「嫌われる勇気」と「采配」と「論語」と「草枕」が似てた

名著

共通点は合理主義とバランス。

人気の「嫌われる勇気」を読みました


嫌われる勇気 eBook: 岸見 一郎, 古賀 史健: Kindle

「嫌われる勇気」を読みました。

いや、正確には聴きました。最近、ビジネス書でオーディオブックで買えるものはこちらが多いです。

>>FeBeオーディオブック「嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え」

これですと、通勤で聞けて倍速なら往復時間で1冊弱くらいが、頭に入ります。

さて、内容なのですが、ネタバレしても実際に読んでみませんとその詳細はわかりませんので、私としては珍しいのですがアジェンダを書きます。おおむね以下のようなことが書かれてる書籍です。

・アドラー心理学について対話形式で著述。
・達人の教え(アドラー心理学)を、若人が読者を代弁するかのように掘り下げる形式。
(ときには納得しときには怒りに声を荒らげて反論するなど)
・ポイント
 ・原因論ではなく目的論(~をしたいからそうしている)
 ・課題の分離(自分のことと他人のことをわけよ)
 ・すべての悩みは他人との関係性から
 ・他者貢献が重要。

本書では、最終的にアドラー心理学を体現するのに、生きた年月の半分はかかると解説します。たしかに、理想論にも聞こえ、実践は難しそうにも思えますので、その年月も納得は納得です。

いっぽうで理想論にも聞こえる達人の解説を、若人が声を荒らげて反論したり、逆に意見を聞いたりして、無理な展開に聞こえないところがヒットした要因なのだとわかります。そうそう、と思わずそちらに納得してしまいます。

ともすると小難しい心理学を、わかりやすく伝えることに成功したともいえる本著は、間違いなく一度は読まれると良い本だとは思いました。とくに、他者との関係性に悩んでいる人や、アドラー心理学に興味がある人であればオススメかとは思います。いっぽう、ビジネスの実践的なスキルや具体的な心理学を学びたい、という人には物足りないかもしれません。

考え方をちょっとひっくり返されたい、マインド的に行き詰まりを感じている人には、オススメできるかと思いました。

「采配」を読んだ


采配 電子書籍: 落合 博満: Kindle

こちらは、名将で知られる落合博満さんの書籍。話題になった当時は読まなかったのですが、ふいに読みたくなり手に取りました。

内容はこちらはいたって現実的で実践的で合理的なことが書かれています。たしかに、これを実践しているチームはないだろうと思いつつ、そして、たしかに実践できれば強いなとは思いました。

読むことに躊躇した理由なのですが、いっぽうでなぜそこまでの名将が、現状それほど話題になっていないのか、という疑問があったからです。

>>なぜ日本人は落合博満が嫌いか? (角川oneテーマ21): テリー 伊藤: 本

こういう本を知り、評価が分かれていると知り、さらに興味が深くなり、先日知人の奨めもあり、読んだという感じです。

合理性を重んじるスタイルは、ともすると敵をうみがちですが、そこは重要なパートナーがいることを知りました。

>>参謀 (講談社文庫) 電子書籍: 森繁和: Kindleストア

調べてみますと、この布陣は有名だそうで、たしかに、合理性を進めるのには一人では難しいと思いました。

落合博満さんの書籍は、実際のビジネスマンや経営者の方なら、思わず頷いてしまうものばかりかと思います。野球とはいえ、ビジネスの現場でもおおいに応用のきく内容かと思います。

「采配」は目次を読むだけでも刺さる人もいると思いますので、そのまま引用掲載しますね。

「采配」目次

1章 「自分で育つ人」になる

孤独に勝たなければ、勝負に勝てない
向上心より野心を抱け
「嫌われている」「相性が合わない」は逃げ道である
前向きにもがき苦しめ
セルフプロデュースとは、目の前の仕事にベストを尽くすこと
不安だから練習する。練習するから成長する
「心技体」ではなく「体技心」
明日の「予習」ではなく、今日経験したことの「復習」がすべて
ビジネスマンも野球選手も、3つの敵と戦っている
「達成不可能に思える目標」こそ、数字に勝つ唯一の方法
大きな成果を得るためには、一兎だけを追え
一流には自力でなれるが、超一流には協力者が必要
30代に何をするかで、40代が決まる

