著者・編集・出版の総合力に圧巻「清水式ビジュアルWeb解析」を読んだ感想

DSCN6991

そのわかりやすさを体現。

ウェブアナリストとして著名な清水誠さんがビジュアル解析というビジネス改善のアプローチ方法について書かれました。アスキーさんから献本いただきましたので、感想などレビューを書いてみます。

しかし、いやはやこれはやられました、いい意味で。

ビジュアル解析というアプローチ方法

DSCN6994

本書は、アクセス解析業界で著名な清水誠さんが書かれた書籍です。しかし、小難しい話はなく、ビジュアル解析というアプローチ方法についてわかりやうすく書かれています。

ビジュアル解析とは、ユーザーの動きを中心に考え、スムーズに改善アクションにつなげられるアプローチ方法です。その特徴はスモール・ビッグ、両方のデータにも対応できることが特徴としています。顧客、施策、効果すべてをビジュアル化して、効率的に課題を理解しやすくするアプローチと読めます。

その読みやすさや、わかりやすさは、大手通販サイトのレビューでは「1時間で読めてしまいました」などと酷評されてしまうかもしれません。しかし、そのリスクをとってまで、本書自体もビジュアル化し、わかりやすく解説しています。

そうなのです、本書はそのビジュアル解析の手法を用いて、すでに読者にその「伝わりやすさ」を証明してくれているのです。

ビジュアル解析の目次

1.ビジュアル解析とは
2.事例で学ぶビジュアル解析
3.コンセプトダイアグラムで顧客と施策をビジュアライズ
4.自作指標と目的別レポート
5.グラフデザインの原則とビジュアライズのコツ

ビジュアル解析の考え方から、具体的な落し込みや手順などをわかりやすく解説してくれています。

データにかかわる人なら大いに共感

著者は、アクセス解析という仕事に対する危機感を冒頭で明示しています。

>>ウェブアナリストが絶滅危惧種になっているんじゃないかという話※公開日の夜に追記版 | NUMBER

この記事にありますように、昨今のアクセス解析界隈の方々であれば、その業務の必要性について、おおいに共感するところだと思います。その現状を本書では、冒頭でこう指摘しています。

・周りから理解されず広まりません。「いろいろ分かるんですよ!」「で、どうすれば良いの?」
・当たり前のことしかわからないんです。「仮説が検証されました」「知ってた。」
・細かい人と思われています。「直帰率が下がりました!」「細かいことはよろしく。」

おもわずうなづいてしまう関係者は多いのではないでしょうか。実際、アクセス解析界隈の人たちは、そのような課題をおおく抱えていると思います。しかし、本書ではその課題を「ビジュアル」に落としこむことで解決できる、と希望を与えてくれます。

実際に、著者がサンクトガーレンという地ビール会社のWEBサイトリニューアルを手がけた事例をあげ、そのアプローチをわかりやすく説明してくれています。コンセプトダイアグラムという手法を用いて、複雑な課題をシンプルにし、より多くのメンバーでシェアできることを実証してくれています。

トップマーケターは図で人を動かす。

と帯に書かれていますように、本書を読めばその威力がわかることと思います。

そして、具体的な手法としては、EXCELでどうデータをビジュアル化するのか、というところまでしっかり解説していますので、精神論、抽象論ばかりでつまらないということは無いです。

最終章がなんとも痛快です

痛快なのは最終章です。

本書がタイトルに「清水式」とあります理由がわかります。アクセス解析の書籍かと思わせておいて、あんとある歴史にまつわる史事を述べています。そして、それをなんとビジュアル化するという大胆な実証でしめくくるのです。

これは圧巻です。そして、その結末は、なんとあの指標を否定してみせます。しかし、それは強引な決め付けではなく、その流れからすると、あああああああああああああ!!!!!たしかに!と、見事に腹落ちさせてくれます。その指標とは、ウェブに関わる人は誰でも知っているあの指標ですが、それを見事に否定し納得させてくれます。

まさに清水式。

もちろん、否定するだけでなく、それをどう使いこなすのか、その戦局ごとに使うグラフはこれ、と示してくれているのも交換が持てます。その論述はぜひ一度読んでみてほしいと思いました。こういう書き方もあるんですねえ、勉強になりました。

具体的なトラッキング手段は記載無し

Googleアナリティクスなど、広く普及していますアクセス解析ツールの使い方や、具体的な数字の取り方に期待をする人は、本書には向いていません。前述のように、本書ではビジュアル解析というアプローチ方法に重点をおいて書かれた内容となっていますので、そこはあえて省かれています。

ただ、後半にはEXCELをつかった具体的なビジュアル化の手順が書かれていますので、実際にビジュアル化をやってみたいと思った方は肩透かしをくらうことはありません。

編集者の力量に脱帽です

DSCN6993

シール付きです。

ビビりました。通常の書籍でここまでしてくる本は見たことがありません。編集者の熱い思いと力量に感服します。なかなかここまでイレギュラーな製本は社内でもなかなか通らないはずですが、「ビジュアル」ということに徹底的にこだわった証といえるでしょう。編集もその思いを強く持っていることが伺えます。決して、やっつけで作業として出来た本ではないことがわかります。

流れ作業として出来た本はその重厚さがまったく異質です。作者の思いをダイレクトに反映している、といえば聞こえは良いですが、しかし、作品のファーストレビューは編集者なのです。そこでさらに研ぎ澄まされ、作品の完成度が上がっていきます。

とくに、ビジュアル資料が多い本書では、その工程が圧倒的に必要です。書籍を一度でも書いたことのある方ならわかると思いますが、図版の修正はとても大変なのです。一文字間違えただけでも、イラストレーターに再発注です。それが本書では全ページにわたってあるわけですから、編集者の実力がもろにでる本なのです。

しかし、その難易度を本書はあっさり超えています。わかりやすく書く、ということは、出す側の実力が問われるのです。そして、本書はそれを見事にクリアしている数少ない稀有な書籍です。

購入者には全文PDFがもらえる

Kindle版がないのか!という声も聞こえてきそうですが、ご安心ください。この本には、無料で全文PDFがもらえる特典がついています。要会員登録ですが、ASCIIのサイトからPDFがダウンロードできます。

ドワンゴと経営統合も果たし、電子書籍に積極的なKADOKAWAらしい対応ですね。今や書籍も、書籍、編集者、出版社のチーム戦で内容を高め、しょうr品力を上げていく時代になっています。

2400円というのは、電子書書籍付きで、全ページカラーでシール付きとなれば、高くないことがわかります。

自身のビジネススキームに停滞を感じている方や、新しい書籍の方向性に触れたい、という方にはぜひ手にとって欲しいです。


コンセプトダイアグラムでわかる [清水式]ビジュアルWeb解析: 清水誠: 本

さらに出版記念セミナーが無料

あとで知ったのですが、清水誠さんの出版記念セミナーがアスキー・メディアワークスで無料開催される模様。

>>[清水式]ビジュアルWeb解析 発売記念セミナー 「人を動かす ビジュアライズの極意」 – Web Professional編集部 | Doorkeeper

清水誠さんのファンならずとも、無料という大盤振る舞い。これはぜひ行かないとですね。

・ ・ ・ ・ ・

>>安っ!アマゾンで半額以下になっている食品タイムセール
セール特設ページを見る

↓↓↓無料のニュースレターを配信中です

応用範囲の広い手法です。