マイクラは会社もドリームに満ちていた。創業者のこだわりが生んだ軌跡のサクセスストーリー。子供にも読ませたいおすすめ本「マインクラフト革命的ゲームの真実」レビュー

マインクラフトはとても有名なゲームです。その作者の半生が描かれた「マインクラフト 革命的ゲームの真実」を読みました。面白くていっきに読んでしまいました。マイクラはなぜ無料ゲームでないにも関わらず成功できたのか、そして成功の裏で苦悩した創業者の数奇な運命とは。人気ゲームマインクラフトの成功物語「マインクラフト 革命的ゲームの真実」はマイクラを知らない人にもぜひ読んでほしいおすすめの本です。

マインクラフトの成功を追体験できる

「マインクラフト 革命的ゲームの真実」は、マインクラフト誕生から成功までのストーリーを追体験できる書籍です。なお、売却前に書かれた書籍ですので売却の経緯までが、描かれています。

2014年に刊行されましたが、今でも色あせることなく楽しく読めました。やはり、こうしたフィクションというか伝記はいいですね。角川学芸出版から出版され、とても読みやすく書かれていますので、学校で読んでいる若い人もいると聞きます。図書館にあっても全然いいですね。

本書におすすめな人

  • マインクラフトというゲームが好きでどういう歴史があるのか知りたい
  • シリコンバレー以外のIT業界の成功ストーリーを読んでみたい
  • IT業界のビジネスについて雑学知識として教養を広めたい

私はマインクラフトをプレイしたことがありません。子供がプレイしているのを見たり、YouTube動画を見たくらいです。ですが、本書はその経緯について、網羅的に書かれていますので、とてもわかりやすく読めました。

あまり向いていない人

  • マインクラフト成功の秘訣や戦略の詳細を知りたい
  • マイクラのビジネス的な成功要因を知りたい
  • 作者の人生について深く知りたい
  • なぜモヤング社を売却したのか知りたい

本書はとても読みやすいです。おそらくマインクラフトをプレイする子どもたちへも配慮したのかなと思います。ですので、よく言うと網羅的、悪く言えば浅く広く、といった内容になっています。

ですので、上記のような深い考察やビジネス的な気付きは期待されないほうがいいと思います。また、売却前に著述されましたので、手放した経緯は書かれていません。

レビューする人はこんな人

  • 40代男性、子供2人、うち1人はマイクラをした経験あり
  • マイクラをプレイしたことはなく、動画などを見たことがある程度
  • IT業界は20年以上で、学生時代はゲームプログラミンをしたことがある
  • マイクラ情報はおもに子供から

マインクラフト革命的ゲームの真実のレビュワー
個人事業主、会社経営の経験があり、マイクラ作者さんのビジネス的な行動やターニングポイント、またゲーム業界についての記述に興味を持ちます。

それでは、そんなわたしが気になった箇所やおすすめのエピソードをご紹介します。

※ややネタバレも含みますのでご注意ください。

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「マインクラフト 革命的ゲームの真実」の感想

作りたいゲームを作る難しさと人生のバランス

誰しもが人生でつまづくことはあります。とくに、好きなことを仕事にする難しさ、夢と現実、といった一見すると相反するものの両立に悩み苦しむ人は多いと思います。そして大人になるにつれ現実的な打算を優先させていくことは仕方ないと自分に言い聞かせるようになります。

しかし、本書では作者マルクス氏の、マルクスが作りたいゲームをどうやったら作れるか、そのゲームへの愛情が軸になり、彼の人生が進んでいきます。そして見事成功をおさめるわけですが、途中に家族の離婚や妹の薬物依存など、逆境にも見舞われすぐにサクセスにのっかれたわけではありません。そして彼自身、大好きなゲームやプログラミングに没頭する日々で、仕事こそしていましたが、内向的な性格。わたしたちの身の回りにも、ふつうにいそうです。

