クリエイター支援プラットフォームを選ぶのが難しい

国内のクリエイター支援プラットフォームは乱立しています。課金プラットフォームはいったんはじめると移行がむずかしいため、クリエイターとしてはどのプラットフォームではじめるか悩みますよね。結論としては、ともに収益をあげるパートナーとして共感できるところを選ぶ、です。

国内クリエイターエコノミーカオスマップ

>>日本のクリエイターエコノミーカオスマップ(暫定版)を作成しましたので公開します。 |徳力基彦(tokuriki)|note

わたしも協力しましたクリエイターエコノミーのカオスマップですが、先日イベントが行われ、徳力さんから暫定版としながら、公開されました。

思った以上にカオスで、おそらく、インフルエンサー事務所やマッチングサービスを含めますと、もっとカオスになっているとは思います。

そこで、パトロンサービスもかなりの数があることが露呈しました。海外ですと、ほぼPatreon一択のような状況なのですが、国内はほんとうにカオスになっているなあ、と改めて痛感しました。

電子書籍ストア界隈で、Kindleが上陸したあとも、結局国内電子書籍ストアは淘汰されることなく、カオスな現在でもどのストアも継続している、もしくは新規のストアもでるという隆盛ぶりです。

国内パトロンサービスは集約しない

現在多く存在するパトロンサービスも、残念ながら、今後集約していくことはないでしょう。

つまり、ある一社で会員をつのったら、とことん付き合い続けることになります。腹をくくって一社を選ぶことになります。運命共同体ですね。

パトロンサービスは、基本的にファンとクリエイターとつなぐサービスです。ですので、YouTubeのように関連動画で他のチャンネルから来てくれる、ということはほとんどないため、そのプラットフォームからの新規獲得はほとんど考えなくてよい、というのはあります。

ただそのプラットフォームが、利用者数が少なくて値上げをするとなるとクリエイターは実入りも減ります。そうならないためにも、プラットフォームの売上が増えることは重要です。運命共同体として共感できるかどうかが、プラットフォームを選ぶさいのポイントになるかもしれません。

プラットフォームは囲い込む

さて、プラットフォームは、課金サイトにかぎらず、有名クリエイターやコンテンツを囲い込む戦略が一般的です。

>>Spotify、ジョー・ローガンとの独占契約に実は2億ドルを投じていたとの報。従来報道の2倍 – Engadget 日本版

2億ドルという金額はたったひとつの番組を獲得するために投じる金額としてはまさに桁違いと言うほかありません。

また、人気ゲーム・フォートナイトでブレイクしたNINJAさんも、高額でマイクロソフトのゲームプラットフォームと独占契約をしました。

>>海外有名ゲーム配信者「Ninja」、TwitchからMixerに“莫大な金額”で電撃移籍&独占契約|Real Sound|リアルサウンド テック

NinjaはTwitchでの『Fortnite』配信などで絶大の人気を誇っていたが、競合するMicrosoftのMixerと独占契約を結んだ。

国内クリエイター支援サイトで、現在、囲い込みの動きをみせているところはありませんが、今後、独自機能の実装などでクリエイターを引き止める方策は増えていくでしょう。

ただ、条件だけでプラットフォームを選ぶことはどうなのでしょうか。じつはこのエピソードの結末は後述しますね。

共感できるかどうかで選ぶ

クリエイター支援の市場が成長していくかぎりは、今後もプラットフォームが減っていくことはないでしょう。プラットフォームがなくなる可能性も低いと思われ、どこか一つに集約していく、ということは少ないのではないかと考えられます。

そうなってきますと、どのプラットフォームを選ぶのがいいのか。わたしは、共感できるかどうか、という視点をおすすめします。

どのプラットフォームも多くは手数料ビジネスです。ですので、プラットフォームの機能というよりは、より多くの「売れるクリエイター」がいるかどうかで収益がかわってくるはずです。そのとき、より多くの人が集まる、という点では共感をよべるかという視点も大事なのではないでしょうか。もちろん、機能面にひかれてそこにクリエイターが集まる、という点では、共感がすべてではありません。人が多く集まるという点に共感するというのも、ひとつの目安としてアリだと思います。いずれにせよ、最終的には自分で決めないといけないということです。

こんなエピソードがあります。

前述のSpotifyとジョーローガンさんとの独占契約には後日談があります。なんと、ジョーローガンさんが感染症について誤情報をおぼしきトークを投稿しつづけてしまったのです。そのおかげで、Spotifyに楽曲提供していたアーチストが大量にやめてしまうというトラブルがありました。

クリエイターを囲いこんでも、プラットフォームにもリスクがある、ということです。

また、マイクロソフトとNINJAさんの事例でも、その後なんと、マイクロソフトがライブ配信事業から撤退し、NINJAさんはTwitchに出戻りしたというエピソードがあります。契約金がどうなったのかは定かではありませんが、NINJAさんははしごをはずされた感じです。

このように、プラットフォームもクリエイターも、その去就が安定しないことは、ファンのかたが一番こまることなのではないでしょうか。

そう考えますと、信念をもってクリエイターを支援しつづけるというパッションと、それを実現する具体的なオペレーションの、両方をしっかりバランスよくやっているプラットフォームと付きあうのはよいのではないでしょうか。

そしてもちろん、プラットフォームを選んだならば、プラットフォームにどんどんフィードバックしたり、ファンとの交流を深め売上を上げたりと、ともに成長していくという関係を深めていくことが重要なのです。

まさに「パートナー選び」といえるでしょう。

ファンとともに、お互いが成長できる、そんなプラットフォームを見つけてみてください。