クリエイターエコノミーで稼ぐとき、プラットフォームとクリエイターは運命共同体のようなものです。ですから、どのプラットフォームで作品を発表するか活動するかは死活問題ともいえます。数字にだまされずプラットフォームを選ぶにはどうしたらよいのでしょうか。
この記事の目次
プラットフォーム選びはクリエイターの死活問題
わたしはよく「音声配信をするならどのアプリがいいの?」や「やっぱり動画を出すならYouTubeかなあ」といった質問をうけます。もちろん、リソースが無限にあれば、正解は全部、です。でも実際にはどれかを選ばないといけません。
しかし、プラットフォーム内でがんばってフォロワーを増やしたとしても、そのプラットフォームが突然サービス終了してしまえば、努力はみずのあわです。
ですので、どのプラットフォームがいいの?という不安は、とてもよくわかります。クリエイターエコノミーにおいて、プラットフォーム選びは死活問題なのです。
前述の質問は、どのプラットフォームについていけば安心?と置き換えられる、と言ってもよいでしょう。
そうしますと、人によっては、大手についていけばいいじゃん、と答えるかもしれません。しかし、そうでもないのが、ビジネスの奥深さです。
グーグルやマイクロソフトでも閉鎖することがある
じつはネットの世界は大手だから勝ち残る、ということでもありません。実際表題にありますような超大手でも、SNSを閉鎖し世界中のアカウントに衝撃を走らせたことがあります。
>>マイクロソフト、ゲーム配信プラットフォーム「Mixer」終了へ–「Facebook Gaming」に移行 – CNET Japan
マイクロソフトは、YouTubeやTwitchといったゲームライブ配信プラットフォームを追撃すべくMixerというサイトを運営していたことがありました。そして、NINJAという超有名e-Sportsプレイヤーを、高い契約金を払い、独占配信させたにもかかわらず、閉鎖に追い込まれました。
>>プロゲーマーNinja、Mixer終了でTwitchに出戻り – ITmedia NEWS
判断をあやまると、どんなにトッププレイヤーでも、こんな見出しで報道されてしまうことになります。
Googleもかつて、Google+というSNSを運営していましたが、廃止しています。AKBなど有名人を囲い込み、ユーザーを取り込もうとしたのですが、彼らの思うようにはいかなかったようです。
>>4月2日、Google+終了。月間ユーザー5億人、大統領やAKBも活用した「巨大SNS」の夢はなぜ破れたのか?(1/2 ページ) – ねとらぼ
このように、クリエイターはプラットフォーム選びを間違えると、自分の資産が一瞬にしてなくなるため、プラットフォーム選びは慎重に行うべきなのです。
逆張りを狙って、他の人が今はやっていないだけだから、大手だから安心、これからきっと伸びる、と甘い言葉をうかつに信じてはいけないのです。
逆にいえば、そういう見極めが苦手な人、なくなってもまた最初から増やせばいいやーとすぐに切り替えができない人、そういう人たちこそプラットフォーム選びは、慎重になって気をつけるべきでしょう。
数字をただしく読めるようにしよう~データリテラシー
Photo:license by rod_waddington
プラットフォームに関するニュースは、日々目にすると思います。そうしたとき、売上xx億円、成長率150%、といった数字がでてきます。
ただ、これらの数字も嘘は言っていないという程度に、都合のよいものだけを、リリースするプラットフォームもありますので、気をつけたいものです。
今のビジネスは、特定の人が圧倒的に売上を伸ばし、総売上が一見多そうに見えるという特徴があります。時代も、そうした稼ぎ方を好んでいるようにみえます。
ですが、そうした特定の人は、そうそう一般の人には目もくれません。出会えるかどうかはまさに奇跡です。
ですので、プラットフォームから発表される数字は、次のように異常値をどう見ないかという視点で、読むといいと思います。
- 平均にだまされない、おすすめは中央値
- 瞬間風速に騙されない、大事なのはトレンド
- 異常値を抜いたデータかどうか
異常値とは、そのプラットフォームの実態を表さない数字です。たとえば、感染症が広がりいきなりマスクがバカ売れして売上が伸びた、などです。そのものすごく伸びた数字のみを信じて、そのECサイトで売ったとしても、決して売れることはないでしょう。
つまり、そのプラットフォームの実態を知るには、こうした異常値を除外して数字を見るようにしないと、判断をあやまることがある、ということです。
あるプラットフォームが、流通総額2600万円を越えました、というリリースを売ったとします。しかし、実態は、ある有名なインフルエンサーの売上が、2200万円あったとしたらどうでしょう。
