「バイトでも」ではなくバイトだから「9割がバイトでも~ディズニーの教え方」感想

ディズニーの教え方1

ちょっと斜め読みなレビューです、ご注意を。

オススメしている私の立ち位置

今更ですが、人気書籍となった「9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方」を図書館から借りてきて、読みましたので感想をレビューします。ちなみに、その本が図書館にあるかどうかは、以下のChromeエクステンションで分かり、出費を抑制でき便利です。貸出中かどうかもわかります。

>>Chrome ウェブストア – その本、図書館にあります。

・大学講師や企業研修、小学校、シニア、留学生など教育業界を10年以上経験。大学で教職課程(先生を教える科目)も担当。
・一方で弊社は1名体勢。したがって自社内での後輩指導実績は無し。学生時代のアルバイトでの後輩指導程度。
・抽象論よりは具体論を好み、精神論よりは仕組みに興味があります。

前提として、どれだけ素晴らしいマニュアルがあっても、昇格精度や賃金、キャリアパスなど、仕組みが無いと、凄いスタッフが高確率で育たないだろー、といった、若干ネガティブな視点から、読み始めています。

ホスピタリティを維持していく教育サイクル

上記のように、マニュアルが良いからじゃないの?と、どちらかというと穿って読み始めました。

しかし、読み進めていきますと、それは単なる1側面でしかないことがわかります。長年の経験から、人材募集から教育ノウハウや制度など、ホスピタリティを実現させるための仕掛けが盛りだくさんで、ある意味痛快さを覚えました。

内容自体は、後述のような生々しい話は僅かで、夢は壊れないようになっています。そのあたりで読むのをためらっていた方、心配してた方は、ご安心下さい。著者はしっかりディズニーの行動指針を実践しています。

基本的には、いかにミッションを浸透させるか、モチベーションをどう上げていくか、信頼関係をどう築くか、といったキャスト指導のノウハウが、丁寧に展開。個人的には、トレーナーが後輩を理解するための、関心度チェックシートがとても興味深かったです。

帯にあるように、たしかにこれならば<「素質」は問わない>クォリティで笑顔の絶えないのスタッフが成長する仕組みだと納得ができます。ははぁ〜って感じです。

教育しきれなかった人への対応

もちろんマニュアルは、世界中の夢の国で、そして長い歴史をかけて洗練されていったものですから、たしかに素晴らしいことは間違いありません。しかし、それでも、逸脱する人はいるわけです。とくに私が知りたかったところがここでした。ある程度キャスト(アルバイト)に裁量を持たせる夢の国だからこそ、困ったことも起こるはずだと。

著者が経験した困ったこと、それは、トレーナーと呼ばれる人たちが、間違った教育をしてしまったのだそうです。裁量があって、かつ、行動様式までもがトレーナーの影響が大きいからこそ、そこが間違ってしまったときは大変なのですね。

カヌーのアトラクションで、間違った影響を受けたキャストの行動から、クレームが入ったときのこと。カヌーのアトラクションは、ゲスト(お客様)もパドルをこいで楽しむものですが、そこであるトラブルが起きるのです。P109ページからの引用を以下に示します。

「みなさん、こぎましょうね。」
と最初はやさしく声をかけていたものの、一向に言うことを聞いてもらえないので、だんだんきつい調子になっていきました。
そして、あげくのはて、キャスト用の長いパドルで、バチャーンと水面をたたく行動に出てしまったのです。
それは、ゲストにとっては、ショッキングな出来事でした。

これは、正直驚きました、夢の国でそういうこともあるのだなあと。そして、著者は1年かけて何とか現場を元通りにしていきます。ただ、その過程でどうしても著者に賛同できないキャストは「他部署に異動させたり退職させたりせざるを得ない」とのことでした。つまり、柔軟な人事はどうしても不可避で、アルバイトという雇用形態でないとダメなのだと、私には読めました。

また、トレーナーという役職も、教えることに熱意のある人を選出し、とくにインセンティブは無いそうです。つまり、人によるところが大きい。だからこそ大量採用する必要があるわけです。

実際、「年によって異なりますが、1年間で、約1万8000人いるアルバイトのうち半分近くの9000人くらいが退職していくそう。そのため1年に3回くらい3000人近くのアルバイトを採用しなくてはなりません」と書かれており、ホスピタリティ維持に数が重要であることがわかります。ただそれでも、毎年5万人以上の応募者が集まると書かれており、やはりこの仕組みは、ブランド価値安定の最適解だと言えそうです。応募者は基本的にすべてウィルカム、というのもこの流れからはすぐに腹落ちします。

「ディズニーの教え方」と書名にはありますが、私にはそれ以上に価値のある内容でした。自律的な人を育てるとき、どうしても制度が不可欠なので、そのあたりも踏み込んだ本書に敬服です。

ただ、繰り返しになりますが、いかに後輩と信頼を築き、コミュニケーションし、モチベーションを上げていくか、といった教育ノウハウがメインであることは、間違いありません。後輩育成に悩んでいる方は、ご一読をおすすめします。理解して行動してもらうためには、まず信頼関係構築からなんですね。

読みやすい体裁、いわゆる何回も読む本

ディズニーの教え方2

さて体裁ですが、上図のように、読みやすい編集です。1ページ内に行をあけた改段落が2〜3段。10ページ前後の間隔で図解。太字にした重要センテンスが毎ページごとに1〜2箇所。最近の人気書のテンプレから外れていません。バラエティにとんだ紙面で飽きること無く、かつほど良い文字量で、読むのは数時間もあれば大丈夫でしょう。

一方で、その仕組み自体を理解し、自分自身の仕事のフレームワークに落としこむには、ある程度時間をかけることも必要。そう、いわゆる読みやすいが何回も読む本と言えそうです。

なお、アルバイト感謝デーがあるなど、ちょっとしたディズニー通になれる豆知識が増えるのは秘密です。キャストだけで貸し切る時があるんですね、羨ましい。

>>キャスト特典|東京ディズニーリゾート キャスティングセンター

月間販管費が400億円もする箱をスケールさせていくのに、いかに「ヒト」という完全制御不可能な要素を、マネージメントしていくのか。そういうフレームワークに興味のある人にも、オススメの本です。

9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方
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ちなみに小さな組織ならこちらはいかがでしょうか。


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