企業が直接TikTokに投稿したり、TikTokと直接マーケティングを展開したりする事例が増えています。トップインフルエンサーには追い風ですが、トップ以外のインフルエンサーは、より差別化を意識しませんと、収益に影響は出てくるかもしれません。今、TikTokに何が起きているのか、ビジネスTikTok本のおすすめを読めば、案件をふる側の気持ちがわかるはずです。
この記事の目次
企業がTikTokの潜在層リーチ力に築きはじめた
TikTokマーケのトップが語る 企業がアカウントを開設するワケ:日経クロストレンド
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00566/00003/
- 企業が直接TikTokで新規にリーチし始めた
- 企業はTikTokにアプローチすれば「直接」インフルエンサーに接触できる
このインパクトは、トップクリエイターにとっては追い風です。TikTok公式から目をかけられるトップTikTokerであれば、企業案件がさらにひろがる可能性をひめています。
いっぽうで、トップ以外のTikTokerは、そうした上位クリエイターから仕事がふられてしまう可能性が高まりますので、より専門性やニッチな層とのつながりといった差別化がより重要になっていくでしょう。
TikTokは、TikTokならではの文脈で、潜在層にリーチできます(AIレコメンドが優秀なので)。確実にバズって新規にリーチする。そうした手法に多くの企業やビジネス利用は今後も増えていくでしょう。
クリエイターや企業にとってもまだまだ注目のTikTok、おすすめのビジネスTikTok本をご紹介します。
ビジネスTikTok本おすすめ3冊
日経の安定感と豊富なインタビュー
TikTok ショート動画革命 | 日経エンタテインメント!
自社アカウントでファン作り
- 【飲料】サントリー
- 【出版】スターツ出版文庫
- 【スポーツ】川崎ブレイブサンダース
- 【アート】寺田倉庫
アイデア動画でヒットを創出
- 【カーディーラー】BMWのオネーサン
- 【飲食店】金沢フルーツ大福凛々堂
- 【旅館】鳥羽ビューホテル花真珠
- 【結婚式場】ベル・カーサ
トップクリエイター
- 【映画評論】しんのすけ映画感想
- 【美容】やみちゃん
- 【書評】けんご
日経から発売されているだけあって、豊富なインタビューと、TikTok内部へのインタビューが満載の、唯一無二のビジネスTikTok本です。ただ、内部の人に聞くということでは、ほとんど批判的な内容は書かれていませんので、そこは差し引いて読むようにしましょう。
多くの事例は、ある程度コストをかけ、動画をつくりこむ事例が多いのですが、なかにはフルーツ大福の事例など、中小企業でも応用できそうなものもあります。
ただ、注意点としては、本書がでたことにより、似たような手法で参入する競合も増えてくるため、さらに上をいく施策をうてる人材リソース投資が不可欠という点です。このTikTok本にかぎりませんが。
それくらい、成功するんじゃないかと期待させる内容になっています。
1ヶ月で10万フォロワーを集めた著者
TikTokで人を集める、モノを売る ; 世界一カンタンなSNSマーケティングの教科書 | 中野友加里
- 第1章 TikTokのすごさを知る~世界で最もバズってる理由とは
- 第2章 TikTokを準備する~効果的に始めるには
- 第3章 TikTokで人を集める~誰にどうやって、何を伝えたいのか?
- 第4章 TikTokでモノを売る~集めた人にどうやってモノを買わせるのか?
- 第5章 TikTokで人の心を摑む~「熱狂的なファン」を生み出すには
スケート選手と同姓同名の女性の著者さんです。東洋経済で数回にわたってTikTok関連の記事をかかれていますので、まずはそちらを読むとよいです。
TikTokにはビジネスチャンスが眠ると断言する訳 | インターネット | 東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/479743?display=b
SNSマーケティングやインフルエンサー事業をいとなむ株式会社セントラルフィールド プロモーションの社長さんですので、多少そのあたりはさしひいて読む必要はありますが、経験にもとづく話は説得力があります。自らが出演し投稿するTikTokアカウントは現在約22万。
アカウントや企業サイトをみて、ターゲットや商材があいそうな人はぜひ。
大局的な視点でショート動画を学ぶ
ショートムービー・マーケティング TikTokが変えた打ち手の新常識 | 若井 映亮
【第0章】TikTokに活路を見いだせ!
