今でも多くの地雷が埋まっているカンボジア。そこで爆発物を探知する犬たちがいます。本書はその地雷探知犬について長期取材された本です。
こんにちは、月に2冊は読書をするカグア!(@kagua_biz)です。Google PLAYブックスで定期的に購入しています。
本記事では、青い鳥文庫の「はたらく地雷探知犬」を読んだ感想をブログに記します。なお情報は2019年9月4日時点でのものです、ご注意下さい。
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「はたらく地雷探知犬」とは
爆発物を、繊細な嗅覚で探知し除去を手助けする犬、それが地雷探知犬です。金属探知機とは異なる精度とはたらきで、多くの実績があるそうです。
はたらく地雷探知犬 (講談社青い鳥文庫) | 大塚 敦子
本書は、そのボスニアの養成所にいき、長期にわたる取材にもとづいたノンフィクションとなっています。小学生向け児童書レーベルとして有名な青い鳥文庫から発刊され、その内容やよみやすさは保証付きです。
フォックストロットとクッキーは、ボスニアで、地雷探知犬になるための訓練中。犬たちはいったいどんな訓練を受けて、どうやって地中に埋まった地雷を探すのでしょう。そして、今も世界のあちこちに地雷や不発弾が残っているわけは?自分たちの住む土地を、自分たちの手で安全に――。土地や畑、家だけでなく、「生きる力」をも取りもどしていく、人と犬との物語。
自分たちの土地に地雷が埋まっているとしたら、日々の生活はどれだけ不安でしょう。安全な日本にいる私たちには遠い世界のように感じられてしまいます。しかし、地雷探知犬という仕事を切り口として書かれている本書では、より身近に、地雷とともに生きるという姿をあざやかに描写しています。
とても読みやすく、こころをゆさぶられた本ですので、ご紹介します。
地雷探知犬とともに生きる
地雷除去という仕事
日本でも戦争時代の不発弾が発見されるニュースは、不定期に報道されます。
>>五輪会場近くに大戦中の不発弾 周辺規制し無事撤去
しかし、カンボジアなど地雷がつかわれた戦地にとっては、現在でも生活ととなりあわせるものです。
そこで地雷を探知し除去の支援をする犬が、地雷探知犬です。そして、ハンドラーが地雷探知犬を動かし、ディマイナーが地雷を除去します。本書では、ボスニアで訓練される様子とカンボジアの現場で働く様子とをレポートしています。
実際の地雷探知の様子も写真で掲載されています。見ているだけで怖いです。また、カンボジアではたらく女性ディマイナーの姿も心に響くものがあります(カンボジアでは多くのディマイナーは女性だそうです)。
一度に調べられる幅は、たったの40戦地。しかも、せっかく時間をかけて掘りだしても、地雷が見つかるとは限らない。ほんとうに気が遠くなるほどの時間のかかる仕事です。それでも、ディマイナーたちはいっしょうけんめいはたらき1日平均300平方メートルもの面積をクリアするといいます。
なんと、地道な作業なのでしょう。地雷を設置するときはわずかの時間なのに、それを撤去するのには何百倍もの労力をようするなんて、なんと理不尽なことでしょう。
しかし、本書では「仕事」として地雷撤去にとりくむ現地のかたがたの姿を浮き彫りにします。この章で、地雷探知犬の役割にリアリティが増してきます。現地のかたの仕事や生き様がうつしだされることで、犬との絆もよりくっきりと伝わり、胸をうちます。
世界をまたにかけた取材
著者は、ボスニアの地雷探知犬の養成所だけでなく、地雷探知の現場であるカンボジアにも取材に行きます。
ロープが地面に置かれ、ナイロビとスレイリンがいっしょに地雷源に入る姿を、わたしは息をつめて見守りました。ナイロビは、合図とともにさっと鼻を地面につけ、どんどん進んでいきます。すごい集中力で、あっという間に10メートルの距離を探知し終えます。ボスニアのトレーナーたちが、ナイロビのこの姿をみたら、誇りに思うだろうなぁ・・・。
長期にわたり、地雷探知犬とも親交を深め、さらに現地で地雷探知の姿を見守る著者には、こちらもひとごとのように思えない、緊張を感じます。まるで、我が子が危険にさらされているかのような描写で、読んでいてとてもヒヤヒヤします。長期取材による、人と犬とのかかわりをベースにつむがれた文章からは、地雷探知という仕事をより身近に感じられ、怖さをわからせてくれる説得力があります。
だからこそ、長期にわたり地雷探知犬を見守り、その無事で、元気にはたらく姿を見たときには、わきあがるものがあるのだとわかります。子犬だった頃にであった2頭の地雷探知犬は著者をしっかり覚えていたそうです。目頭が熱くなりました。
ボスニアで初めて会ったときは、まだ訓練を始めたばかりの子犬だったフォックストロットとクッキー。遠く離れたカンボジアで、ふたたび2頭の元気な姿に会えるとは・・・・わたしは思わず胸がじーんと熱くなるのを感じました。
こうした著者と地雷探知犬とのかかわりあい、そしてかかわる人々の群像に、地雷除去という問題をより立体的に感じることができます。
現地に長期滞在してでの、ルポはほんとうにとても迫力があります。
すべての人におすすめです。ぜひ。
はたらく地雷探知犬 (講談社青い鳥文庫) | 大塚 敦子
関連情報リンク
地雷探知犬の養成センターの公式サイトです。
>>爆発物探知犬
みつけた爆弾の処理のくだり、本当に怖いです・・・。
>>カンボジア地雷撤去の現状。 – かで&ぐりこの IKI IKI TRIP!!!
本書にも出てきますCMCの公式サイト。
>>CMCカンボジア地雷撤去キャンペーン
体が軽いため地雷が動作しづらいメリットがあるそうです。
>>小さな小さな救世主!カンボジアで地雷を除去する「人命救助ネズミ」が大活躍 – grape [グレイプ]
教育で救える命がたくさんあります。
>>カンボジアの地雷のことを地雷博物館で学ぶ 教育のチャンスを守る。 – クラウドファンディング Readyfor (レディーフォー)
現在でも、地雷による死傷者はなくなりません。
>>カンボジア国境で地雷爆発か タイ人男性重傷 | newsclip (ニュース、社会のニュース)
地雷を除去したあと、自立ができるようになるまでが支援。
>>原産地は“地雷原” 元自衛官がカンボジア焼酎で国際貢献【愛媛発】 – FNN.jpプライムオンライン
まとめ
- カンボジアの地雷撤去問題について
- 地雷探知犬という存在について
- 地雷探知犬を育てるという仕事について
命の危険にさらされるお仕事と、それらをとりまく環境について、長期の取材による基礎的理解ができる良書です。
わたしは、この問題についてほとんど知りませんでしたが、こうして仕事という切り口で身近なものとして、現地ではたらく人の目線でつづられる、リアリティには、なにかをしなければという思いも感じることができました。
戦争や紛争という武力による争いは、絶対にあってはならないものだという思いを強くしました。すべての人におすすめです。
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