。

>>クラシック音楽を紹介するYouTuber、不可解な著作権侵害の指摘に困惑 | ユーチュラ

曲自体の著作権は切れていても、それを演奏した音源は、ほんとうに難しい。

著作権は、ビジネスでいえば守りにとらえられがちですが、正しく理解すれば攻めにつかうこともできます。

クリエイターエコノミーにおいては、こうした権利処理が欠かせません。今後も、著作権など権利処理まわりのニュースやトピックを追跡していきますので、よかったらTwitterなどフォローして下さい。

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