マクドナルドの業績回復は松岡修造さんを社長にするほかない

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ビジネスリカバリープランが発表されました。

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>>営業成績をV字回復させる3つの基本戦略と考え方

売上2000億円に対して380億円の赤字と発表

>>マクドナルド、15年12月期最終赤字380億円 131店閉鎖へ:日本経済新聞

マクドナルドの業績不振がいっせいに報じられましたね。その赤字額はさらに増えるとのことで、希望退職を募ったり、店舗を閉鎖したりといった対策が発表されました。

実際にこちらで読むことができます。店舗閉鎖という後退もあれば、アプリで訴求するなど攻めもあります。

>>Welcome to McDonald’s Holdings Japan

売上が2000億円との見込みに対して380億円の赤字、といった成績です。


逆境経営: 桜井 博志: Kindle

時給を1500円にしてほしいという声と反応

ビジネスリカバリープランの発表前、くしもくファストフードの時給を上げよとのデモが、マクドナルドと名指しているわけではありませんが、行われました。世界的な運動のようですが、マクドナルドの人気キャラを模した格好の人もいたそうです。

>>「時給1500円!」 ファストフード店員が賃上げ要求:朝日新聞デジタル

ただ、それには比較的冷静な声がネットで拡散したようです。

>>マクドナルドの「時給1500円」で日本は滅ぶ。 : シェアーズカフェのブログ
>>サラリーマンの給料、時給換算するとなんと平均「1486円」→半数以上が「割に合わない」|フレッシャーズ報道|フレッシャーズ マイナビスチューデント

赤字発表とデモには関連性はありませんが、いずれにせよマクドナルドの置かれている状況は、かつてないほどの厳しさを増していることは事実でしょう。

131店舗の閉鎖は多いのか少ないのか

>>日本マクドナルド、今期は減収増益計画 | ロイター | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

こちらの記事によりますと、2013年末の店舗数は3146店舗だそうです。131店舗は4.1%にあたります。

>>世界各国のマクドナルド店舗数と売上成長余地

こちらの記事は2009年ですが、世界各国の出店数と比較できますが、日本は先進国の中では1人あたりの店舗数が2.9と平均的な数だそうです。アメリカやカナダは国民1人につき4.4店舗としており、本場の凄さを感じますね。

これまでも店舗閉鎖や営業時間短縮など見直しをしてきました、今回の縮小策という感じです。

業績回復の事例

過去に業績を回復させた大手はいくつもあります。目指す方向さえ間違っていなければ、ブランドのある大手は立ち直す可能性を秘めています。

事例と業績回復のおもな要因をまとめました。

日産自動車

業績回復要因:カルロス・ゴーン氏の圧倒的なプレゼン力とリーダーシップによるコストカット。

>>日産自動車のV字回復の光と影—真価が問われる「ゴーンマジック」 – 日経ものづくり – 日経テクノロジーオンライン

ウィルコム(現在はワイモバイルに被買収)

業績回復要因:誰とでも定額がヒット。

>>ウィルコムの契約数が400万件再突破、「もう一台無料」などで劇的なV字回復 – GIGAZINE

オカザキホーム

社名というブランドまで変えてはいますが、リストラなどはしなかったそうです。ただ外部から経営陣が入ってきたという点では共通しています。

>>どん底からのV字回復を果たしたオカザキホームの経営再建

JAL

業績回復要因:稲盛和夫氏の強力なリーダーシップによる組織改革。公的資金注入とコスト意識の徹底。新サービスや機内の見直し。

>>奇跡のV字回復で再上場した日航経営改革とは?(2/6) | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉:日経BPオールジャンルまとめ読みサイト

業績回復の鉄板の共通項としては、外部からの強力なリーダーシップでコストカットし売れる商品を生みそれをちゃんと伝えるです。具体的にはコストカットは、レジを食券機にするとかトイレを廃止するとか。伝えることについては後述。

じつはこれ、商売の基本とも言えるわけですが、逆に考えれば、その商売の基本を徹底できなかったからこそ破綻への道を進んだとも言えると思います。

マクドナルドが取り組むべき課題は多い

以上をふまえますと、今回のビジネスリカバリープランは残念ながら迫力不足だと思います。が、打開も簡単ではなさそうです。

まずやるべきは信頼回復の「継続」

すでに店舗閉鎖などはやっています。また、今マクドナルドがやらなくてはいけないことは、アプリを作ることではなく、まず異物混入事件などの信頼回復です。

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>>ファミマは導線調査してる場合じゃない

※この記事を書いたあと、数カ月後にこちらが報じられていました。感慨深いです。
>>日刊ゲンダイ|伊藤忠を軸に小売再編 ファミマ&サンクス経営統合の舞台裏

飲食業にとって食の安全を失うことは、ふつうは閉店でもおかしくないものです。それを、まず払拭するゲーム・チェンジをしなければ、その次はありません。ことの重大性の認識が弱いと感じました。