- ネット広告の知識でダンスミュージック業界に貢献
- TikTokほど音楽が拡散されていくメディアはない
- 誰も手をつけていなかったTikTokマーケティングに日本でいち早く参入
- マーケティング事例は音楽から他ジャンルへ普及
【第1章】個人情報保護法改正によるマーケティング・シフト
- 名実ともに大インターネット広告時代へ
- 「個人情報を守る」が世界的な動きに発展
- そもそもWebマーケティングとは何か
- 広告に欠かせないアドネットワークという存在
- 費用対効果を高める「DSP」「SSP」とは何か
- 低予算で正確なデータを取ることが可能に
- 「正確なデータを取る」に隠れた落とし穴
- 個人情報保護法改正でマーケティングが変わる
- アプリ立ち上げ時の変化に気づいていますか?
- いかに自分たちでユーザーデータを手に入れられるか
【第2章】インフルエンサーマーケティングの実情に迫る
- 日本人の約6割がSNSを利用している
- SNS特有のマーケティングファネルとは
- これからは「いかに知ってもらうか」が重要になる
- テレビはおろか「Webサイト離れ」も進行していた!?
- 「生の声」を重要視するインフルエンサーを活用するには
- ユーザー発信の情報の方がモノが売れる
- フォロワー数だけを見ても成果は出せない
- 同じ人に同じ情報を届けないために
- SNSに多く見られる「ステマ疑惑」問題
- SNSでテレビ広告に匹敵する「認知」につなげる
【第3章】急拡大中のショートムービー市場に迫る
- AIで実現したレコメンドフィードの大革命
- 近い将来、どのSNSも「おすすめ」が主流になる!?
- TikTokの驚異的な急成長
- 独自路線のByteDance
- もはや「女子高生がダンスしているだけ」はもう古い
- 急速な拡大を見せるショートムービー市場の実情
- 広告収入を意識した長尺動画の落とし穴
- マルチチャネル化がクリエイターの勝ちパターン
- ショートムービーをめぐるクリエイター側の事情
【第4章】TikTokから生まれる高い広告効果
- 企業が今のうちにTikTokアカウントを作るべき理由
- TikTok発のコンテンツが新しいトレンドを作る
- 認知から購入までつなげるのが現在の主流
- TikTokの広告効果事例
- 事例1:薬用せっけんミューズ(レキットベンキーザー・ジャパン株式会社)
- 事例2:アイトーク ワンタッチアイテープ(株式会社コージー本舗)
- 事例3:アンレーベル(株式会社JPSラボ)
- 事例4:ラクオリ リキッドフィルム2(株式会社エリザベス)
- 事例5:PUBG(PUBGJAPAN株式会社)
- 正しくPDCAを回すにはマーケターのセンスが問われる
- きれいに作られた広告ではなくオーセンティックなコンテンツを
- 「見えないリスク」をどう回避していくか
- まだまだ失敗を恐れずにチャレンジできる
【Column】TikTok重視! アパレルのSNS戦略
- 対談:工藤朱里(atmos pinkバイヤー)×若井映亮
- 人気モデルよりも有名インフルエンサーの方が売れる
- TikTokと他SNSとの組み合わせがプロモーションのカギ
- 受け身ではなく主体的にSNSを活用する
- 若年層の行動特性はSNSを中心に決まる
- 雑誌を見る人が少なくなり先物買いがなくなった
- フォロワーの数よりエンゲージメントを見る
- 声優のアイドルを起用するとなぜモノが売れるのか
- 自分をさらけ出しファンがそれを応援する構造
- SNSがより力を持つ未来に向けて自社発信を強化
【第5章】アカウント運用を成功に導く秘訣
- SNS媒体の特性に合わせたブランドイメージ
- 今まで以上に自社アカウントを大切に
- 先駆的な企業アカウントはこうしてビジネスにつなげた
- フォロワー0からでも見られるレコメンドフィードの特性
- アカウントを成功に導く5つの必須ポイント
- 1 ターゲットを明確にする
- 2 ユーザーに連続視聴を促す
- 3 投稿頻度を高くする
- 4 投稿へのエンゲージメントを上げる
- 5 コンテンツに統一感を持たせる
- トレンドを先取りするために必要な心構え
- 動画業界のペリー来航で今後の動画コンテンツは二極化する
- 個人も企業も「ストーリーで戦う」
【Column】フォロワー0人からアカウントが急成長!
