YouTubeショートではサムネイルがつけられません。正確には、YouTubeショート枠で表示されるときには、縦長のサムネイルはつけられません。その理由を解説します。
ただし、YouTube公式見解があったわけではなく、これまでのYouTubeやTikTokなどの開発状況をみて、考察をした内容です。
この記事の目次
YouTubeショートではサムネイルをつけられない
YouTubeショートではサムネイルがつけられません。ただ、実際にはYouTubeショートで、サムネイルをカスタマイズすることはできます。
YouTubeショート投稿後に動画編集画面にいき、サムネイルを変更するメニューから、自作したサムネイルを投稿できます。そのサムネイルは、たとえば関連動画やおすすめに表示されたときに、表示されます、ただし横長のサムネイルが。
YouTubeのトップ画面で表示される「YouTubeショートの枠」では、残念ながら横長のサムネイルは使われず、自動生成されたサムネイルが適用されます。
つまり、YouTubeショートでは、YouTubeショート枠での表示においては、サムネイルは使えない、カスタマイズできない、ということになります。
YouTubeショート表示枠でサムネイルが使えない理由
ショート動画で先行するTikTokを追撃するために
YouTubeショートは、もともとベータ版としてまずはインドでリリースされました。YouTubeのいち機能として実装されたのです。
- 縦長もしくは正方形の動画
- 動画タイトルに #shorts とつける
という動画を、通常動画とおなじようにアップロードすれば、YouTubeショートとして認識され、YouTubeショート枠に表示される、そういう仕様で実装したのでした。
ショート動画として先行するTikTokを追撃するためには、とにかく開発スピードが重要だったのでしょう。ですから、すでに実績のあるYouTubeのシステム上にのせていったと見られます。
開発スピードを優先したため、既存のシステムに追加することで、ショート動画機能を実装したことが大きく影響してきます。
動画投稿で設定できるサムネイルはシステム上1つだけ
既存の動画投稿で、前述の条件を満たせば、YouTubeショート動画枠に表示される、という仕組みをつくったことで、リリースを早めることには成功しました。
しかし、既存の動画データベースを使ってしまったことで、改変もしづらくなってしまいました。YouTubeショートをアップデートしたくとも、通常動画投稿に影響がでるのはよろしくないわけです。
つまり、YouTubeショート用に縦長のサムネイルを設定しようとするならば、既存の動画投稿のほうにも影響が及んでしまうと想像できます。さすがに、それはとても大きなリスクです。失敗すれば、YouTube全体のシステムがとまり、巨額の被害が生じてしまうからです。
巨大なデータベースでは、項目を1つ追加するといっても、そう簡単なことではないのです。
YouTubeショート枠は自動でサムネイルは表示している
ですから、YouTubeが出した答えは、特定条件の動画をYouTubeショートと認識し、その動画をYouTubeショート枠に表示させるときには、その都度自動で抽出した縦長のサムネイルを表示させる、でした。
これであれば、通常動画のデータベースに変更を加えることなく、アプリの表面上のデザイン変更でなんとかなります(IT業界ではフロントエンドといいます)。
TikTokなどショート動画は、これまでのYouTubeと異なり、縦長のサムネイルが全画面表示され、それを指でスクロールするごとに自動再生されるという
、とても心地のよいユーザーインターフェースです。これまでのYouTubeの画面表示とはまったく異なるわけです。
その大きな変更を考えますと、既存のYouTubeのデータベースを使っているなかでは、都度都度サムネイルを自動生成して、縦長全画面表示スクロール再生を実現したほうが、実装スピードを早くできる、と判断したとしてもそれはとても自然なことだと思います。
じっさい、YouTubeのエキスパートが回答してくれる(ことが多い)、YouTube公式のコミュニティでも、プラチナプロダクトエキスパートの人ができないのでは、と回答しています。
>>#shorts動画を投稿する際、サムネのカスタマイズが出来ません。そして、サムネにチャンネル登録を貼ってらっしゃる方がいらっしゃいますが、方法を教えて下さい – YouTube コミュニティ
あまりにも巨大になりすぎたYouTube
サムネイルまで最適化できないのでは意味がない、新たなYouTubeショート用のデータベースを構築して、ちゃんとシステムを作ろう、となぜならなかったのでしょうか。
それはあまりにもYouTubeが普及しすぎていて、それを今から実装しようとすると、どれだけリソースがかかるか、さすがにYouTubeもふみきれなかったのかなと思うからです。
今のYouTubeはとにかく宇宙規模的なアカウントや動画やトラフィックを有していることは、疑いの余地がないと思います。
そこへ、まったく新しいフォーマットでデータベースを用意し連携させる。どう考えても、数年単位での検証やテストが必要になる巨大システムになることは想像にかたくないです。日本でいえば、みずほ銀行のシステム更新のトラブルが何度もニュースになったことは記憶に新しいのではないでしょうか。それだけ、既存の稼働しているシステムにメスを入れるというのは、リスクがともなうものなのです。
であれば、現状のシステムを使って、TikTokのようなことを実現しよう、という判断はありえるかなと思うのですよね。
ただ残念ながら、そうした判断が、YouTubeショート枠で表示されるとき、YouTubeショート専用の縦長のサムネイルを設定できない、につながっているのかと思います。
それでもあのGoogleですから、いつかはYouTubeショート枠で適切に表示できる縦長のサムネイルを、TikTokのように自由に設定でき、カスタマイズできる日は、必ずくると思います。
ですのでそれまでは、じっくりとYouTubeショート動画を投稿して、待つことにしましょう。
YouTubeショートでサムネイルが設定できない~まとめ
- YouTubeショートではYouTubeショート枠で表示される縦長のサムネイルを設定できない
- それはYouTubeのこれまでのシステムを使っているため、新たにサムネイルのデータ枠を追加しづらい
- YouTubeショートのためだけに、データベースやシステムをすべて再構築することになってしまう
- ショート動画競争に挑むため開発スピードを優先させた現実的判断
- 今後YouTubeショート用のサムネイル設定もできるようになるかもしれない