2章 勝つということ

「負けない努力」が勝ちにつながる
何でもアメリカ流でいいのか
采配は結果論。事実だけが歴史に残る
「勝利の方程式」よりも「勝負の方程式」
「今一番大事なことは何か」を見誤るな
すべての仕事は契約を優先する
大切なのは、勝ち負けよりも勝利へのプロセス

3章 どうやって才能を育て、伸ばすのか

ミスは叱らない。だが手抜きは叱る
欠点は、直すよりも武器にする
最初に部下に示すのは、「やればできるんだ」という成果
自由にさせることと、好き勝手にすることは違う
「大人扱い」という名の「特別扱い」はしない
基本はリストラではなく、今いる選手をどう鍛えるか
契約はドライに。引き際はきれいに
平均点から一芸を磨け
スーパーサブとして、厳しい競争社会を生き抜く
相手の気持ちに寄り添いながら、自分の考えを伝える
若手諸君、成長したけりゃ結婚しよう
シンプルな指導こそ、耳を傾けよ
「見なくてもわかる」で、確実に成長は止まる

4章 本物のリーダーとは

任せるところは、1ミリも残らず任せ切る
気心と信頼は別物
「いつもと違う」にどれだけ気づけるか
安定感より停滞感のほうがリスク
レギュラー争いは、選手同士で決着をつける
現場の長は、「いつも」ではなく「たまに」見よ
データに使われるな。データを使え
情報管理こそ監督の仕事
監督は嫌われ役でいい。嫌われ役がいい
チームに「チームリーダー」はいらない
リーダーは部下に腹の中を読まれるな
できる・できない、両方がわかるリーダーになれ
明日のために切り替えるよりも、今日という日に全力を尽くせ

5章 常勝チームの作り方

自分で考え、動き、成長させる
自己成長に数値目標は無意味
連戦連勝を目指すより、どこにチャンスを残して負けるか
最高の成果を求めるなら、最上のバックアップを
オレ流ではない。すべては堂々たる模倣である
「初」には大きな価値がある
自分がいる世界や組織の歴史を学べ
レギュラーの甘えは、完全に断ち切る
職場に「居心地のよさ」を求めるな
「極論」から物事の本質を見直してみる
一人の選手への采配で、チーム全体の空気が変わる
勝ち続けることに、全力を尽くす

6章 次世代リーダーの見つけ方、育て方

プロフェッショナルは、段階を踏んで育てる
監督の仕事は、選手ではなくコーチの指導
世代交代、配置転換はタイミングがすべて
「リーダー不在の時代」ではない
俺のやり方は、おまえのやり方ではない
引き継ぎは一切しない
誰をリーダーにするか。尊重すべきは愛情と情熱
仕事の成果と幸せに生きることは、別軸で考える
おわりに

なんだか、読みたくなってきません(^^)?

「嫌われる勇気」と「采配」の共通点

ここまで読んでふと思うわけです。

なんだか、どちらも似ているのかなと。ファンの方には暴言に聞こえるかもしれませんが、どちらも自分の考える合理性をしっかりと貫く、という姿勢には共通点を感じました。

そして、落合博満さんも一部では評価がわかれると聞いたことがありますが、それもたしかに納得がいきます。落合さんも著書で「嫌われる」ことについて言及していますが、まさにそれだと膝を叩いてしまいました。