マルクスの母リトヴァが毎晩目にする光景は同じだった。看護師としての勤務を終え、アパートに戻り、玄関のドアを開けると、マルクスの部屋からはキーボードを叩く音が聞こえる。高校を卒業したのに、親元を離れるつもりはないらしい。

わたしも2人の子供をもちますが、こういう子供がいたらどこまで辛抱強く接していられるか自信がありません。しかし幸い彼はプログラミングという技術をもっており、そのスキルによってエンジニアとしてのキャリアを積んでいきます。その間、自分の時間をつくりゲームづくりを続けます。

本書を読むとマインクラフト成功の影に、こうした彼のゲームづくりの経験や、業界の趨勢を見てきた知見なしには語れないことに、気付かされます。実際、彼はマインクラフトをリリースしたあと、コミュニティ運営にも力を注ぎます。多くのマインクラフトクローンが出てくきても、マイクラほどにはブレイクしないのは、こういう背景があるからだとわかります。一朝一夕には真似できないものとわかります。

しかし、彼が終始一貫しているのは、自分が作りたいゲームを作る、というゲーム愛です。実際彼は、アメリカの大手ゲーム会社からヘッドハンティングの声がかかるも、その話を断ります。自分たちのゲームを作るほうを優先させるのです。
マインクラフト本

そして私が共感したのは、こうした仕事の命運をわける選択のときにも、彼の家族や恋人との話が、しっかり盛り込まれる描写です。私自身フリーランスで仕事を20年以上続けてきましたが、家族と仕事のバランスは常に難しい。その憂いを知っている人が読むと本書はなお味わい深く読めることと思います。そして彼はついに居場所を見つけます。

マルクスは自分のことを、Javaプログラマーだともグラフィック・デザイナーだとも思ったことがない。端的に言うと、ゲーム開発者だと思っていた。そしてインディ・シーンこそ、自分がいられる唯一の場所だと感じていた。

その後、マルクスは好きなゲームを作ることを見事成功させ、その後も大金に溺れることなく、マインクラフトを育てていきます。その姿勢には大いに共感しました。ドロドロとした話はほとんどなく、とても希望のもてる内容に、子供にもおすすめできると思います。

マインクラフトが有料でも成功した理由

今やフォートナイトに代表されるような無料ゲームが幅を利かせる昨今に、マインクラフトの成功は、わたしにはとても不思議に映りました。有料でなぜ売れるの?と。しかし、本書を読みますと、マインクラフトが有料にした理由が書かれています。そこにもマルクスのゲームに対する愛情や知見が生かされています。

また、きれいなグラフィックスで、敵をどかんどかんと爽快に倒せるわけでもないのに、なぜ売れるのか?その理由も本書に書いてありました。そこには、やはりマルクスの経験が生かされていました。マインクラフトは本当に時代にもマッチしたタイミングで登場したとわかります。そして、そうした幸運はこれまでのマルクスの一途なまでのゲーム愛や哲学を貫いたからこそ降りてきた、とさえ読めます。

さて、こちらが、2009年5月に作者がYouTubeにアップしたマインクラフトのアルファ版です。タイトルからわかるように、最初は洞窟ゲームとしています。そして、発売前に着実にコミュニティを形成していきます。
>>Cave game tech test – YouTube

また、マルクスは以前からの志としてゲームスタジオを持つという夢がありました。ですから、そもそも無料ということは考えていなかったようです。しかし、有料でもしっかりと仕掛けをしていました。

マルクスは、そんな風潮(無料やマイクロペイメントという呼ばれる収益方法)を無視し、開発初期段階のアルファ版マインクラフトに一〇〇クローネ近い値段をつけた。適正価格だと判断したからだが、ゲームの完成後には値段を倍にするとも明言していた。「~有料にしたのも同じ理由。そうでもしなきゃ、いつまで経っても値札をつけないだろうからね。だから最初っからお金をもらうことにしたんだ。」

