クリエイター支援プラットフォームの競争激化は何をもたらすか

海外ですとクリエイター支援のプラットフォームは、Patreon一強ですが、国内ではカオス状態です。そこで、国内クリエイター支援プラットフォームをまとました。やはりすでに市場ができているイラストやコミックなどに集中しているようです。

クリエイター支援の定番機能

>>Patreon

Patreon

2013年からはじまったPatreon。Patreonは海外のクリエイター支援プラットフォームのさきがけです。Patreonをつかって毎月数百万円もの支援をうけているクリエイターが世界中にいます。

現在のクリエイター支援のスキームを定着させたのはPatreonといっても過言ではないでしょう。そこで、クリエイター支援プラットフォームの定番機能がほぼかたまっていきました。

  • 月額サブスク支援
  • 投稿機能(公開・会員向けなど)
  • ダウンロードコンテンツなどコンテンツ提供や販売

これらの機能をクリエイターたちはつかい、ファンに対して特典を提供し、きずなを深めていきます。月額課金・投稿・コンテンツ提供、という機能は国内プラットフォーム、どこでも提供していますが、それ以外のプラスアルファで差別化がなされ、競争が激化しているのが現状です。

また、日本ではイラストやコミックなどでの市場が大きいからか、そうした母体がはじめたからか、比較的そうした二次元やサブカルに偏ったブランディングのプラットフォームが多いのも特徴です。

月額課金については、どこも手数料はおおむね10%という点では横並びとなっています。

それでは、国内クリエイター支援プラットフォームを見てみましょう。

国内クリエイター支援プラットフォーム

Fantia

>>ファンティア[Fantia]|クリエイター支援プラットフォーム

ファンティア

2016年から運営している日本の国内クリエイター支援プラットフォームの老舗。同人誌やコスプレなどに造詣の深いとらのあなが運営。

全年齢を対象にし、男性向け、女性向けとゾーニングが進んでいます。男性向けはランキングなどでは、肌色が多めです。

PIXIV FANBOX

>>pixivFANBOX(ファンボックス)

ファンボ

イラストSNSを展開するpixivが運営するクリエイター支援プラットフォーム。絵師や漫画家が多いことが特徴。通常「ファンボ」。

pixiv運営の物販や、オリジナルグッズ制作のpixivFactoryとの連携もあり、後発ながらファンを集めています。

Xfolio

>>Xfolio(クロスフォリオ) – クリエイターのための統合プラットフォーム

Xfolio

国内大手印刷会社凸版印刷傘下の電子書籍ストアBookLiveが運営する、イラストレーター、漫画家に特化したクリエイター支援プラットフォームです。イラストなど静止画に特化しているだけあって、魅せ方がもっともクールでテンプレートや機能が豊富に用意されています。

ショッピング機能とダウンロード機能が充実しており、2022年開始ながらクリエイターを集めています。

Creatia frontier

>>クリエイティア | クリエイティア[Creatia] frontier

クリエイティア

とらのあなが運営するクリエイター支援プラットフォーム。2021年に開始され、イラストレーターや漫画家やVTuberなど、コミックや静止画や動画クリエイターなど、創作活動を中心としたクリエイターに特化したプラットフォームです。

先行して運用されているFantiaとの別ブランディングとして運営している点がポイントです。

レッスン機能や有料ライブ機能など、独自の機能を提供しており、より深くファンとむすびつきたいクリエイターから、注目を集めています。

Patreon

>>Patreon

Patreon

世界最大のクリエイター支援サイト。2013年からはじまり、YouTubeなどプラットフォームが行うクリエイター支援とともに成長拡大をつづけてきた老舗です。流通額も世界最大です。

リスクをクリエイターと共有しており、ゆえに、ブログやニュースレターや教育コンテンツなど、クリエイターを支援する仕組みがさまざまあることも魅力です。

プラットフォームの競争激化は何をもたらすか

ファンにとってはポイント付与などキャンペーンの恩恵

多くのプラットフォームではポイントやコインなど、独自通貨を発行しています。新規ユーザーを獲得するために、おそらくはポイント還元や新規ユーザーに100ポイントプレゼント!といった施策をうってくると予想されます。

そうして新規のユーザーを増やし、クリエイターをより支援してもらえれば、プラットフォームもクリエイターも嬉しいとなります。

競争の激化は、基本的には消費者には得が多いでしょう。

クリエイターには負担が増えるかも

そうした状況下では、クリエイターは複数のプラットフォームでコンテンツを提供しよう、という人も増える可能性があります。その場合、クリエイターには負担になってしまいかねません。

ただ、ファンから要望がくればこたえたくなるのは心理ですので、一箇所にかためたいクリエイターにはジレンマは続くかもしれません。

プラットフォーマーは囲い込む、しかし得策ではない

クリエイター支援プラットフォームに限らず、多くのプラットフォーマーは競争がはげしくなれば、独自コンテンツをつくり、囲い込みをします。NetflixとAmazonプライムなど。

しかし、それでも多くのクリエイターは、そうした囲い込みを受け入れつつも、たいていはどのプラットフォームでも配信する、パラレル投稿をすることが多いのです。しかし、それこそクリエイターの負担を増やすことになりかねません。

ですので、Xfolioなどは、外部へのリンクをOKにしたり、独自ドメイン運用を実装したりと、積極的に外部もつかってください、という姿勢を打ち出していて支持されています。

実際、Xfolioに登録しているクリエイターでも、課金部分はPatreonやPIXIVFANBOXを使うなど、わりきった使い方をしている人もいます。しかし、使いたい機能があるからこっちをつかう、という使い方こそクリエイターファーストだと言えるわけで、プラットフォーマーのジレンマなあるでしょうけども、まずは使ってもらわないことには仕方ありませんので、そこは受け入れるべきではないかと思います。

長い目でみればそうしたクリエイターファーストな姿勢は、かならず支持されるはずです。せまく囲い込もうとする姿勢は、アップルやマイクロソフトなど、超ウルトラスーパージャイアンテック企業でのみ「仕方なく許されている」施策だと思います。

競争がよい意味で、クリエイターへの注目をあつめ、業界全体が活性化し、市場自体が拡大していくことを望みたいですね。