「常連さんが増える会話のコツ」レビュー。とにかくリアルなエピソードが豊富で学びしかない稀有な一冊。何度も読み返してSNSに応用したくなる おすすめのコミュケーション本。

公開日: : 最終更新日:2021/09/18 書籍(電子書籍) , , , ,

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常連さんが増える会話のコツ

リアルでのコミュニケーションが減っている昨今。SNSでの文字だけでの会話は、さらに人との交流の密度をうすめていきます。そんなとき、いかに誤解なくつたえ、相手との関係をやわらかくするか。銭湯をV字回復させた著者がとった手法はおどろくほどシンプルで、かつ今の私達に多くの気づきをあたてくれるものばかりでした。SNS時代の今だからこそ多くの人に読んでほしい一冊。

お風呂屋さんから学ぶ「常連さんが増える会話のコツ」

著者は、廃業寸前の銭湯を4代目として引き継ぎ、経営を立てなおしました。こうかくと、よくある成功モノといえるかもしれませんが、本書の立て直しは並ではありません。

  • お風呂屋さんは、業界で価格がきまっていて価格競争はできない
  • 新たな設備投資がきわめて難しい状況
  • すぐ近くに強力な競合店がある

銭湯という業界はとくしゅで、じつはお店ごとに値段を変えられません。つまり、価格での差別化はできないのです。そうした成熟業界で、資金も環境も厳しい状況下のなかで、著者は経営をひきつぎます。

そこで、著者がえらんだ差別化は、お客さまとの日々の会話。

わたしは最初読んだとき、なんて抽象的で、当たり前すぎるアプローチだろうと思いました。かりに成功できたとしても、それはきっと人柄によるもので、属人的なものになってしまい、再現性が難しいだろうと思いました。

しかし、本書を読みすすめていきますと、その印象が間違いであったことに気づかされます。

そんな私なりに感じた本書のおすすめをご紹介します。

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本書がよくあう人

  • SNSなど、人とのコミュニケーションが希薄だと、感じている人
  • コミュニケーションをいかに濃くしていくか、ビジネスでも考えている人
  • リピーターを重視した店舗経営に関心がある人
  • 泥臭いV字回復ものがすきな人
  • コミュニケーションを円滑にする新しい切り口を探している人

本書の内容はあまり刺さらないと思われる人

  • 大企業で組織化や海外と交渉など、コミュニケーションといっても上流工程の部分に興味がある人
  • SNSなどでコミュニケーションに不安を覚えていない人
  • 言えば人が動いてくれる、という立場にいる人
  • SNSなどツールに興味がある、ネットでの情報発信の仕方に興味がある

おそらく、USJ本などがすきな方は、たぶん共感できるところは多いと思います。本書はお風呂屋さんという場所ですので、さすがに規模は小さいのですが、経営回復における現場でのさまざまな苦労、という点ではささる部分も多いと思います。ただ、ちょっと現場の具体的テクニック成分は多め、という感じです。

お年寄りとのコミュニケーションの仕方にも多くのページをさかれていますので、介護関係のかたにも役立つのではないかと思います。

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それでは、本書のおすすめポイントをレビューします。

「常連さんが増える会話のコツ」レビュー

お客さまと心を通わすまでの道程がリアル

本書が、他のコミュニケーション本と明らかに一線を画す点があります。それは、圧倒的にリアルなエピソードが豊富という点です。

いわゆる心理学的なアプローチで書かれた本とは異なり、現場でお客様とのリアルな交流から生まれるコミュケーションが、具体的につづられています。

ここまで明かしていいの?!と心配になるくらい、お客様とのコミュケーションを追体験できます。非常に豊富なエピソードが本書の魅力です。

たとえばこちら。言われてみればなるほどですが、わたしはこういう回答のしかたがあるのかーと感心しました。

お客さまがどちらのファンかわからないまま、いきなり試合結果を聞かれてしまう場面です。「今日の野球、勝った?」~中略~僕はこうした場面で、どちらが勝ったとは言わないようにしています。
まず最初に、結果だけを伝えるのです。
「今日は3対2です」
こう答えるとお客さまは、好きなチームを主語にしてさらに聞き返してきます。
巨人ファンなら「巨人が勝ったのか?」と確認してきますし、阪神ファンなら「阪神が勝ったのか?」と贔ひい屓きのチームの今日の結果について聞いてくるのです。

SNSの発信でも注意すべき3Sというテーマがあります。これらはデリケートな扱いになることが多く、ふれないほうが無難と言われています。

  • スポーツ
  • 政治
  • 宗教

しかし、番台にたっていれば、お客様からふられることも少なくないわけです。そして、だからこそ無下にはできません。そんなとき、著者は経験から、こういうふうにします、とやさしく教えてくれます。