お詫びについてはこちらのエントリーが参考になります。

>>サガン鳥栖が発表した最終決着お詫び文の「めんどくせぇ…」感を払拭すべく、本意を汲んだサシカエ文を提案するの巻。 : スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム
>>僕がGunosyの社長だったらこのように謝罪文を書きます : けんすう日記

異物混入の現状、経緯、今後の対策などとにかく透明にする、という情報公開が基本です。膿を洗い出さない限り次へは進めません。

そこまでやってはじめて、大胆な信頼回復策が生きるのです。

個人情報漏洩をしてしまったジャパネットたかたは1ヶ月半の自主的営業停止を決め、損失は154億円にまでのぼったとされます。しかし評価は高く、応援の声が多数寄せられたそうです。結果、売上は6%減程度にとどまりました。大胆なみそぎが評価されたかたちでした。

>>(2/4)改革の軌跡 あのプロジェクトの舞台裏 – 情報漏えいを反省しモラル強化へ、「誠実なプロ集団」への自覚促す:ITpro

※情報漏洩をさせた人物には民事で1億1千万円という請求額が命じられました。
>>個人情報漏洩 | 株式会社竹内保険事務所

ただ、ネット上の声を見てますと、異物混入はたんなるきっかけで、店舗、味、オペレーション、さまざまな品質低下(相対的かもしれませんが)が徐々に積み重なって起きたことと言えそうです。それらの継続的な見直し、顧客の声を聞く姿勢の打ち出しが必要で、それは2年もしくは数年かかるかもしれません。ただ、「継続」しかないと思います。

それが浸透するまでは、どんなに新しい施策を行っても受け入れてはもらないでしょう。

強力なリーダーシップは社外からしかない


(日めくり)まいにち、修造! ([実用品]): 松岡 修造: 本

前述の記事によりますと、マクドナルドは世界的には売上を伸ばしているそうです。おそらくはアジア圏での伸長にまだまだ伸びしろがあるのでしょう。中国などでは人口一人あたりまだわずか0.06という成長余地です。

ですので、経営陣からしますと、日本の赤字などはワンノブゼムに映っているかもしれません。ここまでやってるのになぜなんだ?!ホワーイ?くらいかもしれません。そうでなければ6%という閉鎖店舗数はあまりに少なすぎます。だいたんにやるなら、閉鎖というよりは、伸びている店舗以外は全部閉鎖くらいにやってもいいほどですので。それくらいの覚悟がゲーム・チェンジをするときには必要です。

世界的チェーンの1国という点では、外部から経営陣がはいり、強力なリーダーシップをとって、というのことも難しいでしょう。ただ、過去にアップルから転身した原田氏という事例もありますので、外部からの登用もまったくゼロではないでしょう。

そこで、国内でもっとも好感度の高い人物、そしてクリーンなイメージと言えば、この人の右に出る人はいません。社長がダメなら社外取締役でも良いです。

そして、彼のいうすべてを取り入れます。経営陣からすると突拍子も無い意見が多いかもしれませんが、逆にそれこそが消費者目線なはずです。そして何より、不屈の闘志をもつ彼ならば、業績回復するまで決して諦めることはないでしょう、そしてそれにスタッフのモチベーションが上がることが期待できます。これ結構重要なんですよね。

V字回復にはチームの意識改革が不可欠です。そのためには、改革の先頭に立って頑張る背中を見せつづけることが重要で、その覚悟を背負い内情を知らないからこそふるえるなたを大胆にふることが必要です。そのためにはやはり外部からの人材が一番だと思います。

ビジネスリカバリープランに対するまとめ

継続的な信頼回復、そして徐々に魅力的な商品や店舗、オペレーションに変えていく。これを数年間行ってはじめて次に進めるのではないでしょうか。こだわりを捨て大胆な手を打てるかが勝負です。スピード感をもって継続的に信頼回復策を投入したいものです。

【お詫び】
誠に申し訳ありませんが、全スタッフが研修のため90日間の営業停止を致します。
ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

と告知され、スタッフ全員が松岡テニス塾のような熱血な指導を受けている、としたら新スタートに期待しちゃいません?

そして、再開時にそこに目新しさは必要ありません。とにかく基本を見直してブラッシュアップに徹します。とにかく総合力で他の飲食に比べ見劣りしていることも原因だと思いますので、1つ1つ改善するほかないと思います。これらが受け入れられてはじめて新商品が生きてくるはずです。そして商品にはぜひとも毎回ストーリーを盛り込んでほしいと思います(商品論についてはまた別な機会に書くつもりです)。

V字回復というと毎回これを紹介している気もしますが、本著はそういうゲーム・チェンジの重要性と実践について臨場感ある表現で丁寧につづっていて、未読の方には本当にぜひ読んでいただきた書籍です。ぜひ。


USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? V字回復をもたらしたヒットの法則 (角川書店単行本): 森岡 毅: Kindle

マクドナルドが今後どのような店舗に生まれ変わるのか楽しみです。いや、変わらないかもしれません。しかしそれでも私は楽しみに待っています。ポケモンカレンダーやハッピーセットを子どもたちと食べた楽しい思い出があるかぎり。

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