Googleアナリティクスで違うドメインでトラッキング出来ない時の分析方法

複数ドメインのトラッキング

以前、阿部さんの手法をご紹介しましたが、それでも、異ドメイン間トラッキングは、設置が難しく普及が進まない様子。

阿部さんの手法は、CV完了のためのページを間に1ページ入れ、そこにコンバージョンタグを入れる、というものです。そのページを、同一ドメイン内に入れれば、うまくトラッキングできるはず、という手法です。

これは、例えば、Google Analytics が30分以内のセッションならば、それが継続されるという仕様をうまく利用しています。上の右図でいいますと、REDIRECTページのトラッキングコードは使える、という感じ。

なぜ複数ドメイン間トラッキングがうまくいかないの?

Google Analytics は、ファーストパーティクッキーという仕組みを利用したアクセス計測を行っています。

これは、その「ドメイン」がクッキー(サイト側がユーザーのPCに情報を書き込めてしまう機能)を発行しているとみなされ、ブラウザ側でも比較的信頼され受け入れられやすい仕様ということで、Googleはこれを採用しています。

セキュリティ的に受け入れられないよ!といった発行では、トラッキングがままならないわけです。

しかし、そのコンセプトが時としてアダとなるのが、ショッピングサイトなどの決済画面です。多くのショッピングサイトでは、決済画面だけは、そのプロバイダ側のドメインにカートシステムを置き、加盟店で共通で使うことが多いわけです。

したがって、結果としてドメインをまたぐことになり、Google Analytics ではうまくトラッキングが出来ないのです。

取得出来ないのは具体的にはどんな数値?

「でも、ssl/cart.cgi?id=999というように、取れてるみたいだけど・・・?」

コンテンツ>>上位のコンテンツ、というメニュー操作でGoogle Analytics を見てみると、そう思われるかもしれません。

しかし、それは、単に記録されているというだけであって、そのドメインの閲覧開始ページと、その後見ているページは、同一訪問とみなされてないのです。

例えば、アドバンス セグメントで、

閲覧ページに「ssl」を含む

と絞り込んだとしても、本当の参照元はわからないのです。

別ドメインに移動してしまった時点で、同一セッションという記録が切れてしまうからです。

ですから、具体的に困るケースとしては、

カートページを経由した訪問が、どこから来たのか?

などを調べる時でしょう。ドメインが変わってしまうと、追跡が難しくなるんですね。

上の左図のように、すべてが同一ドメイン内で遷移すれば正しくトラッキング出来るのですが、たいていはそうではないので困ります。

複数ドメイン間トラッキングをする方法

最近では、ショッピングカートのほうで、Google Analytics のeコマース機能にも対応しはじめ、その際、ドメインが変わってもちゃんとセッションが引き継がれるようになっているケースが増えてきました。

MakeShopがGoogle Analytics「eコマース機能」に対応

こういった場合は、プロバイダの指示通り行えば、自動的に複数間ドメインに必要なトラッキングコードが付加されますので安心です。

そうでない場合は、ドメインが変わるリンクに、次のコードを入れつつ、トラッキングコード自体も以下のように変更する、と取得できるようになります(ga.js版)。

◆ドメインがわかる時のリンクタグ

onclick="pageTracker._link(this.href); return false;"

◆トラッキングコード

try{
var pageTracker = _gat._getTracker("UA-12345-1");
pageTracker._setDomainName("none");
pageTracker._setAllowLinker(true);
pageTracker._trackPageview();
} catch(err) {}

これらのように仕込んでおけば、カートページを経由したセッションの参照元などがわかるようになります。

複数ドメインのトラッキング – Analytics ヘルプ

なお、非同期トラッキングコードを実装の方は、以下をご参照下さい。

非同期トラッキングコード移行マニュアル

トラッキングコードが改修できない時は?

とはいっても、カート画面に移動する「決済画面はこちら!」というリンクにタグを仕込めない場合も多いですね?どうしたらいいのでしょうか。

タグを改修しないでも分析する方法を考えます。

この場合知りたいのは、おそらく「カートまで来たけど途中で放棄しちゃった人はどんな動きをしたんだろう?成功している人とどう違うのだろう?」といった分析ですよね。

閲覧開始ページや閲覧ページ数、参照元、キーワード・・・、そもそものアクセスから「質」を見たい・・・ですよね!

したがって、苦肉の策としては、別ドメインに移るページを離脱ページとして分析するのです。

そんな道理、私の無理でこじ開ける!!

アドバンス セグメントで、例えば以下のように絞り込みます。

◆新規ユーザーで購買をした人
・ユーザーの種類>>新規
・離脱ページ>>注文ページの手前のページ
◆新規ユーザーでカートにも入れたけど、買わなかった人
・ユーザーの種類>>新規
・ページ>>注文ページの手前のページ
・離脱ページ>>注文ページの手前のページ「を含まない」

このように絞り込めば、いちおう、
・注文ページは経由したが
・離脱は他のページ
・つまり、結果として「非購買」

のユーザーに絞り込まれるはずです。

こうして、「新規ユーザーがなぜ買わなかったのか?」「新規ユーザーでなぜ買ってくれたのか?」を、おおまかには分析できるはずです。

成功しているパターンと、そうでないパターンを比較して、そのギャップから改善のヒントを得る、これがポイントです。

もしくは、成功しているユーザーはどういう訪問をしているのか、を俯瞰する。これらから、ヒントが導き出されます。

ぜひ、以下のエントリーも合わせてお読み下さい。

GoogleAnalytics再入門~サイト改善の5アプローチ
オッサリーは課題発見の3ターン