この伝えかたも、こうしなさい、という上から目線ではなく、あくまでわたしの経験上こうしたら場の空気がよくなりました、という経験談を具体的に書いてくれるため、説得力があります。すんなりと受け入れてしまう魅力にあふれています。

失敗談が豊富なのも魅力

「常連さんが増える会話のコツ」レビュー

こうしたノウハウ本や成功本の場合、どうしてもわたしはこうした、という内容が多くなりますよね。しかし、本書では、失敗談もたくさん扱っていて、好感がもてます。

  • いくらていねいでも、無味乾燥なマニュアル口調は逆効果
  • 「思い出話」に触れるときは、細心の注意が必要
  • 10歳違えば考え方も異なる。ひとくくりにしてはダメ
  • なかにはプライドの高い人も。「知っていますか?」はタブー

とにかく著者の一貫した姿勢は、あたたかな試行錯誤をたくさん行う、につきます。ただ、試行錯誤といっても、相手があることなので、ビジネスライクにいろいろ試すのではなく、相手のちいさな仕草から仮説をたてて、すぐに実践する、という「気づき力」がすごいことに驚かされます。

目次からちょっとひっぱってきただけでも、上記のようにさまざまな失敗や試行錯誤のエピソードが具体的にでてきます。

よくぞここまで明かせるなあと心配になるほど、具体的で参考になります。信頼関係があってこその、エピソード公開だと思うのですよね。すごいです。

ECやSNSの担当者も、本書のリアルのコミュニケーションを、ネットに置き換えたらどういうことになるだろう、と応用すると、もう1段階上のエンゲージメントになること、まちがいなしですよ。

たとえば本書ではこのような、なにげない会話にもトラップがあることを示唆してくれます。

常連のお客さまをお見かけしたのです。
僕「こんばんは」
お客さま「日の出湯のおにいさんか。誰だかわからなかったよ」
僕「今日はお風呂が休みなんで、出かけようと思いまして」
お客さま「そういえば、定休日だっけ」
僕「お客さまは、お仕事帰りですか?」
お客さま「ん、いや……。もう、仕事はしてないんだよ」
僕とお客さまの間に、気まずい空気が流れました。

本書ではこのあと、仕事をしてることは当たり前、という価値観を押しつけていたと振りかえります。こうした豊富な失敗をあけすけに公開してくれ、そしてそこから、こういうときはこう注意したほうがよい、と諭してくれます。

まるで、職場のやさしい頼れる先輩のようです。本書の読み返したくなる魅力は、こうしたオープンな姿勢と、やさしさからくるオープンノウハウなのだとわかります。

わかりやすい言葉としかけが満載

「常連さんが増える会話のコツ」レビュー

著者のコミュケーションの真摯な向きあいかたは、書面にもあらわれています。上図のように、節ごとにちょっとした川柳やイラストがあり、おもわずくすっとしてしまいます。パラパラ漫画やなんと隠し表紙などもあるサービス精神旺盛っぷり。

日々、番台でお客さまと話しながら、失敗したり学んできた「感じがいい」お店の、そのものが書面で展開しています。

ですから、本文中の語句も平易なものがとても多く、読みやすいです。カタカナはほとんど出てきません。しかし、著者は話題をふやすために、ふだん番台に立つときは、IT機器を駆使します。

そのとき、僕の手元にはiPadがありました。
Googleの画像検索で、「マッターホルン」と検索してみます。
すぐに美しい山々の画像がたくさん出てきます。それをお客さまにお見せすると、懐かしそうに微笑まれました。
お客さま「そうそう。こんな感じだったよ。懐かしいなあ・・・」

言語でとりづらいコミュケーションも、絵をみせることでスムーズになることもあります。とにかく目の前の人にわかりやすく伝える、「お客さまに心地よくなってもらう」ことへのこだわりには元気をもらえます。

「常連さんが増える会話のコツ」目次

  • 第1章 出会った瞬間、心が温まるような挨拶を
  • 第2章 「ご年配のお客さまに好まれる話題」の見つけ方
  • 第3章 「聞き方」を変えれば、もっと信頼される
  • 第4章 ご年配の方に、声をかけるときに気をつけること
  • 第5章 お客さまの様子を見ながら、ふさわしい接し方を
  • 第6章 相手の立場になって考えて、さらに愛される

本レビューではつたえきれないエピソードが満載の本書。

ぜひ、お手元に紙の本をおいて何度も読みかえしてみてください。そして、SNSといったネットに置き換えることで、あなたのエンゲージメントもかならず上がると思います。

そんな前向きな気持ちにさせてくれる、著者のおもてなしに、もう読者はむかえられているのですから。

おすすめのコミュケーション本です。

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