- 対談:ハウスダスト(TikTokクリエイター)×若井映亮
- フォロワー0人でも6000「いいね」がつくのがTikTok
- 伸びる動画のポイントは短さとインパクト
- 近年増え始めるショートムービーの横のつながり
- 人気になると必ず現れるアンチコメント対処法
- フォロワーが伸び悩んでも安易に踊ってはいけない
- TikTokとYouTubeを効率よく橋渡しさせるには
【第6章】ショートムービーがもたらす未来
- ショートムービーはどんな未来をもたらすのか
- 「検索」から「すべてがおすすめされる」世界へ
- 外部経済圏との連携が潜在的なニーズを持ったユーザー層の情報源に
- 人事や採用に「動画」が使われる画期的な試み
- ECサイトと連携し「動画」が購入のきっかけになる
- クリエイターエコノミーの加速
- ライブコマースが加速する
- TikTokの「ポケット」が将来、仮想通貨ウォレットのような役割を担う
- 利益を正しく分配するオンラインイベントの可能性
- 何度か盛り上がりを見せるメタバースは定着するのか
- すでにメタバース的なアプリは広がっている
著者は、フォロワー5万人を超えるクリエイターで、TikTok公認MCNのPPP STUDIOを設立し、200名のクリエイターを抱えマネージメントをしている若井さんです。
もともとは、サイバーエージェントでアドテク事業をやられていたかたですので、そのあたりのポジション的な背景は、さしひいて読むとよいです。最後はメタバースに話がおよぶなど、ショート動画をこえてメディア論になっていますが、著者の経歴からもそうした戦略的なたてつけに興味のあるビジネスマンにおすすめのTikTok本です。
目次を読むだけでも、勉強になる著者の知見のひろさが魅力のショート動画本です。TikTokにかぎらず、ショート動画としてのメディアの未来について知見を広げたい人におすすめです。
ビジネスTikTok本の功罪、そしてその先の運用へ
TikTokは、フォロワー0からでも、いいねがもらえる稀有なメディアです。そして、そうした特性を生かして、今後本文に書かれているような事例やビジネス活用は広まっていくことでしょう。
ですから、本書をビジネス視点で読まれるかたは、その先の、ビジネス利用が広まってからのビジョンをイメージしてから、実際にどう立ち回るかのオペレーションを考えておくとよいと思います。すでに、著書に書かれている事例は、刻々と陳腐化していきます。これは、TikTokに限らず多くのプラットフォームで起きていることです。YouTubeでも半年すると、まったく風景がかわり、かつてのノウハウは通用しなくなるほど、プレイヤーもふえ、映像のクォリティも要求されるようになっていきました。
TikTokでも同様です。トランプ政権の頃のような糾弾されるリスクこそ減ったものの、それでも1プラットフォームには違いありませんので、うまく付き合いながら、効果的な予算で最大の成果をめざす判断は、つねに迫られることでしょう。
そうしたハンドリングができる担当者に、ぜひ上記の本は示唆にとんで読めるはずです。
なお、時代がかわっても変わらない、いわゆる短尺動画の本質やクリエイティブについて、理解を深めたい人にはこちらの書籍がおすすめです。