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レビュー:ソニー再生~変革を成し遂げた異端のリーダーシップは万人におすすめできるビジネス本

ソニー再生―変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」 平井 一夫

元ソニー経営トップ平井一夫さんの本を読みました。おもしろくて1日でいっきに読んでしまいました。3つもの事業を回復させ、新生ソニーをつくりあげた平井さんが、どの現場でも行ってきたこととは。多くのビジネスマンに示唆が、いまイチオシのおすすめのビジネス本です。

ソニー再生~変革を成し遂げた異端のリーダーシップがおすすめの人

本書は、いわゆる企業の再生本です。いっぽう、ソニーファンにはたまらない単語や製品名が出てくる、ソニーの歴史本でもあります。

私はガチのソニーファンというわけではありませんが、最近のソニー製品はとても好きでよく購入はしていました。気づけば、たしかに著者である平井さんの時代の頃の製品からと知り、はっとしました。

それほどのファンでない私でも、好んで買ってしまうほどの商品づくりをしていた人だったとは。読後にも驚きがあり、本書の内容にとても大きく腹落ちがしたのでした。

ですので断言します。ソニーファンでなくとも、間違いなく楽しく読めます。

企業再生本なので、たのしく、という言い回しが適しているかは微妙ですが、それでも、本書の魅力は、その痛快なほどにソニーのあらゆる事業が復活していくさまです。あまりの面白さに、1日でいっきに読んでしまいました。

前述に該当するかたであれば、本書を読んでいただければ、読了後、つぎの読後感を味わえることでしょう。

ヨドバシでも、2021年8月4日時点でお取り寄せ、になっている人気ぶりは、たしかに読んでみて納得でした(なんとAmazonでは2021年8月4日時点で99件のレビュー投稿数がありつつも低評価はゼロでした、すごい)。

いっぽうで以下のような読者には物足りない可能性もありますので、ご注意ください。

あと、あまりにも、そのお仕事ぶりが素敵すぎて、あまりに本書が素晴らしすぎて、本レビューを今一度読み返すと若干毒づいたていると、受け取られてしまいそうだな、という反省はあります。けっして悪意があるわけではありません。でもそのあまりのきれいなお仕事ぶりに、おそれおおくも嫉妬しているのだと思います。それくらい著者は、今どきのスマートで素敵なおじさま、ということは伝えたいです。所作がいちいち素敵すぎです。ファミマ社長の澤田さんや、星野リゾートの星野さんなど、今どきのトップは本当にナイスミドルですよねぇ。やっぱり、こうした人でないと、今どきの大企業のトップはつとまらないと思いました。

さて、誤解をおそれずに言えば、本書の著者は、そういう点ではごくふつうの人物です。現場にいって本音をしっかり話してもらえる、身近な話やすい男性です。

超絶に専門的な技術力のある人でもなく、ファイナンスに詳しいわけでもありません。CBSソニーという、音楽を専門とするグループ企業に入社した人物です。そうした人が、EQ=こころの知能指数、を重視するヒューマンな組織作りを地道にすすめてきたことによる復活劇です。

ですので、カリスマ的な何かをもとめる人や、そうした技術ノウハウに醍醐味を感じる人には、わずかに共感は減るかもしれない、ということはお伝えしておきます。

ただそれでも、平井氏の真摯にかつシンプルにビジネスにのぞむ姿に、誰しも元気をもらえる、そういうビジネス本です。

万人におすすめできるビジネス本です。

ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」 | 平井 一夫


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ソニー再生~変革を成し遂げた異端のリーダーシップのおすすめポイント

著者の人となりをうまく散りばめている

本書でつねに繰りかえして強調される著者の姿勢は、シンプルで明確です。

基本的には、3つの事業再生も、ほぼこれで解決してしまっています。もちろん、実際にはもっともっと複雑で、たいへんな道のりであることは、じゅうじゅう承知ですが、それでも、わたしにもできるかも、と思わせるほどの、シンプルかつ徹底された仕事の進め方です。

最後の再生劇である、ソニー社長になってからも、「あーたぶんまた、こうするのだろうな」という期待を、裏切りません。それでも、まったく嫌味なく、くどくなく、力強く読者が読み進めてしまうのは、なぜでしょうか。