そのプラットフォームだから売れた、というよりはそのインフルエンサーだったから売れた、というほうが現実を表していませんでしょうか。
とくに最近は、こうしたプレスリリースのなかに、インフルエンサーを除外しないで発表するところがあります。インフルエンサーが全体のそれほど多くない存在感でしたら問題ありませんが、こうした疑いをせずそのまま出してくるプラットフォームには、慎重になったほうがよいと思いませんか。
ですから、わたしがおすすめしたいプラットフォーム選びの基準は、誠実さです。
クリエイターエコノミーを盛り上げようとしているか
前述のようなリリースを出すところは、自分のプラットフォームに人を集めたい、という一心で出すのでしょう。
前述のマイクロソフトやGoogleも、その人のファンが来ることを見込んで、登録者を増やしたい一心で独占契約するのでしょう。
もちろん、それが間違った戦術とは言いません。短期的にみれば、数字は増えるであろう、具体的な打ち手だとは思います。ビジネスですから、結果がでないことにはどうしようもありませんから。
それでも、プラットフォームと運命共同体となるクリエイターは、自分自身のためにも、誠実なところを選ぶべきです。長く付き合うパートナーとして、多少手数料は高くとも、GAFAMでなくとも。
もちろん、Google PLAYか、App Storeかという二択しかない場合は別ですが、そうでなければ、わたしは誠実な運営をしているところを、推したいです。
広い目で見れば、クリエイターエコノミー全体を盛り上げようと思っているところと、組むべきとも言っていいかもしれません。同志なのです。不誠実なところとは組むべきではありません。
では誠実な運営をしているかどうかは、どうすればわかるでしょうか。それは、行動を見ることです。
たとえば、こちらは音声配信プラットフォームのSpoonの更新履歴です。
【お知らせ】規約違反ユーザーについて
>>お知らせ
猥褻なプロフィール画像(利用規約/ガイドライン)
2名
猥褻な背景画像を使ってのライブ配信(利用規約/ガイドライン)
1名
誹謗中傷コンテンツの配信(利用規約/ガイドライン)
1名
運転配信(利用規約/ガイドライン)
1名
その他
1名
合計6名安全で健全なSpoonをお楽しみいただけるよう、スプーンでは常時モニタリングを行なっております。
サービス利用規約に基づいて、視聴制限やアカウント停止、活動停止といった処分を行っており、それらは事前の告知なしに行われる場合がございます。(サービス利用規約8条)
定期的に、規約違反ユーザーをBANしたことを報告したり、障害の現状や復旧を告知していたりします。
人間がおこなうサービスですから、不完全なのは当たり前です。しかし、そうした問題にもしっかり向き合って、対応してくれる、そういうところを応援すべきです。
クリエイターも、そのプラットフォームを応援し、プラットフォームが存続できるようにがんばる、という視点はもつべきだと思うのですよね。もちろん、プラットフォーム側もクリエイターをサポートし盛り上げる仕組みづくりや、こうした対応は同じようにするべきだと思います。
しかし、そうして長い期間、お互いを信じてクリエイターエコノミーを育ていこうと思っているプラットフォームを信じるべきです。
もちろん、プラットフォームはユーザーのためにも活動すべきですし、クリエイターも同様です。そうして利用者・クリエイター・プラットフォームの三方良しがうまく続けられそうな相手を選びましょう。
大手だろうとベンチャーだろうと、それは考え方次第なので、こうした思いに、規模は関係ないのですよね。
もちろん、いくら考え方に共感できても、リスナーや他のクリエイターや作品などで自分には合わない、なんとなく相性があわない、テックがなかなか最新技術にアップデートしてくれない、というところも大事ではありますよ。そこが難しいところではあります。でもそこが、面白いところでもあります。
単純に資本力や話題だからという、安易な理由でパートナーを選んでほしくはないと思います。試すことはもちろん問題ありませんが、考え方として、運営は誠実か、というのは心のどこかにもっておいてほしいと思います。
クリエイターエコノミーは、こうした処世術も含めて、クリエイターエコノミーなので、このあたりの情報収集や信頼できる仲間づくりは、不可避なのですよねえ。
わたしもまだまだですが、お互いプラットフォームとよい関係を築きたいですね。
Twitterで日々こうした情報を発信していますので、ぜひ意見交換など、タイムラインで絡んでいただければと思います。
>>カグア!@コンテンツ配信&アナリティクス好き (@kaguanews) / Twitter