インディーズにこだわった彼らしい、値付けさえも独立した思考で、すがすがしいまでにシンプルに決めています。あとで値上げするといった手法はよくありますが、それでもこうした経験と志を根拠とした価格設定には、戦略という言葉さえ陳腐に見えてしまうから不思議です。

私たちは成功物語を見るとき、どんな秘訣や戦術があるのか具体を知りたくなります。しかし、そんなことはとても小さいこと、とさえ思えてくる本書は、とても元気をくれます。

 ・ ・ ・ ・ ・

そして、マインクラフトは成功を収め、その後も想像もしなかった方面まで発展を遂げていきます。こうした広がりも、新しいジャンルのゲームとして、ゲームをプレイしない人にも興味深く読めると思います。

最後にはマルクスはプライベートジェットに乗っているのですが、その横にはなんと・・・。ぜひ誰が搭乗しているのかは、本書を読んでみてください。わたしは彼のこの件にまつわるエピソードでは、いずれも涙がにじみました。ほんと、いい本です。

本書からわたしは、とても元気をもらいました。ぜひ皆さんも、マインクラフトというゲームの成功とマルクスの人生を追体験してみてください。シリコンバレーやファイナンスまわりのIT業界本とは一線を画す内容で、それ以外のIT業界本を読んでみたい、と思われているかたにとくにおすすめです。

子供に読ませたいと思いました。

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本書が気に入った人はこの本もいいかも

ゲームづくりへの情熱、ゲームビジネス、IT業界でのサクセスストーリーやリアリティなど、そのあたりの本が読みたいという人には、こちらの書籍も良いかもしれません。アマゾンのこちらの人はこれも買っていますや、レビューなどから、私が独断と偏見で選びました。

ポケモンをつくった男 田尻智 (小学館版学習まんがスペシャル) | 宮本 茂, 菊田 洋之, 田中 顕

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書籍版もありますがこちらのほうが安価。ポケモンはインディーゲームからではありませんが、ゲームづくりにかける情熱という点では、ぐっとくるものがあります。

任天堂 “驚き”を生む方程式 | 井上 理

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マインクラフトの本でも任天堂については言及されています。やはり世界の任天堂のことは読んで勉強になります。

関連情報リンク

マインクラフト購入サイト(公式)※マイクロソフト版ではMODが使えません。
>>ストア | Minecraft

もヤング社公式のYouTubeチャンネル。
>>Minecraft – YouTube

本書でも登場しますリディアウィンタースさんのYouTubeチャンネルです。
>>MinecraftChick – YouTube

よいこさんたちは任天堂公式に、マイクラ動画を出されていますね。
>>よゐこのマイクラでサバイバル生活 シーズン2 第7話 – YouTube

教育版マインクラフトは、日本でも徐々に広がっています。
>>マインクラフト(マイクラ)を使った驚きの学校授業例 | 教育版マインクラフト | コエテコ

アルファ版のマインクラフト。
>>Cave game tech test – Minecraft Wiki

リディア ・ ウインタースさんは、2019年7月現在、モヤング社の最高ブランド責任者になっています。
>>AR版マイクラ「Minecraft Earth」を実際にプレイするムービーが公開、AR空間でマイクラワールドに入り込むことが可能 – GIGAZINE

まとめ

本書を読むと、マインクラフトをやったことがない人でも興味がわいてくると思います。すでに多くのMODと呼ばれる追加プログラムが存在し、巨大化している市場ですが、教育部分についてはとても興味がわきました。

また、シリコンバレーのようなアメリカのベンチャー企業のサクセスストーリーとも違い、とても興味深く読むことができました。国が違うとこんなにも変わるのかと面白かったです。同じ欧州の成功IT企業、スポティファイの本もあれば読んでみたいと思いました。

マインクラフトというゲームを知らない人でも気軽に読めるとても素敵な本です。おすすめです。

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