それは本書に散りばめられた、平井氏の身近でパーソナルな部分を、知らず知らずのうちに知ってしまっているからです。あのソニーの元社長が、こんな身近なひとだったのね、と本文のいたるところに散りばめられている上手さがあります。

新入社員の私は、ごく当たり前な返事をしたはずだ。隣では同期入社の女性社員が同じように頭を下げている。部署ごとに社長から入社にあたっての訓示を受けたのだが、「外国部」に配属されたのは、私とこの同期の二人だけだ。後の伴侶となる女性である。

これ、本書の冒頭部分に出てきます。ずるいですよねえw。入社同期が奥様なのか!と、なんて身近なエピソードだ、ともうここでハートをつかまれてしまうわけです。

他にも、日産とソニーとで入社を悩んでいたところお父さんに進められてソニーに入る、幼少の頃いっしょに遊んだ友達がJALの役員になっていて空港のロビーで手紙をもらった、久夛良木さん(ゲーム事業のカリスマ)がスーパーコンピューターといったPS3を断固としてゲーム機だと貫いた、「突然、ソニーの次期トップ候補の一人に祭り上げられた私だが、正直言ってそんなことを意識することは、まったくなかった」など、平井氏のひょうひょうとした人柄にまつわる下りは、枚挙にいとまがありません。

そして、見て下さい。

そんな難しい偉業を成し遂げたすごい人なのですが、難しい用語や専門的なビジネス用語やカタカナはほとんどなく、とても読みやすい改行と言葉づかいです。

奥付には書かれていないのですが、編集や協力は、巻末から読みますと、日本経済新聞社の杉本貴司さん、日経BPの赤木裕介さんという人だそうです。もちろん、文才もあるとは思いますが、日経グループの安定した編集・構成力で、とても読みやすい文章になっています。

社会人を経験したことのない学生でも、わかりやすくすらすらと読めると思います。平易でわかりやすい文章、というのはこういうものか、というお手本のような文章です。

そして、なにより、本文186ページ中、じつは冒頭40ページをほどをつかい、平井氏が入社する前のエピソードでしめられます。ともすると、ここまでの割合をソニーとは関係ないことでうめる構成は、読者に退屈さを感じさせかねない、いわば博打ともよべる構成です。

しかし、読み進めていきますと、本書でつねに語られる「異見(異論)を受け入れる」ということのバックボーンが、じわ~と読者の心に染み付いていて、文字になっていなくとも、脳内変換されすんなり入っていくことを体験できます。

こうした平井氏のパーソナリティをふまえたうえで、あのソニーという大企業を、そしてグループ内の3事業を、すべて再生させたという偉業に説得力を増すことに成功しているのです。

ちょっと書き手としてのすばらしさに言及してしまいましたが、それくらい本書は、とてもよくできたビジネス本ということです。

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ソニーファンには嬉しい製品名がたくさん

本書はソニーファンであれば間違いなく楽しめる本です。

もちろん、平井氏の改革には異論反論あり、改革であれば痛みをともなう人もいて、よく思わない人もいるかもしれません。

それでも、本書では随所に、当時の図版が掲載されていたり、製品名が出てきたりと、ソニーの歴史をなつかしく思えるくだりがたくさん出てきます。

ところでわたしは、初代プレイステーションが発売されたとき、情報系専門学校の教員でした。そこで、プレイステーションの開発キットに触れたことがありました。

たしかに、当時のゲーム開発キットとしては破格の値段で、いち地方の学校でも買える値段だったことに、驚いたのを覚えています。

本書では、久夛良木氏がゲームのタイトル数にこだわる、というくだりがあり、なるほどーだから開発キットを買えたのか、と懐かしく腹落ちしました。しかし、ソニーを再生させた平井氏は、真逆の品質重視の施策を徹底します。

しかし、それは両方である意味で正解であることも語られます。日本ではゲーム市場がとても大きく深いため、多くのゲームタイトルがないと売り場面積で小さく見えてしまう。当時は、日本にも個人経営のゲームショップがたくさんあったのです。