どちらもとても合理的で実践しにくい、という点では似ているのかなと思ったわけです。

実践しにくいという点で「論語」と似てるかも

さて、実践するのに時間がかかる、という点では、かつて「論語」を読んだことがありますが、これとも似ていると感じました。ちなみにこれもオーディオブックでしたが、何回もヘビーローテションで聞くほど気に入った作品です。もちろん書籍にもなっていますのでオススメ。


論語物語 eBook: 下村 湖人: Kindleストア

>>Febeオーディオブック「論語物語」下村湖人

そして、論語こそ、その道を極めるのは大変なわけですが、まさに!東西問わず人生普遍の心理なのだろうなあと腑に落ちた次第です(詳しい方は、いや全然違う!と怒られそうですが)。

「論語物語」も、孔子と弟子たちの言葉のやりとりで構成されています。

難しい師の話も、とてもわかりやすく読める構成になっています(なお、こちらは、弟子が複数いて、「嫌われる勇気」の聞き役の男性に共感できなかった方も、こちらですと1人くらいはいるかもしれませんね。メインの弟子は数名ですが、それぞれ個性があって、話としても面白いです。Kindle版で250円というお手頃価格、という点でもオススメ)。

智に働けば角が立つ

さて、またまた話は変わって、今度は日本に戻るのですが、今度はこのくだりを思い出すわけです。

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
夏目漱石「草枕」

夏目漱石の小説「草枕」で有名な冒頭のくだりです。まさに!このことかと。


草枕 (岩波文庫) eBook: 夏目 漱石: Kindle

落合監督の書籍では、とにかく勝利にこだわるという姿勢が貫かれます。それはとても合理的で「智に働けば」の状態だと思います。また、前述の「嫌われる勇気」でいうところの「課題の分離」にも通じるところだと思います。

ものごとをシンプルに考えようとすると、そして結果を優先するならば、自ずとそうなってくるのだと思いました。つまり、それを一人で実現しようとすると、「とかくこの世は住みにくい」となるのは想像がつきます。

夏目漱石のくだりは、「課題の分離」を実践したり、「オレ流」で成果を出したりすることは、とても難しいことなのだと言ってるかのようです。

現実的にはパートナーが重要かも

成功をおさめるには、現実問題として、よき理解者の存在がクローズアップされます。

理解者や良きパートナーがいれば、「住みにくい」ということもおのずと緩和されます。そしてまわりも、「あの人もいってるんだから」と受け入れやすくなるでしょう。まるで、新選組で規律に厳しかった土方歳三とみんなから慕われていた近藤勇とも重なりますね。


新選組 幕末の青嵐 (集英社文庫) eBook: 木内昇: Kindle

IT業界でも成功している人たちでも、とんがった天才とパートナーの関係はよく語られます。

アップルでは、スティーブン・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック、ビルゲイツとポール・アレン、Googleが、ラリーペイジとサーゲイブリンなどなど。


アップルを創った怪物: スティーブ・ウォズニアック, 井口 耕二: Kindle

落合氏は著書で「一流には自力でなれるが、超一流には協力者が必要」と説いています。まさにそのとおりだと思います。

超一流とは世界や圧倒的No1。一流と一流で超一流を目指すという感じです。そういった環境でないときに、経営者が超一流を目指すと言ったところで多くの人は冷めてしまう、そんな状況に頷いてしまう人も多いのではないでしょうか。

共通点まとめ

なんだか、どの書籍のレビューなのかわからなくなってしまいましたね(汗)。

合理性を求めてもちっともかまわないんだ。

それでも求めすぎると生きにくくはなるけど、そういう勇気を持てていない人は、ちょっとだけその割合を増やしてもいいんだよ。

もっともっと突き詰めたい人はパートナーを見つけるのが大事だよ。

この難しさは東西問わず普遍なのだ、と。

そんなふうに思った週末でした。みなさんも週末に、人生について考えてみるのはいかがでしょうか。


嫌われる勇気 eBook: 岸見 一郎, 古賀 史健: Kindle


采配 電子書籍: 落合 博満: Kindle

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名著は何回読んでもいつも新鮮。