いっぽう、平井氏の主戦場であった北米では、そうした個人店やゲームショップはなく、大手のストアの売り場に少しある程度、ということだったようです。そうした違いからも、それぞれの事情もありつつも、その瞬間瞬間に判断をせまられるトップの難しさも、伝わってきます。

また、個人的は、VAIOの売却や、PS3のプライスダウンなど、ニュースとしては知ってはいましたが、背景にそうしたドラマがあったのかとわかると、感慨ひとしおでした。

いずれも再生には、痛みを伴う不可欠な事業整理やリビルトです。それはさぞ大変だったことでしょう。しかし、後半のアイボおの復活や、電気自動車開発のくだりも、本当にさらっと書かれています。ただ、長いソニーの歴史や、事業の広さを考えますと、まあ仕方のないことで、それくらいたんたんと書かれていたほうが、好感しました。

もちろん、ファンの人には、なんでこの事業を語らないのか、という分野もあるでしょう。さすがにソニーはとても大きな企業ですので、紙面がいくらあっても足りません。そこは目をつむりましょう。

ソニーの商品や活動に少しでも関心があった人には、当時そうだったんだぁ~、という懐かしさをもって、思い入れをもって読み進められると思います。

サイバーアタックを受けたエピソード

さて、多くのエピソードを含む本書ですが、わたしが個人的に印象深かったのは、ゲーム事業でサイバーアタックを受けたときの話です。

この事件は、ソニーという巨大企業であってもこうした事件がおきてしまう、ソニーという世界企業が甚大な個人情報漏洩のリスクを露呈してしまう、と当時相当の衝撃をもって報じられたことを覚えています。

>>PlayStation Network個人情報流出事件 – Wikipedia
サイトで詳しく見る

もちろん、今はどの大手でもサイバー攻撃の危険にはさらされています。

>>アップルもサイバー攻撃の標的に–データが奪われた形跡はなし – CNET Japan
サイトで詳しく見る

それでも、ソニーの事件は、以下の点でかなりの衝撃でした。

ふだんのリスク管理や今でこそ考えられない対応で、当時おおきく炎上していたことをしっかり覚えています。そして、本書ではその裏側もつづられています。

米国では謝罪をしてしまうと集団訴訟が多発してしまう、という判断があったということ。ただ、それでも平井氏が謝罪をしようと進めたこと。そうすることで、徐々に事態は収束していったと書かれています。

ただ、wikiを見ますと、こうも書かれています。

個人情報漏洩事件から2週間ほど前に、ソニーがセキュリティ担当部門の従業員を多数解雇していたことが明らかとなった。

世界各国の議会からセキュリティについての諮問や報告に対応していたなかで、徐々に明らかになっていったことの一つです。すべては結果論ではありますが、改革には光と影があり、本書をより立体的に読むとき、ソニーという巨大企業であれば、ネットに多くの情報がみつかるため、そうした多面的な読書もできるという点では、興味深く読めたエピソードでした。

トップがある目的をもって書かれた内容と、実際の現場との景色の見え方の違いも、味わえる良書です。なお、その目的については、巻末に書かれていますので、ぜひみなさんの目で確かめてみてください。

その目的もけっして恣意的なものでなく、ほんとうに素敵な考えで大切なことです。ほんとうに、凄い人ですね。

・ ・ ・ ・ ・

後半はじゃっかん毒づいてしまいましたが、それくらいきれいに、そして痛快に、そしてシンプルに愚直に、ソニーを再生させたという本書。

今どきのリーダーシップとはこういうことかと、きっと腹落ちするはずですし、また、ソニーの数々の製品の裏側も知ることができ、とても楽しく読みすすめられます。

ビジネスの専門的な用語やカタカナもすくなく、とても読みやすい文章です。

万人におすすめできるビジネス書であることには、1マイクロナノメートルほどのゆらぎはありません。

おすすめのビジネス本として、ぜひみなさんお買いいただき、その人柄に触れてみて下さい。

おすすめです。

しかしソニー、ほんと強いなあ。

これこそがソニー。

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まとめ

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